2016年11月26日(土)

DD2号  ホイールアライメント調整 − その5 右リアトー角の調整

DD2号  ホイールアライメント調整 − その4」で報告したように、ホイールアライメントを何度か計測してみた結果、右リアホイールのトー角を調整する必要があることがわかった。そこで、早速、調整してみることにした。

まずは、写真1にようにリア側をジャッキアップして、右後ろのタイヤを外す。


写真1 ジャッキアップしてタイヤを外したところ

リアタイヤのトー調整もキャンバー調整と同様に偏心ボルトを使う。その偏心ボルトは写真2の位置にある。写真右が前側だ。ストラットとの位置関係を見てもらうと、おおよその位置がわかるだろう。


写真2 偏心ボルトの位置

この偏心ボルトにアクセスするために、写真3に示すヘッドライト光軸調整用のレベルセンサのコネクタを外しておく。


写真3 レベルセンサのコネクタ

トー調整用の偏心ボルトは、写真4のようなボルトであり、16mmのソケットに合うようになっている。反対側にあるナットも16mmだ。


写真4 トー調整用偏心ボルト

この偏心ボルトは、回転軸中心から約3.5mm偏心しており、写真4の左右方向に+/-3.5mmの調整が可能である。一方、リアのアーム部分を上から見ると写真5のようになっている。


写真5 リアのアーム部分を上から見たところ

写真5の赤矢印の右端のアームの付け根が偏心ボルトで最大+/-3.5mmだけ上下に調整できることで、トー角を調整できるようになっている。今回は10〜17'(0.17〜0.28°)ほどトー角を外側に向けるように調整する。赤矢印の長さは約135mmだ。トー調整角を14'(0.23°)とすると、偏心ボルトの調整距離は

  135 × sin(0.23°) = 0.54 (mm)

となる。偏心ボルトは90°回転させると3.5mm偏心するので、0.54mmだけ偏心させようとすると

  arcsin(0.54 / 3.5) = 8.9°

だけ回転させればいいことになる(調整前が写真4のように偏心0の状態にある場合)。そこで、写真6のようにおおよそ10°ぐらい偏心ボルトを回転させてみた。


写真6 偏心ボルトを10°回転させたところ

これにより、アッパーコントロールアームが0.54mmだけ外側に出たことでトー角が0.23°だけ外側に開いたことになる。ちなみに、この裏側にあるナットの締め付けトルクは100Nmだ。でも、トルクレンチの入る隙間がないので測れない・・・。今回はナットを緩めずに、ナットと偏心ボルトを同時に10°だけ無理矢理回転させた。

偏心ボルトを調整した後は、タイヤを取り付け再びアライメント測定だ。写真7、写真8に車体の方向を変えながらホイールアライメントを測定しているところを示す。


写真7 前側を上げて車体を水平にしているところ


写真8 後ろ側を上げて車体を水平にしているところ

このようにして計測した結果を表1に示す。

表1 計測の結果

フロント

リア

測定条件

左キャンバー

右キャンバー 

トータルトー

左キャンバー

右キャンバー

左トー

右トー

トータルトー

前側を上げた時

-0.99°

-0.76°

14'

-1.80°

-1.74°

7'

10.5'

17.5'

後ろ側を上げた時

-0.87°

-0.70°

0'

-1.57°

-1.69°

7'

0'

7'

規定値

-32'〜+8' 

 0'〜20'

-2.33°〜-1.67°

-

0'〜20'

前側を上げた時はフロントタイヤをスロープに載せており、後ろ側を上げた時はリアタイヤをスロープに載せている。スロープの幅はタイヤの幅より狭いので、タイヤがスロープの中心に乗らずに偏っている場合は、トー角やキャンバー角が変わってきそうだ。ということは、スロープに乗っている側の計測結果はあまり信用できそうにない。

すなわち、フロントホイールのアライメントを測定するときはリアタイヤをスロープに載せて車体を水平にして計測し、リアホイールのアライメントを測定するときには、フロントタイヤをスロープに載せて車体を水平にして計測すればいいことになる。このように考えると、表1の結果は太字の部分だけがある程度信用に足る測定結果と言えよう。

いずれにしても、今回の右後ろのトー角調整で、調整できないフロントキャンバー角以外はきちんと調整できたことになる。この方法でのアライメント調整もちょっと慣れてきたので、今度は精度を上げる方法を考えてみよう。


 


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