2005年6月26日(日) 2007年9月7日(金) 追記
エアコンの修理とレトロフィット(後編) − medama1goさんより
今回は、前編の続きを・・・。
SPEED社に部品を発注してから到着まで、2週間ほど掛かるので、その間にこんな事をしてみました。
外した配管。みなさん知っての通り、エアコンの配管はエンジンルーム、しかも高温になるエキマニのすぐ脇を通っています。そのためか、外した配管の断熱材はグズグズに硬化していて、触るとボロッと崩れてくる状態でした。
そこで、アルミの保護カバーを外し、断熱材を剥ぎ取ります。
この白いものは...本やお皿などの梱包に使うクッション材。これを断熱材として利用します。配管に巻いて、
上からアルミフォイルを巻きつけ、その上に金網を巻いて固定します。
もう1本も同様にして、完成。
ただ、こんなものがどの程度熱に耐えるのか判りませんので、こんなテストピースを作成。
エアクリボックスの脇、一番エキマニに近付く辺りに固定してみました。このまま2週間放置プレイ。
半分忘れかけた頃に引き上げ、開いてみました。中は白い断熱材をアルミフォイルで巻いただけのもの。但し、エキマニ側はアルミが1枚だけになるように巻きました。
中の断熱材に折り癖はついたものの、溶着している感じは有りません。
が、しかし、一番エキマニに近かった表面は、若干溶けた跡が...(ほとんど見えませんね^^;)
もっとも、実際には少なくとも2重以上はアルミを巻いており、さらにその上にアルミダクトを保護のために巻く為、これで良しとしました。
さらに、この間にエバポをラジエータ屋にてチェックしてもらい、エバポよりの漏れの無い事を確認。そして、電装屋にてコンプレッサーのテストをして貰った時、一番恐れていた事実が発覚!
「コンプレッサー、シャフトシールから漏れてるね。」
リビルトコンプレッサー交換で約7万と痛い出費になりますが、既に後には引けません。
「じゃ、お願いします。」と涙をのんで発注。後にO/Hについて聞くと、やはり、信頼性などの点から、あまり薦められないとの事。
以前に注入された漏れ止めが、コンプレッサーのフロントシールに回り、硬化したため漏れてきているそうです。どうやら、弱ったコンプレッサーに安易に漏れ止めを注入するのは、止めを刺す事になるようです。
そして、荷物が到着。ドイツからの郵便です。
今回注文したもの
レトロキットの中身です。
リキッドタンクと、リキッドタンクの配管接続に使うO-リング、プレッシャースイッチにガス注入バルブアダプターと、レトロフィット実施済みステッカー3種が入っていました。
ステッカーはそれぞれ、記載されているガス及びオイルの量が違いますので、間違えないように。E34はガスが1550gと記載されているものになります。多分残りは3及び7シリーズの車両に使用するものと思われます。
ここで、新旧のO-リングを比較してみます。まずは旧タイプ。真っ黒で、ごく普通のO-リングに見えます。
ついで今回交換するもの。見づらいですが、銀色で、何やら粉っぽい感じがします。
擦ってみると、銀色がはげて、緑色になりました。
どうやら新旧で材質が違うようです。オイルとの相性問題や、ガス漏れの問題などからかもしれませんが、気になる方は、やはり全てのO-リングを、交換したほうが良いかもしれません。
バンパーを外し、コンデンサー接続部のO-リングも交換します。
エキパンをエバポに付けて車内へ戻し...
補修した配管を接続して、
コンプレッサーを取り付け、配管します。
最後にリキッドタンクを取り付け、電装屋にて真空引き、&ガスチャージ。非常に丁寧に仕事をする電装屋で、通常5分程度で終わらせる真空引きをわざわざ1時間近くも引いてくれて(内部の水分を完全に蒸発させるため。)、ガスチャージも、1本ずつ確認しながら注入してくれました。
ガスを2本ほど入れ終わった辺りから次第に冷え始め、5本ほど終わった頃には既に充分すぎるほどの冷気が出てきていました。ただ、ゲージ上ではまだ余裕があるということで、結局、規定量+の1600g(缶の容量の都合上。実際は缶交換時のロスがあるため、1550+程度と思われる。)を補充して終了となりました。
今回お世話になった電装屋は、お店の都合で店名は明かせませんが、とても感じの良いショップでした。外車も見てくれると言うことで、今回、何度も足を運んだのですが、そのたびにVW-ポロからMB-S500まで様々な車が毎回入庫していました。
ちなみに、エバポを点検してもらったラジエータ屋も、丁寧に仕事をしてくれるいい印象を受けました。こちらは、輸入車のラジエータも新品から修理まで引き受けてくれるそうで、要望があればワンオフでの製作までしてくれるそうです(私はそこまでは用が有りません^^;)
現在、終了後およそ2週間ですが、今のところは当然のごとく全く問題なく冷えております。よく、R-12からR-134aに換えると効かないという話を聞きますが、実施した感想からすると、そのような印象は全く有りません。
私自身、凍りつくほど冷房を効かせるタイプではないので、その辺りも関係するかもしれませんが、いずれにせよ、全く問題なく使用できます。
今回の作業の概略図を一応載せておきます。
なれないCADソフトを使い、DXF⇒BMP⇒JPGと2度も画像変換をしているので、いささか見づらい図になってしまいましたが、ご勘弁をm(__)m
この図の中の細めの配管が高圧側、太目の配管が低圧側になります。所々で、配管を横切るように入っている線が接続個所で、一箇所赤く色が付いている所がバルクヘッドになります。そこより左側が室内、それ以外がエンジンルームとなります。図中のO-リングA,B,C,Dはそれぞれ同一の規格になります。
今回発注した部品は、
1) 82 31 9 067 396 , Qty = 1 , @110.47 Euro , @1.140 Kg ,
Desc = RETROFIT KIT R12 -> R134A2) 64 50 8 390 601 , Qty = 5 , @1.03 Euro , @0.001 Kg ,
Desc = GASKET RING3) 64 50 8 390 602 , Qty = 3 , @0.79 Euro , @0.001 Kg ,
Desc = GASKET RING4) 64 50 8 390 603 , Qty = 3 , @0.79 Euro , @0.001 Kg ,
Desc = GASKET RING5) 64 50 8 390 604 , Qty = 4 , @1.03 Euro , @0.001 Kg ,
Desc = GASKET RING6) only FEBI 12199 , Qty = 1 , @29.85 ・Euro , @0.149 Kg ,
Desc = AC Valve (64 11 8 362 851) > EXBW 003 is no longer available !7) 20-30-1005 , Qty = 1 , @11.95 ・Euro , @0.134 Kg ,
Desc = Cabinfilter (64 31 1 390 836)Total : 18 item(s) , 166.28 ・EURO , 1.438 Kg (NET)
このうち、2)、3)、4)、5)、が、それぞれ図中のガスケットA,B,D,Cに相当します。(CとDがひっくり返っているので注意。)
これにリビルトコンプレッサーと、真空引き、ガスチャージで、総額概算で12諭吉と言う結果になりました。耐久性についてはまだまだ未知数ですが、今後変化が出れば、またレポートしたいと思います。
う〜ん。普通の人はここまでDIYでやるかなぁ〜(笑)。 まぁ、medama1goさんはDIYでヘッドガスケットを交換する人だから・・・。
末尾ではあるが、季節柄タイムリーなレポートをお送りいただいたmedama1goさんに感謝する。
medama1goさんより、レトロフィットのその後の様子をいただいたので紹介しておこう。
2005年にDIYでレトロフィットして、今年で2年が経過しようとしていますが、あちこちでエアコントラブルの相談が出ていますので、この辺りで現在までの所、感じた事を書いておきます。
現時点での所見
今のところ、明らかに感じるような大きな変化は無し。
街乗り炎天下では若干弱い気もするが、実用上はほぼ問題なし。
連続走行時間が長ければ長いほど快適。
高速道路等であれば、渋滞にさえハマらなければ、非常に安定した効きで、炎天下でも上記の冷えの悪さも全く感じない。
国産車に比べると「弱冷車」と言った感じか。
長時間の渋滞時はかなり熱が篭るようで、効きも低下し水温も上昇。この辺りは正に旧い欧州車といった感じか。
もっとも、旧ガス時の完全な状態を知らないため、純粋な旧ガス時との比較は出来ない。
* 一応家内からの苦情はナシ。
といったようなところです。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。