2013年1月24日(木) 2014年5月10日 その後の報告
E38 ウィンドウレギュレータの修理 − アンピンさんより
今回はE38にお乗りのアンピンさんより、ウィンドウレギュレータの修理レポートをいただいたので紹介しよう。
こんにちはアンピンです。いつも参考にさせていただき、たいへんお世話になっています。
さて、ウチにもBMW定番トラブルのウィンドウレギュレータ問題がとうとうやってきました。起こったのが昨年の夏前なので、13年間(99年製)良くもった方とも言えます。普通ならレギュレータの「交換」だと思いますが、、、、、、、
そこはそれ! お世話になっているDDさんの整備ネタの為に、「敢えて」修理をしてみました。決してお金が無いからでは無いです! (~_~;
(事の起こりは夏前)
昨年の夏前ころから運転席(RHD)の窓を上げ下げすると、何やらギギギギ、と異音がするようになっていたので開閉は最低限にし、自然治癒に期待していました。(夏の終わりはいつも寂しい)
その後、時々開閉しても異音が消えず、むしろ大きくなってきたので、自然治癒は無理と判断。夏の終わりに、開けて現状確認してみることに。(ひょっとして異物の噛み込みかも、、?)ドアパネルを開けてみると、、、、(〇o〇;))))!! プーリーの破損(写真1黄色矢印)、、、BMWプラの劣化問題がとうとうウチにもやって来ました、、、 これだから夏の終わりはいつも寂しい、、、そして虚しい、、、 こういう面倒な事には関わらないことにしているので、そのままフタ(内装)を戻して今後は開かずの窓に決定していました!
(10月の旅行中の出来事)
その後も窓は開けずに済んでいたのですが、、、、 高速はETCで通過するのですが、信州の旅行中有料道路で現金支払いのところがあり、仕方ないので、料金所で普通の位置より1mほど先に止めて、ドアを開けて支払おうとしたところ、、、。徴収員(;一一) ジィー 「なんだ〜?!!!BMWなのに窓も開かないの???」
アンピンさん「イ、イヤ、、、窓から払うなんて失礼な、、、ちゃんとドアを開けて払うのが礼儀なので、、、」
徴収員(*^o^*)「あ!そういうこと!さすがBMW乗りの方は紳士なんですね〜!」
と、いうやりとりを目と目でしたのでした。しかしいつもこう「うまく行く」とは限らないので、バレる前に修理することに、、、
1.内装外し
この辺はE39と概ね同じなので、以前アップされているNonchanさんの記録(2010年11月18日)を参照してください。レギュレータが見える状態まで外します。(下の写真の矢印は後の説明用です)
2.窓ガラス外し
まずはガラスを下げてレギュレータ(ガラスホルダー)から窓ガラスを外します。下の写真の2箇所(トルクスE12×各1)
次にガラスにホルダーのゴムが張り付いているので剥します。そのままガラスをもち上げると結構抵抗あります。
ガラスが浮いたので持ち上げると、、、バイザーに当たって外せない(ガラスが抜けない)
結構バイザーに力がかかるところまで引き抜きましたが、ガラスがパリ!っと逝きそうで、、、怖い、、、。
仕方なく13年張り付いていたバイザーを外します。バイザーが無ければスンナリガラスは抜けます。
ガラスは湾曲しているので、うまく木片などを敷いて置いておきます。また、ガラスの下側(10cmほど)も、この際きれいにしておきます。(抜いたらわかりますが結構汚れて汚い)
3.レギュレータ外し
@モータのところに黒い大きめのコネクタが刺さっているので抜きます。
Aトルクス(E12)×下側2本、上側3本計5本を外します:「1.内装外し」写真の赤矢印
B同じく写真の黄色矢印は緩めるだけです。(E12×1):挟んで固定しているだけ。横から覗けばわかります。
あとは、寝かして抜きます。
4.レギュレータの弱点
来たるべき故障に備えて、この時代(E46,E39.E38)のワイヤー式レギュレータでよく壊れる情報を集めていたので、ここに紹介しておきます。(内容の正確度は問わないでくださいね(^ ^;)ゞ)
下の写真はこの状態で運転席(RHD)のドアに付いており、車の外側から見た状態です。つまり写真右が車の前方向。レギュレータ左上の黄色○のピンクプーリーがありません。今回これが破損しています。
下の写真は車の内側(室内)から見た状態、なので前は写真左。この状態だと右上のところが破損プーリーになります。プーリーが見えないこの状態で装着することになります。
弱点ポイントを上2枚の写真で説明します。
@黄色○ピンクプラのプーリーが経年劣化で割れます。割れるとワイヤーがプーリーの金属軸でスライドすることになり、またレール部にワイヤーが擦れてガリガリ、ギーギーと音がします。一応は窓は開閉できますが、そのうちワイヤーが切れて窓が落ちます。
A黄色矢印ワイヤーカバーのストッパー、、、これもプラなので経年劣化で割れます。割れるとワイヤーといっしょにワイヤーカバーもスライドしてしまいます。窓ガラスの停止位置がずれるようです(きっちり閉まらない)。またずれたワイヤーカバー部がプーリーに当たって(巻き込んで)、プーリーを破壊するようです。なので、開けてみるとプーリーも破損していることも多いようです。
B赤四角ガラスホルダーとワイヤーの固定部。ワイヤへの固定爪が経年劣化で外れることがあるようです。ここが外れると当然ガラスは動きません。片方だけなら落ちないと思いますが、外れた方の窓ガラスが少し下がってしまうようです。
Cモーター白いギヤ部のワイヤーが集まっているところにある。これが壊れれば当然窓は動きません
Dストッパーのゴム部、レギュレータの取り付け下部にある、ガラスのストッパーのゴムが使用回数で削れてなくなります、当然ガラスがモロに金属に当たって止るので大きな「ドン!」という音がするようになります。(これは助手席側で経験)
5.現状確認
まずはプーリーが飛んだところ
上の写真では、本来金属の軸にピンクのプーリーがあるのですが、破損してありません。金属の軸に直接ワイヤーが掛かっています。窓の開閉を最小限にすればこの軸でも何とか数年は持ちそうです。問題はこの前後の部分です。
赤矢印:「弱点ポイント」で説明したように、プーリーが無くなったので、ここにワイヤーが擦れて異音がしていました、そのまま使えばしばらくでワイヤーが切れるでしょうね(既にレール側が削れています)。また、ピンクのワイヤーカバーのストッパーもワイヤー角度が急なので擦れています。
他の3つのプーリーはヒビ含めて大丈夫、弾力もありプラとして生きていました。(*^o^*)
割れたプーリーのところのワイヤーカバーのストッパーにクラックが発生しています(黒矢印)。ワイヤーを緩めた後(後述)、1段差し替えて、更に今まで刺さっていたところを細い針金を巻きつけて、分解を止めておきます。このストッパー部は90度回転すれば外せます。
上の写真はガラスストッパー(レールの一番下)を抜いたところです(指で持っているところが刺さっていたところです)。ゴムが半分無くなっています。ここが欠落すると、窓を全開した時、大きな「ドスン」という音がします。以前、助手席でなったので、その時はここにゴムを詰めて解消したので、今回も対策しておきます(結果割愛)。
モーター周りはガラスを上下していた時の動きからOK(スムーズ)でしたので、割れたプーリーの代替えと、いくつかの補修で復活できると判断。新品のレギュレータは純正品で4万ほど、ヤフオクなどで売っている中華物だと8千円ほどで入手できます。しかし、中華物は1-2年でダメになる、という情報もあり、またプーリーが割れたくらいで全交換するのは自尊心が許さない、、、、(貧乏人の言い訳)
6.動作確認
まずはプーリーを変えてみます。プーリーは「シンギ」というところの戸車を使います(結構どこにでも売っている物)。ホームセンターで2個入りで148円(直径36mm)。耐荷重は25kg(これは2個でなので12.5kg/個)。いろいろ計算して「代替OK」という判定が出ました!(よくわかりません、、ダメになったらその時また考えます(^ ^;)ゞ)。本当は直径45mmくらいのが丁度良いのですが、36mmあればレールにワイヤーが擦れることもなく、手頃なのでこれで、、、。
戸車枠の金属部分を削って軸を抜いて戸車(プーリー)だけを取り出します。
この戸車、仕様を調べてみると、、、「車輪がポリエチレン。オイルが自動給油されるため、長期間すべりが滑らか。車輪は耐熱性、耐薬品性、耐食性、耐摩耗性に優れている。軽量。」だそうです! オイルが自動供給って???どこにそんな機構があるんだ??? と思いきや、、、なんとピンクの部分が白い部分に嵌めて込んであり、ピンクの中にオイルが浸みたフェルトが入っています。長い時間掛けて、間から滲んで来るのでした!(まさに自動供給!)
ん〜、、、流石です! 日本製品らしい工夫! まさにニッポンの底力を感じます! こんなサッシの戸車で、こんな安い物にこれほどの工夫と手間を掛けるとは!!! これこそBMWのパーツにふさわしい機能です!(純正でこういう物を使って欲しい)
さてしばし感心したら次の作業です。ワイヤーを緩めて、プーリー軸を外します。
トルクスで外します。サイズは??(12だったような??すみません失念)
これからワイヤーを緩めるので、ギア部をヒモで縛っておきます。こうしておかないと、プライヤーの下アゴが掛かっている緑の固定を外してワイヤーを緩めた時に、ギアへのテンションが無くなり、ギアが飛び出してバラバラになります(経験済み、、慌てました!)。
ギアのワイヤーを緩めればテンションがなくなるので、ワイヤーはフリーになります。
さて今度は軸受けを外します。上の写真の反対側にプーリーが付いていました。黄色矢印のところがカシメで固定されています。結構ガッツリ付いているので、厚みもあります。外すのが手間です。
時間を掛けてカシメ部を削って外します。カシメてあったこちら側は、面が凹んでいるところに付いていたのでレギュレータもキズで丸く痕が付いています(棒ヤスリで削った)。
→ドリルで軸全てを削ってしまおうかと思いましたがやらないでよかった。また外したプーリー軸(上の写真右)を捨てなくて良かった、、、。
ここで代替えできるか、をやってみます。まずは基本的に大丈夫なのかを押さえます。ボルトで付けて、ギア部などを戻して車につないで動かしてみました。20-30回やってまったく問題なしで、プーリーとしてはOKと判断。この時点で、ほぼ修理完了の意識になりましたが、、、。
しかし、ここで問題が、、、(〇o〇;))))!!。
実はこれだとレギュレータの車への取り付けができません。レギュレータの固定はプーリー軸の穴にボルトを貫通して固定しています。上の写真のようにプーリーを止めるボルトを入れてしまっては固定ができません。
もちろんこれは最初からわかっていたのですが、レギュレータの角にある穴など(2つ上の写真でプーリー軸穴の右に2つあるもの)を使って、ドアの内側のどこかに固定できるだろう、、、と考えていました。イザとなればどこかにドリルでドア側に穴を開ければ何とかなる、、、と、甘い考え、、、。ところがいくら探しても車側に、固定でできるところも、穴を開けられる所も一切ありません!(大体ドリルなどの工具も入らない)
ステーを作ることを考えたり、ここは留めずに下側の取付を補強すれば、、、などトライしましたが、動作(振動)する物で、それにそこそこ重い、ガラスです(下手に緩んで力がかかれば割れます)。この時点から最終形までが試行錯誤で時間かかりました(詳細は割愛)。
7.最終形修理
イロイロ検討して、材料(プーリー軸など)をホムセンでも探しましたが、うまく代替えできるものがありません。そこで、外した軸を使うことに。しかしカシメ部分は削ってしまってありません、単なる筒。
まずは軸(下の写真の左)にプーリーが入るようにプーリーにザグリを入れると共に軸径を広げます(ピンク部を削る)。
問題はワイヤーにテンションを掛けた状態でプーリーの軸がレギュレータから抜けない状態にして、ドアにセットしてから取り付け部でボルトを通せるか、です(カシメが無い単なる筒なのでテンション掛けると簡単に抜けてしまいます)。ボルトを通して締めてしまえば、軸が抜けることはありません。
そこで、、、
タイラップでギンギンに固定して、ボルトを抜いてもプーリー(軸)が抜けないようにしてみました。紫のヒモはタイラップを切断した後に抜き取るためです。切断したはイイですが、変な残り方をするとレギュレータがトラブリます。全ての作業がほとんど指も入らない狭いドア内です。
8.組み付け
入れておいた保護のボルトを装着直前に抜きます。テンションが掛かっているので、軸が少し前へ傾いているのがわかります。ぶつけてショックを与えないように、ゆっくりドア内のボルト穴の位置にセットします。
実は最初タイラップ゚が緩くてワイヤーのテンションに負けてプーリー(軸)が抜けてしまいました。これ、やり直すの手間です、再度モーターギア外しからになります(泣)。
そ〜っとセットしました。この穴は2番目の写真の右上赤矢印のところです。よりによって一番奥の狭いところです。まずはボルトを入れて2-3回転して少しだけ固定します。深く入れるとタイラップが抜けません。次にヒモを持って、タイラップを順に切って取り出します。すかさず、ボルトを閉めこみました、ズレてしまわないか冷や汗もの、、、。
ボルト装着! これを付けてしまえばコッチの勝ちです♪(レギュレータの負け?)
抜いたタイラップ、、、ボルトを固定したら、気も抜けました、、、。全てセットしたらSWを付けて操作してみると異音も無く上下します。レギュレータ取り付けたところ2番目のと同じなので割愛。10数回動かしましたが大丈夫!!!
ガラスが異音も無く上下する、、、素晴しい、さすがBMWです!(どこの車もそうなんだけど、、、(^ ^;)ゞ)
9.費用
サッシ戸車74円/個(2個セット=148円購入なので、もう1個は家のサッシにでも、、、)。後はタイラップ゚とグリスくらい?
私の人件費=プライスレス、、、(~ヘ~;)ウーン
10.所感
いつも思うことですが、BMW(輸入車全般?)のプラ、ゴム部品の経年劣化は何とかならないのかな? 日本のサッシ戸車の工夫を見習って欲しい、、、ニッポンの底力を実感!
だ、だ、だれだ?! 今回の修理を「貧乏人の底力」なんて言ってるやつは!!(`д´ #)
サッシ戸車をプーリーの代わりに利用するとは! まさに、DIYメンテナンスの見本のようなレポートだ。写真も多く、丁寧に説明されているので、E38(E39)乗りの方には有用な情報だろう。
末尾ではあるが、非常に有用なレポートをいただいたアンピンさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。