2017年2月20日(月)

マニュアルエアコン車のヒーターコア交換における作業ポイント − 北海道のおくさんより

久しぶりのご登場、札幌にお住いのおくさんより、E34のマニュアルエアコン車のヒーターコア交換レポートをいただいたので紹介しよう。


こんにちは。最近車をいじるのはもっぱら修理ばかりの おく@北海道 です。 車両も生産から27年を迎えあちこちガタが来ていますが、皆さんの34は如何でしょうか?

この冬から、ヒーターをかけると車内にかすかですが甘く危険な香りが漂うようになって参りました。また、エンジンを止めて少したつと何故か窓がうっすら曇るように・・・。 冷却水が激しく減るような状況では無かったのですが、ヒーターコアからの漏れがあることは確実です。 漏れ止めを投入してみたものの状況は変わらず、仕方なく新品のヒーターコアを手配し交換しました。

medama1goさんのレポートなどを参考にしましたが、オートエアコン車とウチのマニュアルエアコン車とではそもそもヒーターコアが違うなど、作業前に詳細が不明で若干不安な部分がありました。 やってみて、色々分かってきたのですが。。。 今回の作業を終え、コア交換のための内装ばらしなど、オートエアコン車と同様の作業以外に、マニュアルエアコン車独特な部分について皆さんの参考になりそうな部分をポイントごとにレポートしてみようと思います。

 

ポイント@ マニュアルエアコン用ヒーターコアの配管について


新品のヒーターコア(マニュアルエアコン用)

オートエアコン用ヒーターコアとは雰囲気が異なります。エンジンルームからの冷却水配管が一体となっています。これごと交換するのってヒーターユニットを車外に出さないで出来るんだろうか?


配管一体のコア (作業後に写真を用意した為、外した古いコアを使っています・・・(笑))

配管3本の内訳は、
@左側用温水供給
A右側用温水供給
B左右温水戻り
です。Bの戻りは少し太めですね。

コアの交換方法ですが、ネットを検索してみると、せっかく一体になっているのですが結局配管をばらしてしまうのが良いようです。そもそも配管自体は駄目にならないだろうと思い、今回は配管は元のまま交換しませんでした。


コアから配管を外した状態

配管の固定は、@B部分と、A部分の2箇所で各々8mmのボルト1本ずつで止まっていますが、各々コア本体と固定金具が
がっちりはまるようになっています。


@B配管固定方法

配管をコアの奥まで差し込まないと金具がコアの溝にはまらないようになっています。外すのは簡単ですが、取付の際には、Oリングがきつくかなり苦労します。。


A配管固定方法

こちらも金物の爪をコアに引っかけるようにして回し、その後ボルトにて固定。こっちもキッチリ配管を差し込まないと金物が回りません。


配管とコア側の勘合

配管側、コア側に差し込んだ際の向きを決める為の突起と切欠きがあります。ちょっとでも配管を差し込む方向が曲がってるとぜんぜん入っていきません。らないときは、配管をすこしねじってみると、ぐにゅっと入り込むと思います。


外したコアについていたOリング

古いOリングはかちかちで、断面が四角いプラスチックのようでした。長年の熱で変質してしまったのでしょう。新品のコアから配管を外して古い配管を使用する際は、Oリングは新品にしないときっとここから漏れますね。。今回、新品コアについていたOリングを使用しました。まだちゃんと弾力のある丸いゴムでした。

 

ポイントA 車内に冷却水を撒かしてしまわない方法

いきなりコアを外してしまうと、コア内や配管に入っている冷却水を車内にまき散らしてしまいます。掃除が大変そうなので、それを防ぐ方法を・・・。これはオートエアコンも共通ですね・・・。

さて、まずはエンジンルーム側より作業します。


エンジンルーム側冷却水配管


配管一時外します

コアに向かう冷却水配管を一時外し、そこにエアコンプレッサーで空気を送り込みエンジンルーム側にコア内の冷却水を排出してしまいます。作業するのにやりやすかったのは、矢印のバンドを緩めBの戻り配管を外し・・・(外した配管からも冷却水が出てきますので、配管を上に向けて適当な所に保持しておくと良いでしょう。)


ヒーターバルブ側

写真Iの、A右側供給配管を外してこの配管にエアーを吹き込むと、さっきのBのコア側管口から冷却水がじゃばじゃば出てきました。概ね300〜400ml程度でしょうか? 私はエンジンルーム内にじゃばーっと撒かしてしまいましたが、コア側管口にペットボトルなどで受けてやれば撒かしてしまうこともなく冷却水を再利用も出来るかも?

@の左側供給配管からはエアーを吹き込みませんでしたが、左右とも結局、内部の排出側でつながってるので大丈夫でした。また、作業後の冷却水補充とエア抜きの際、コア内のエアが抜けにくいとのことでしたので、コア交換後、このAの配管に冷却水を直接入れてやりました。コア内が満水になればBの管口からあふれてきますので、それから配管を接続すればエアの混入が最小限になる・・・はずです。ちなみに、これらのホースバンドのねじは6mmでした。

作業後のエア抜きは、DDさんの方法で問題無く完了しました。


ラジエター下部の配管

サーモスタットが空いた後、ラジエターに冷却水が流れる部分であるラジエター下部の配管にも、暖まった冷却水が回ったことでエア抜きOKと判断しました。

 

ポイントB 足下吹き出し切替部分について

ヒーターコアを無事交換し、そのカバーを取り付ける際に非常に困ったことになりました。。


私の車両の足下吹き出し切替部分

写真がないので記憶を元に漫画を書いてみました(笑)。足下に吹き出すのを切り替えるフラップがありますが、それを回転させる為に上図に示した問題の部品があります。。。カバーを外すときは気にしなかったのですが、これを元通りつけるには、カバーを取り付けた状態で内部に手を入れて差し込まねばならないのです! そんなの不可能・・・

上図のワイヤー部分を、問題の部品と共に先に本体側に取付ておけば何とかなりそうでしたが・・・。くにゃくにゃなので、カバーをつけるときにどうやってもうまくはめ込めなく途方に暮れました。。。 ネットで調べると、どうやら対策された車両が多いらしく


対策済の車両の仕組み

上図のとおり、カバーの外部までリンケージが出ており、カバー脱着ではフラップ機能をばらす必要がないようでした。とはいえ・・・、対策済リンケージなど手配する時間も無く、どうしたかというと


作業用点検口の作成

この図のようにカバーに大穴を開けて・・・、カバー取付後に手を入れて問題の部品を差し込めるようにしました。取付後、切り取ったカバーを元通りの位置に
適当なプラバンとタッピングビスで固定し、アルミテープで隙間をふさいで完了です!

マニュアルエアコン車でも、対策されたリンケージがついている車両であれば悩む所では無いのでしょうが・・・。未対策車には参考になるかなと思います。。


リンケージ付対策済車

参考までに、対策されたであろうリンケージの写真を・・・。カバー側では無く本体側に、リンケージ一式が残っています。

それと、細かいことですが足下吹き出し切替フラップ左右をつなぐ棒がコアの前を横断しており、コアの摘出に邪魔なのですが・・・


フラップ接続棒

○の部分にクリップがついています。これはコアのカバーを止めている金属クリップと同じものです。これを外すと、


コア摘出

棒が左右に分解することができ、コアを摘出するスペースが生まれます。コア取付後、左右の棒を元通りに取り付けますが、長さの調整が出来るようになっていますので、棒を左右に動かし左右のフラップがきちんと開閉できるかどうかを確認してからクリップで固定します。

 

と、マニュアルエアコン車のコア交換時作業のポイントをまとめてみました。(冷却水の排出についてはオートも共通ですが・・・) 作業自体は、思っていたより単純作業で案ずるより産むが易し的な部類だと思います。

最後に、外したコアを。。


外した漏れ漏れコア

特段コア部分の損傷や冷却水が噴出した雰囲気はないようですが、よく見ると、上部の樹脂のつなぎ目からじわじわ来ていたようです。緑色の結晶状のものが確認されました。じわじわ来ることで、温風に当たって蒸発してしまい、大幅な冷却水の減りや車体下部への吐水といった目に見える症状が認められなかったようです。

でも・・・、確かにあったあの甘いかほりや、停車後の窓の曇りといった忌々しい症状から解放され、ともすれば新車のにほひと言っても過言では無い、吹き出し口からの清々しいまでの風のそよぎを手にしたことは非常に満足のいく結果を得た作業となりました。

・・・ポケットに入れっぱなしで作業していた事によるiPoneの画面が割れてしまったことを除けば・・・がっくし _| ̄|○

今回の作業のポイントは・・・

スマホはポケットから出して作業する!

です(違

今回のレポートが、ヒーターコアからの冷却水漏れに悩まされながらも、一歩作業に踏み切れない方の手助けになれば幸いです。


なるほど! スマホはポケットから出して作業すればいいんだな!(違) DDも一度、甘いにほひを嗅いだことがあるので、あの絶望感はよくわかる(笑)。

末尾ではあるが、いつもながら有用なレポートをいただいた おくさんに感謝する。



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