2008年2月16日(金)
CCMの修理 その2 − 解決編
メーター下のディスプレイに「ESD regelt」や「BRAKE LT CIRCUIT」等が表示される場合、CCMが壊れている可能性が高い。「ESD」は「Electronic Brake Differential」、「regelt」は「regulation」なので、4WD車でない車両には通常出ない警告である。
「CCMの修理 その1 − う〜ん、ダメかぁ」のレポート以来、CCMに関しては、
のようなレポートをいただいていたが、未だにCCM故障の原因はわからなかった。
実は「CCMの修理 その1 − う〜ん、ダメかぁ」のレポート以来、DDはCCMの修理を諦めていたのだが、先月、北海道のBONBYさんからCCM解析途中のレポートをいただいた。さらに、先日、medama1goさんからのメールで、「CCMの故障はR60という抵抗にクラックが入ることが原因らしい」と教えてもらった。
そんなわけで、そろそろ真面目にCCMを修理しないといけなくなってきたようだ(笑)。幸いにも(?)、DDは壊れているCCMを持っているし・・・。
写真1に壊れているCCMを車両に取り付けたところを示す。
写真1 壊れているCCMこのCCMを車両に取り付けてエンジンをかけると、メーター下のディスプレイに写真2、写真3のような警告が表示される。
写真2 ESD regelt警告
写真3 BRAKE LT CIRCUIT警告おまけに、写真4のように「OWNER'S HANDBOOK(取扱説明書)を見ろ」との警告も表示される。
写真4 OWNER'S HANDBOOKまさに、代表的な壊れ方だ(笑)。いい感じである(何が?)。
まずは、壊れたCCM(写真5)を車両から取り外し、写真6のように基板を取り出した。
写真5 壊れているCCM
写真6 CCMの基板基板をよく見ても特に変わったところはない。R60は抵抗アレーだが、テスターで抵抗値を測ってみても正常であり(1kΩ)、クラックが入っている様子はない。
しかたがないので、図1のCCMの回路図とその周辺の回路をしばらく睨んでみた。
図1 CCMの回路図う〜ん・・・? 複数の回路図を睨むこと、約1時間・・・。 なんとかCCMの動作が理解できた。
CCMはLKMと連動して、最大40項目をチェックできるようになっているようだ。また、その制御はメーター(Instrumental Cluster)のコンピュータが行っているようである。
壊れたCCMで「BRAKE LT CIRCUIT」が表示されるということは、IC2のパラレル入力のP2がHIGHになっていないということである。その原因として考えられるのは、コネクタG7からP2までの経路が断線しているか、R60のプルアップが効いていないかのどちらかである。
R60はクラックが入っていないことはテスターで確認した。でも、medama1goさんからの情報にもR60が出てくるとは偶然ではあるまい。
そこで、写真7のようにCCMに電源を接続して、その動作を追ってみた。
写真7 CCMに電源を接続したところすると、IC2のP2がHIGHになっていない。P2だけでなく、IC2のすべてのパラレル入力がHIGHになっていない。R60の抵抗値はテスターでチェックしたはずなのに・・・?
残る答えは、R60のコモン端子に電源電圧がかかっていない、すなわち、この部分のハンダクラックだけである。写真8にR60のコモン端子の位置を示す。
写真8 R60のコモン端子基板を裏から見ると、写真9の位置にR60のコモン端子がある。
写真9 R60のコモン端子(基板の裏)この部分のコーティングを取り、写真10のようにハンダを盛り直してみる。
写真10 ハンダを盛り直しているところ再度、電源を接続してIC2のパラレル入力の電圧を測ると、すべてHIGHになっていた。やはり、R60のコモン端子のハンダクラックが原因だったようだ。
このようにして修理したCCMを車両に取り付けると、写真11のように警告は出なくなった。
写真11 警告が出なくなったやはり、原因はハンダクラックか! そう言えば、LKMの不具合もリレー端子のハンダクラックだったなぁ・・・。
今回は、R60のコモン端子だけハンダを盛り直したが、R60〜R61の抵抗アレーの全ての端子で同様にハンダクラックが入る可能性がある。プラスチック筐体のCCMはよく故障すると聞くが、おそらくR60〜R62のどれかの端子にハンダクラックが入るのが原因であろう。
末尾ではあるが、有用な情報をいただいたBONBYさん、medama1goさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。