2006年6月9日(金)
Mスポーツシートの革の張替え − 北海道のおくさんより
北海道のおくさんより、連続レポート投稿だ。今回は結構な大作だ。
こんにちは、北海道の おく です。以前革シートの補修レポートをDDさんに掲載していただきましたが、さすがにパテをがっつり盛った助手席側のひび割れがひどく何とかしたいと考えておりました。
そんなとき、手動式ですがそこそこ程度の良い黒革スポーツシートを発見し、なぜかその数日後また家に届いたので、革とウレタンを電動シートに移植してみようかと思ったのです。
届いたシートです(写真1)。仕事が忙しく、1週間ほど車庫でほったらかしでした。
写真1さて、久しぶりに早く帰ってきた金曜日。シートばらすぞ!と意気込んでみるものの、富豪刑事にはまってしまい、うだうだしているうちに時刻は11時前・・・ でもやらないと終わんないしぃ〜 作業着に着換え車庫へ行きました。
早速、解体に掛かります。まずはヘッドレストを引き抜き、シートバックのカバーを外し、シートの前側を上下させるレバーを外します。トルクスで止まっています。サイズは・・・忘れました(笑) 先端2ミリくらいのものでした。すいませんが、写真なしです・・・。
そして、ももの部分を前後させるつまみをひっこ抜きます(写真2)。引っ張れば取れます。
写真2シート左右のプラスティックカバーを外します(写真3)。やはり同サイズのトルクスです。
写真3裏面、後ろ側からクリップでも留まっています(写真4)。マイナスドライバーでこじって外れます。あ、内装剥がしっていう良い物も売っていますね。持ってないけど・・・
写真4次に、いよいよシート本体の解体に入ります。
まずは座面裏側前方、ももの部分の可動部の金具を引っぱって外します(写真5)。これ、グローブボックスダンパーをつけるときに外した紐をグローブボックスに止めている部分についている金物と同じようなやつですね。これでももの部分がフリーになります。
写真5ももの部分をめくって、座面の前方下部のC型金物3個を外します(写真6の位置にある)。写真撮るの忘れた・・・ 座面をシートフレームに留めているものです。C型金物は針金をC型に丸めたようなもので、ラジオペンチで引っ張るとぐにゃりと曲がって外れてきます。これから先、多量のC型金物を外すことになります・・・。
写真6座面下部のC型金物を外します(写真7)。左右10個くらいだったかな?
写真7シート後側の、座面の革を止めているツメを起こします(写真8)。これは、シートフレーム本体鉄板のところどころに1センチほどのツメ状の加工が施してあり、このツメに革を刺して折曲げることで革の固定をしているものです。ニッパーでがっちり掴んでむりむりっと引き起こします。
写真8これでまずは座面が革とウレタンごと剥がれます!(写真9) ここまでで1時間くらい掛かっている・・・ 現物見ながら試行錯誤でやっているので仕方ないんですけどね。
写真9引き続き、座面サイド部分前方のツメを起こします(写真10)。ここだけで片側4〜5箇所くらい?
写真10座面サイド下部のツメを起こします(写真11)。片側3個くらい。
写真11座面サイド後側横面のツメを起こします(写真12)。片面3個くらい?
写真12座面サイド内側(?)のC型金物を外します(写真13)。片側3個くらい。
写真13はい、これで座面サイドサポート部分の革が剥がれました!(写真14) ウレタンもこれで剥がれるはずですが・・・?
写真14フレームにウレタンがねっぱっている(北海道弁?くっついているの意)ので、マイナスドライバーやカッターでやさしく剥がします(写真15)。
写真15反対側も同様に、大胆かつ繊細に剥がしましょう! 座面解体で2時間くらい掛かりました・・・ 時刻は1時をまわっており、もうネムネムです。
お次は背もたれにかかりましょう。
まずは背もたれの上部、シートフレームからのツメを起こしましょう(写真16)。8個くらいだったかな?
写真16背もたれ裏面のC型金物を外します(写真17)。背もたれ部分のウレタンとシートフレームを留めています。片側4個くらい?両側外します。
写真17背もたれ裏側下部のシートフレームのツメを起こします(写真18)。全部で8個くらい。
写真18これで背もたれが外れます(写真19)。もう一息!
写真19背もたれサイドサポート部の革を止めているシートフレームのツメを起こします(写真20)。上から下まで片方10個くらい・・・?
写真20背もたれサイド裏側のフレームに止めているC型金物を外します(写真21)。片側4個!これは覚えている(笑)
写真21これで・・・背もたれサイドサポート部が革とウレタンごと外れます! 写真ないんですが・・・一つだけ問題が・・・。
サイドサポート部の革ですが、背もたれのフレームが座面フレームとボルト止めになっているところ(ちょうど背もたれを倒すと稼動する部分ですね)、そこを革に穴が開いていてフレームが革を貫通するようになっているのです。
革を傷めないようにバラスとなると、背もたれと座面を外さないとならない・・・ 時刻はもう夜の1時を過ぎている・・・眠い・・・明日も仕事・・・ 思考能力のなくなっている自分は、革をチョッキンしてしまいましたとさ。
でも大丈夫、フレームのツメに革が留まる向きをよぉく考えてチョッキンすれば、あとで問題なく収まるだろうと考えました(実際上手く収まった)。横に引っ張って留める部分と、下から上向きに引っ張って留める部分に分けて考えれば大丈夫です。って文章で書いてもわかりづらい・・・orz
翌日の移植手術に向けて、仮に外したフレームに乗っけてお約束の染めQで軽くスプレーしておきました(写真22)
写真22ここまでで計3時間半、慣れればもうちょっと早くできそうです。
さて、翌日仕事より帰宅後、いよいよバチスタ手術の開始です(笑)。昨日の教訓を生かし、食事後いそいそと作業にとりかかります。
まずは手馴れた手つきで車体からシートの取り外し、と。 ・・・なれたはずがなかなか外れない・・・ 思い切り力をかけて持ち上げたら・・・
バキッ!
横のプラスティックカバー割れた・・・orz 外せるものは、先に外してからシートを車外に出すと良いでしょう。瞬間接着剤でくっつけてごまかしたことは言うまでもありません(笑)
電動シートということで、昨日の作業とどれだけ違いがあるかが不安でありましたが、基本的には一緒でした。モーターが邪魔で作業できないといった部分もありませんでしたし。
ここからは手動シートとの違いのみ記載しましょう。
まず、ももの部分の可動部の固定金物は同じでした(写真23)。
写真23ただしモーターのせいで手動より外しにくいので、シート下部前方のビス3本を外すとモーターが少々動くので外しやすくなるでしょう(写真24)。
写真24シート座面サイドサポート部分の革の、電動と手動の比較です(写真25)。レバー、電動スイッチの違いで穴の位置も違います。上が電動用、下が手動用。電動スイッチ用に新たに穴を開けましょうか。手動レバー用の穴は、さっき修理したプラスティックカバーで隠れてしまうので大丈夫。反対側(センターコンソール側)はとくに違いなし。
写真25この電動スイッチ用の穴を開け間違ってしまうと、一番交換したかった部分が台無しになってしまうので、刃を入れるのはとても緊張しました。仮に電動シートに被せて位置を調整しておき、フレームのスイッチ部の開口にあわせてカッターで切り開いていくと上手くいきました(写真26)。
写真26昨日は解体のみだったので気にならなかったのですが、組み立てとなると、あのいまいましいC型クリップでフレームと革を止めなくてはいけません。
正確にはフレームと、革の中に通っている針金?かさの骨のようなものとをしばるのです。最初の1個を留めるのに10分くらい掛かってしまいました。もうラジオペンチを投げつけたい気分です。
そこで考えを改め、違う方法を思いつきました。そこらへんに転がっている、屋外耐候用の黒いインシュロック(結束バンド)を使ったのです。
構造を良く考えてみると、このクリップで留まっているところは、基本的には引っ張る力は掛からず人の重みで逆に押し付けられるところであります。ではなぜ留める必要があるかというと、ただ浮き上がって出てこないようにフレームとウレタン、革を止めているだけのようです。
インシュロックは所詮ビニール、極度に引っ張ると千切れてしまいますが、その心配はあまりなさそう?耐候用だから大丈夫!などどと自分に言い聞かせて、C型クリップのところはすべてインシュロックで縛ってしまいました。
もう1点、電動シートは車体から出してしまうと電源が無いため、簡単に各所の移動が出来ないことを心配しましたが、背もたれも普通に運転するときの角度で全く支障ありませんでした。ヘッドレスト、ももの部分も特にどこにあっても作業できそうでした。一つ、シートの高さは前後ともに一番高くしておいたほうが良さそうです。
そんなこんなで、助手席側シートは程度下から程度中くらいまでは良くなりました(写真27)。写真ではわかりませんか?そうですか・・・(´・ω・`)ショボーン
写真27運転席側は、以前の染めQ塗装のシートですが、ツヤツヤ感は出ているものの、まだまだ行けそうな状態の良さです。助手席側と質感が変わってしまいましたが気にしなーい。
最後に、家の車庫に手動Mスポーツシートのフレームが1客ありますが、誰か要りませんか?(笑) うそです、そのうち業者に引き取ってもらいますので・・・(写真28)。
写真28まぁ・・・ある程度の腕をお持ちの方でしたらこの程度のことは出来ると思いますが、何がしかの初期知識のあるなしでは作業にあたり手間や時間の掛かり方が違うと思いレポート作成してみました。
これでシート張替えもドナーのシートがあれば自分で出来る作業の一つになるのでは?と考えます。
おく さんは何気なく書いているが、これはかなり面倒で技術の必要な作業だろう。実行するにはちょっと勇気が要りそうだ。それに、組み立て時にインシュロックを使うとは考えたものだ。確かに、C型金具で再固定するのは難しいだろう。
末尾ではあるが、とってもチャレンジングで面白いレポートをいただいた おく さんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。