2017年9月19日(火)
DD2号 中枢電子装置の異常 − 原因は
出張前に様々なエラーが出るようになったDD2号だが、そんなことはすっかり忘れて出張先では写真1のようにBMW仲間と楽しんだ。皆さん、わざわざお集まりいただきありがとうございました。
写真1 BMW仲間との飲み会たらふく飲んだ後、ホテルでベッドに寝ころびながらDD2号のエラーの原因をぼーっと考えていた。
何種類かのエラーが同時に出るということは、いくつかの機能が同時に動作しなくなるということである。しかし、複数の機能の構成部品が同時に壊れることは考えにくい。同時に複数の機能が動作しなくなることを、業界用語でCCF(Common Cause Failure)と呼ぶのだが、その原因は多くの場合、補機系統の故障である。すなわち、それらの機能を実現するためのサポート系統(電源系統、油圧系統、冷却系統など)が不作動になると、複数の機能に影響が出るというわけだ。今回の場合、複数の電装系の機能が動作しなくなったので、そのCCFは電源系であろう。しかし、これまで正常に動作していたDD2号の電源系が急に壊れることもあるのだろうか?
そんなことをぼーっと考えていた時、あることに気が付いた。DD2号は、普段あまり乗らないので「DD2号 ソーラーパネルの取り付け − バッテリー上がり対策」で報告したように、駐車中は写真2のような脱着式のソーラーパネルを付けている。
写真2 ソーラーパネル最近、ソーラーパネルの配線が根元から切れてしまったので、写真3のようにプラスチック板に端子を付けて切れにくいように改造していた。
写真3 ソーラーパネルの配線白いワニ口クリップは、その間に電流計を挟んだ時に充電電流を測れるように取り付けたものだ。このソーラーパネルはOBD IIの+12V常時電源とGNDの間に接続されている。しかし、写真3をよく見てみると、ワニ口クリップとソーラーパネルの端子が接触したときに、ODB IIの+12V電源とGNDがショートし、そのヒューズが切れてしまう。これはマズい。もしかすると、これが原因かもしれない。
そう思って、配線図を調べたところODB IIの+12V常時電源のヒューズはF29であり、その電源は他の診断システムと共通になっていることがわかった。きっと、ソーラーパネルのワニ口クリップが端子と接触してショートし、F29のヒューズが切れたのが原因だな。そうとわかれば話は早い。
出張から帰宅してDD2号のF29のヒューズを調べてみる。F29は写真1のようにグローブボックスの奥にあるようだ。
写真4 グローブボックスの奥写真5のように、この奥にある長いプラスチック部品の裏のボタンを押して、この部品を外す。
写真5 長い部品を外しているところその後、奥のパネルの上にあるフックを外すと、写真6のようにパネルが手前に倒れてきてヒューズが見える。
写真6 グローブボックス裏のヒューズこのヒューズは、上段左から順に1から番号が付いている。上段左には9個のヒューズがあるので、下段の最も左はF10である。ということは、F29は写真7の赤矢印の位置にある。
写真7 F29のヒューズ回路図ではF29のヒューズは10Aだったのだが、DD2号には5Aのヒューズが入っていた。理由は不明だが、とりあえずこれを交換してみよう。このヒューズを外すために、写真8のようにトランクカーペットの下にある赤いヒューズクリップを使う。なお、写真8のようにカーペットの下にはスペアの5Aヒューズもあった。
写真8 ヒューズクリップとスペアヒューズこのヒューズクリップを使ってF29のヒューズを抜くと、やはり写真9のように切れていた。思った通りだ。
写真9 スペアの5Aヒューズ(左)と切れたヒューズ(右)これを新しいヒューズに取り換えた後、エンジンを始動させてみようとしたが、ブレーキペダルを踏みながらスタートボタンを押しても全くセルが動かない・・・? バッテリー電圧を測ってみると、8V程度しかない。出張前にはエラーは表示されるが、セルは勢いよく回ってエンジンはかかったので、バッテリーの充電が少なくなっていたわけではないだろう。どうやら、F29が切れると何かのバックアップ回路が働くのか、電源をOFFにしていても出張に行っている間にバッテリーを消費し続けてしまったようだ。しかたがないので、まずは写真10のようにバッテリーに直流電源を接続して3Aぐらいで一晩充電した。
写真10 充電中充電中は雨等がトランクに入ってこないように、写真11のようにマスカーで養生しておいた。
写真11 マスカーでトランクを養生しているところさて、一夜明けてバッテリーの電圧も13V弱となったので、エンジンをかけてみる。すでにリモコンドアロックが動作するようになっているので、期待できそうだ。車に乗り込み、ブレーキペダルを踏みながらスタートボタンを押すと、あっけなくセルが回りエンジンが始動した。少し近所を走ってみたが、車両の時計がリセットされているだけで特に問題ない。完治したようでひと安心だ。
kidsさんの情報によると、バッテリーが弱ってきても同様の現象が起きるようだ。DD2号のバッテリーは以前にいつ交換したのかわからないので、そろそろ交換も考えておいた方が良さそうだ。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。