2006年6月7日(水)

スラストアームブッシュの補修 − 北海道のおくさんより

北海道のおくさんより、なんか凄いレポートが届いたので紹介しよう。こんなのアリかぁ〜?


こんにちは。北海道の おく です。最近、小遣いを減らされますます貧乏になっていく私のケチケチメンテレポートを作成しました。何かの参考になればと・・・。

4月に入り、ここ北海道でもようやく夏タイヤの季節となったころから、なんだかハンドルがブルブルするようになって来ました。もしやと思い、ジャッキアップして各アーム類をゆすってみると・・・ お約束のスラストアームにガタが!!

しかもよくあるブッシュ側ではなく、ボールジョイント側でガタが・・・orz  たしかに段差でがたんっと音がしていたな・・・ これでは高額なアーム本体を購入しなくてはならない・・・

貧乏な私は行きつけの解体屋さんに行ってみました。そこで発見したのは、有名なでぃーらーのステッカーを貼ったドノーマルの綺麗な525。

足回りをじっくり見てみると、スタビのアーム(ベンドラムサポートでしたっけ?)なんて、まだ電気亜鉛めっきの表面がピカピカしている状態。でぃーらーできちんとメンテしていた証拠だ!! 当然スラストアーム・ロアアームともにガタなし!!

そこで、巧みな話術にて解体屋さんのお兄さんと交渉し、ロアアーム左右・スラストアーム左右・スタビアーム左右を取り外し込みで1万2千円で取引成立しました。今回はスラストアームだけ必要でしたが、こういった消耗部品は(中古でも)持っていたほうが安心なのでOK!

余談ですが、以前競技車に乗っていたころは、林道で刺さってロアアーム曲げるのなんて日常茶飯事でしたので、よく解体屋さんでロアアームを買ってきて交換していました。ですので、中古のアームになんら抵抗はありません。要はボールジョイントがガタが無くてブッシュが生きていてアームが曲がっていなければOKですから。また、当時乗っていたトヨタ車は、ロアアームとボールジョイントが別の部品になっており、ボールジョイント部分だけ交換できたものです。

・・・数日後、はずされたアームを引き取ってきました。そこで改めてよく見てみると・・・?

スラストアームのブッシュ、ひびわれてるやん!!orz  でぃーらー整備だからって安心していたのに・・・  考えること5秒(短っ!) ブッシュ補修すればいいやん!という結論に到達しました。

と、ここまでが今回のレポートの前置きです(長っ!!)

まず、ひび割れたブッシュの補修として、割れた部分をくっつけるにはどうすればよいか・・・? 今回のブッシュはどうやらただのゴムの塊で、中にオイルが封入されているものではなさそうです。

ということは、とりあえずくっついていれば大丈夫かな? ということで、ここでは有名な瞬間接着剤を使用しました。ブッシュの汚れを綺麗に取り除き、割れ目にたっぷり瞬間接着剤を流し込み、一晩放っておくと、次の日にはきっちりくっついておりました。(このあたりまではレポート作成の意思が無かったので写真がありません・・・ごめんなさい)

しかし、なんでそんなにすぐ裂けてきちゃうんだろうなぁ、とブッシュを前ににらめっこしていました。ブッシュとアームの取付位置関係は、図1のようになっています。


図1

ここで、青いプラスティック製の部品がブッシュにはまっていますが、これを抜き取ってみます。


図2

図2の濃い青色の部分が、ブッシュの中央の金属部分(灰色)と内周のゴム(橙色)の間に挟まっていますが、その間にはすこし隙間があります。

ここで、ブッシュにかかる力とそれによるブッシュの変形を考えてみますと・・・


図3

ブッシュ中央の金属部分、ボルトが通って車体に固定される部分を中心に考えると、車両の前進時にはタイヤから車体前方よりアームを押す力が加わります。図3のようにゴム部分が変形してその力を受け止め、吸収しようとします。

点線で記載した部分が、前方より入力があったときの状態です。このゴムのたわみの繰り返しで、ゴムが裂けてきてしまうのでしょう。

そこで、ゴンザレスさんのレポートのようにコーキングを充填してしまおうかとも思ったのですが、より硬さのある薄手のゴム板を細かく切断し、何枚か挟み込むことにしました。


写真1


図4

マイナスドライバーでぐいぐい押し込んで・・・ 今にして思えば、ここにも瞬間接着剤を流し込んでおいてもよかったかな? この作業で、手でぐにぐにしても前よりゴム自体のたわみは激減しました。たわみが少なくなるということは、それだけゴムの裂けも減るのではないでしょうか?

その後、ブッシュとの密着を考え、その辺にあったシールパッキンブラック(ゴム系の液体シール剤)にて完全に隙間に充填して、また一晩放っておきました。


写真2

次の日には・・・手でぐにぐにしてもビクともしないブッシュが完成しました(笑)

その後、行きつけの工場にてアームの交換作業を行い、試走の結果、ブルブルも出ず良好な状態を確認しました。

ここで再度考察してみましょう。

そもそも、純正状態のブッシュは手でグニグニすると少々動きます。このゴムの弾性によって、タイヤからの入力を吸収しボディに伝えないようにしているのでしょう。ここをかちかちにしてしまうとどうなる??

タイヤからの入力を吸収すべきところが無くなる・・・
タイヤ、ホイールそのものに力が掛かり、ホイールの変形・・・
アーム自体の変形・・・
ボディ側アームの付け根の変形、クラック・・・

とまぁいろいろ考えられるのですが、まぁ私の車の使用状況ではさほどハードな走りをするわけでもなし、ブッシュの強化(?)による他所への攻撃性という点ではそんなに影響はないかな?と。

またブッシュの強化による乗り心地の悪化、たとえばハンドルや車体へ振動が伝わりやすくなるなどですが、これもまぁ昔乗ってた車に比べたらたいしたことではないかと。

それよりは、ブッシュの裂け、傷みによるブルブル発生をいかに抑えられるか? というところが自分にとっては重要であります。

実際交換後1ヶ月ほど乗っていますが、ブルブルも無く状態は非常に良いままです。思ったほど乗り心地の悪化もありませんでした。あとはこのブッシュがどれだけ耐久性があるかということでしょう。

基本的には、ブッシュがたわんで衝撃を吸収するつくりになっているのが純正状態なので、ブッシュが傷んでブルブルになったら素直に新品交換すべきでしょう。

でも・・・お金がない私のような人、でもブルブルは嫌だし〜、という人はこれはひとつの方法ではないかと思います。基本的には材料費などほとんど無いし、手間のみです。アームの交換ができる人なら誰でもできるでしょう。ただブッシュが原型を留めないほどズタボロだったり、ボールジョイント側がイってるアームは素直に交換しましょう(笑)

・・・しかし、修理工場などでこういう作業をやってもらおうと思っても、難しいかもしれませんね。あとあと保障できないでしょうし。自己責任でおねがいします。ってやつでしょうね。


いかがだろうか? 読んだ人の半分以上は「マジで?」と思っているに違いない。でも、貧乏な 倹約家の関西E34軍団の人は「コレって、なかなか使えるかも?」とか思っているのだろう(笑)。

末尾ではあるが、とってもチャレンジングで面白いレポートをいただいた おく さんに感謝する。どれぐらい耐久性があるのか、追加レポートもいただきたいものだ。



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