2023年12月23日(土)

DD2号 セルモーターのメンテナンス − ブラシ交換とグリスアップ

先日のレポートでセルモーターのメンテナンスについて調べたが、手元にブラシとアルミボルトセットが届いたので、早速セルモーターを取り外して、オーバーホール(?)してみることにした。セルモーターはインテークマニフォールド(インマニ)の下にあるので、かなり作業が面倒だが、まぁやってみるか・・・。

まずは、写真1のように車を前後4輪ともウマをかける。


写真1 ウマをかけたところ

インマニを外しセルモーターにアクセスするだけなら、エンジンルームの上からだけの作業でできるのだが、作業数が多く不器用なDDは必ずボルトかナットをエンジンルームに落としてしまい、フロアパネルを外さないといけなくなる(確信)。だから、最初にウマをかけて車両下側にアクセスできるようにしておく。自分の技能を正しく判断しているのだ(笑)。

写真2のようにボンネットを開け、インマニを外すためにいろんなものを外していく。


写真2 ボンネットを開けたところ

と、その前に、写真3のようにバッテリーのマイナス端子を外しておこう。


写真3 マイナス端子を外したところ

そして、ノックセンサーを交換したときのレポートの写真28までを実施する。その後、配線トレイを外す前に、写真4の緑矢印のコネクタを外し、赤矢印で示す4本のボルトを外してスロットルバルブを取り外す。


写真4 スロットルバルブ

ちなみに、4本のボルトの締め付けトルクは9Nmだ。こうしてスロットルバルブを外してしまうと、写真5のように配線トレイがよく見えるようになる。この配線トレイをインマニから外すために、赤矢印で示すところにある2本のネジをT-25のトルクスで外す。


写真5 配線トレイのネジの位置

このネジはちょっと外しにくいし、取り付けもちょっと難しい。写真6に外したネジを示す。


写真6 配線トレイのネジ

次に、このレポートの写真32にあるインマニを固定している4本のボルトと3個のナットを外す。これは11mm角のディープソケットを使えばいい。ちなみに、締め付けトルクは15Nmだ。そして、インマニを浮かせて、このレポートの写真34のコネクタを外し、さらに写真7のインマニの前側にあるコネクタを外す。


写真7 インマニの前側のコネクタ

これは、写真7の赤矢印のところを同時に押すとロックが外れるので、前方に引き抜けばいい。これでインマニをエンジンの上の方においておくことができる(インマニにまだホースが接続されているので、完全にはフリーにできないが)。すると写真8のところにセルモーターが見えるはずだ。


写真8 セルモーター

セルモーターを外す前に、写真9の赤矢印で示す配線とコネクタを外しておく。


写真9 配線とコネクタ

配線とコネクタを外したら、写真10に示すボルト2本を外す。


写真10 セルモーター固定ボルト

赤矢印のボルトは手前側から外し、緑矢印のボルトは奥側から外す。このボルトは再利用不可なので、写真11のように新品のボルトを購入した。価格は1,530円であった。ちなみに、このボルトの締め付けトルクは20Nmだ。


写真11 購入したボルトセット

奥側のボルトを外すときは、写真12のようにソケットにブレーカーバーを取り付けて回せばいい。


写真12 奥側ボルトの外し方

2本のボルトを外してセルモーターを車両前方にずらすと、写真13のようにセルモーターを外すことができる。


写真13 外したセルモーター

外したセルモーターのBMWでのP/Nは、写真14のように、12417521116のようである。


写真14 BMWでのP/N

これはBOSCH製でBOSCHでのP/Nは、写真15のように0001107424だ。


写真15 BOSCHでのP/N

まずは、このセルモーターを分解するために、写真16の緑矢印のボルト2本、赤矢印のプラスネジ2本、および赤矢印のナットを外す。


写真16 分解するためのボルト、ネジ等

すると、写真17のように3つに分解することができる。


写真17 3つに分解したセルモーター

このうち、写真18の部分にブラシがある。


写真18 ブラシのある部分

この部分の2本のネジで固定されていたキャップ部分を外すと、写真19のようにモーターの軸が見える。


写真19 モーターの軸

写真19の赤矢印のC型の金具をずらして外すと、写真20のようにブラシ上側の蓋を取ることができる。


写真20 ブラシ上部の蓋を取ったところ

写真20の赤矢印のところがブラシなので、これを上に抜き取る。写真21に古いブラシを抜き取ったところを示す。古いブラシは新しいブラシに比べると長さが半分ぐらいになっていた。


写真21 古いブラシを抜き取ったところ

新しいブラシは、写真22のようにBOSCHでのP/Nは1004336526である。購入価格は2,685円(送料込み)であった。


写真22 新しいブラシのP/N

箱の中には、写真23のような新しいブラシが入っている。


写真23 新しいブラシ

この新しいブラシを、写真24のようにコンミュテータ(ブラシ接触部)のところに載せる。


写真24 新しいブラシをコンミュテータに載せたところ

そして、新しいブラシを押し込むと、中心の白いプラスチックが外れて、写真25のように新しいブラシがセットされる。


写真25 新しいブラシをセットしたところ

これでブラシ交換はOKだ。一方、ギア側のほうもグリスを入れ替えておこう。ギア側は写真26の部分にある。


写真26 ギア側の部分

ギア側の手前の円盤の蓋は引っ張れば外れる。外すと、写真27のように3つのプラネットギアが見える。


写真27 3つのギア

この3つのギアを外し、写真28のような状態にして古いグリスをパーツクリーナー等で完全に落とす。といっても、古いグリスは完全に硬化していて、パーツクリーナーで洗い流す前に小さいマイナスドライバーで削り取っておかないといけない。


写真28 3つのギアを外したところ

パーツクリーナーで綺麗にしたあと、写真29のようにグリスをたっぷり塗っておく。


写真29 グリスを塗ったところ

一方、アーマチュア側のギアにも写真30のようにグリスを塗っておく。


写真30 アーマチュア側のギアにグリスを塗ったところ

なお、セルモーターのマグネットスイッチの部分は写真31のネジを外せば分解できるのだが、このネジが錆びていてこのまま回すとネジ山が潰れてしまいそうなので、今回はマグネットスイッチのネジを外さなかった。


写真31 マグネットスイッチのネジ

あとは、セルモーターを組み立てて車体に戻し、他に外した部品類を元に戻せば作業完了だ。と、簡単に書いているが、部品を戻す作業も大変だ。ちなみに、DDはセルモーターに付いていたコネクタを元に戻さずにインマニやエアクリーナーボックス等を元に戻してしまい、最後に接続されていないコネクタが一つ残ってしまった。もちろん、もう一度インマニを外してコネクタを接続しなければいけなかった。

セルモーターのメンテナンス後は、エンジン始動時にセルモーターが勢いよく回るようになった。最近、セルモーターの勢いがなくなってきたのは冬になってバッテリーが弱ってきたからかと思っていたのだが、どうもセルモーターそのものも一つの原因だったようだ。最後に、今回、身を張ってセルモーターのメンテナンスのきっかけを作ってもらったSさんに感謝したい。



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