2004年9月11日(土)   2004年9月13日(月) 追記

LKMの解析(DIP BEAM警告回避!) − 岩野師匠より

皆さんの中には、ヘッドライトをHIDに変更している方も多いと思うが、HIDに載せ換えると、メーターのメッセージ欄に「DIP BEAM」という「ヘッドライトの玉切れ警告」が出る場合がある。

この対策として、「DIP BEAM警告回避装置  − HIDを取り付けてはみたものの・・・」等を作成してきたが、実際には点灯時の「DIP BEAM」警告はうまく回避されていなかった。そのため、HIDのバラストに電球を並列に接続する等の暫定的な方法しか対策がなかった。

また、テールライトやポジションランプをLED化した場合の警告回避も、有効な方法が見つからなかった。

が、しかし! 岩野師匠が有効な解決方法を見つけたそうだ。

その方法は、LKMというランプ類を制御するモジュールを改造する、というものである。

前置きはこれぐらいにして、早速、岩野師匠からいただいたレポートを紹介しよう。


概要説明

さて、今回は、ちょっと以前から気になっていたLKMの球切れ警告の解析です。手持ちの3種類を駆使して解析してみましたが、すべてを解析しきれませんでした。

LKMは色んな種類が存在しており、過去にお仲間に頂いたデータでも6種類が存在しました。私の解析結果では、この中でもJ仕様はバッグフォグランプの回路が内蔵されていませんでした。

 LKM-B   ECE   61.35−8350375 
 LKM-L   ECE   61.35−8350376 
 LKM-B   ECE   61.35−8356017 
 LKM-B   ECE   61.35−1379372 
 LKM-L  J  61.35−1379374 
 LKM-L   ECE   61.35−1390356 

LKMの警告機能は、

ここまでが、当初からあった機能です。その後、追加になった機能は、

以上のように、色んな警告をLKM内部で作成して、CCM経由でメータ内部に表示してくれます。

今回は、テールランプ等をLED化するなどで消費電流が変り、警告がでてしまうのを強制的にキャンセルして(殺す)しまうように改造してみます。 これを行うと、本当の球切れでも警告は出なくなりますので・・・始業点検は実施してくださいね!

同様に、ロービームをHID化して、キャンセラーでも消せないとか・・・。ブレーキ、ライセンスプレートとかもLED化したいとかの場合に、役に立てば幸いです。

あくまでも、個人的に趣味で解析したものであり、信用度は?です。 改造は自己責任でお願いいたします。

回路的には、内部にあるCMOS-ICのシフトレジスタ(CD4021)の入力に、各々の警告信号が入力されており、その端子電圧がHになったら警告状態と判断させています。すべての手持ちのLKMで同じICが使われており、同様な回路であると推測されますので、処理の仕方は同じだと思います。

このICの各警告の入力端子番号は、

1番ピン 左右のロービーム球切れ警告
15番ピン 左右のテールランプ球切れ警告
14番ピン 左右のライセンスプレート球切れ警告
13番ピン 右(左)ブレーキランプの球切れ警告
4番ピン 左(右)ブレーキランプの球切れ警告

です。

その端子に来ている信号を誤魔化して、いつもLに固定してしまえば、警告の機能は殺せます。

具体的には、その端子に来ている基板のパターンをカッター等で切り、端子をGND(8番ピン)につなぐことでアースに落とします。その後、防錆や安全の為にシリコンや接着剤で処理をすればなおベターかと思います。

概略の回路図も載せておきます。途中から加わった追加の警告機能も、シフトレジスタが2段に追加されているところまでは解析できています。

概略回路図(PDFファイル、約13KB)

 

改造例

それでは、実際の改造例を・・・。今回は、61.35−1379372をターゲットにしてみます。このLKMは、私の解析結果では一番シンプルで検出機能も少ないものです。

蓋を開けてみました・・・。さすがにシンプルです。リレーが4個見えますね。

右から順に、ロービームのリレー、ハイビームのリレー、フォグのリレー、バッグフォグのリレーです。

このリレーの半田付け部に経年劣化でクラックは入って、たまに点灯しないとかの
症状が起きたりしています。この場合、半田を付け直して修理できる場合が多いです。日本仕様のJ対応には、バッグフォグリレーもない事を確認しています。

さて、それでは、ターゲットの4021を探しましょう! 基板の識別のために貼り付けた「61.35-1379 372」のシールの真下がお目当ての4021です。

裏からみると、こんな感じです。

これは、テールランプの警告を消した例です。

15番に来ているパターンを切って(白い矢印の先)、15番ピンと8番ピンをジャンパー線でつないでいます。

これは4機能を殺した例です。

以上をパターンカットして、アースに落としています。

おまけで、これは、61.35-8350 375の写真です。

このLKMは、部品が半分位しか乗っていないのですが、初期の低機能のLKMの置き換えように作られた物とおもわれます。

すべての部品をつけると余計な機能が増えます。見にくいですが、シールの真下に4021がいますね。

おまけで、これは、61.35-8379 371の写真です。

このLKMは、フルに機能が載っていました。見にくいですが、シールの真下に4021がいますね。

裏側にも面実装品の4021がいて、これが追加された警告をだす為の物です。

 

追記

LKMには、内部が2枚基板になった物も存在します。すべてを見た訳ではないのですが、基本的には同様な回路であろうと思われます。ですので、ターゲットの4021を見つけさえすれば、改造は出来ると思います。

 

お願い

LKMを解析した結果と簡単な改造例ですが、あくまでも個人的に解析したものであり、ずべてを解析しきれておりません。改造は自己責任でお願いいたします。


すごい! すばらしい! 

モジュール内まで解析してしまうとは・・・・。レポートを読んだとき、唖然としてしまった。

解析結果を聞いてみると、「そんなものか」と思ってしまうかもしれないが、電気回路を少しかじったことがあるDDには、その凄さがわかる。LKMの基板の細かい配線を追い、車両に接続してその機能を解析するのは並大抵の人にはできるものではない。

なおかつ、こんな貴重な情報を、E34乗りの方のために無償で公開するとは・・・・。

マジで凄い人である。もしかすると、人間じゃなくてウルトラマンかも?。流石に、我が「師匠」だ。

いつもながら、こんな貴重な情報を提供していただいた岩野師匠に感謝する。


2004年9月13日(月) 追記

岩野師匠より、新しいLKMの解析結果が送られてきたので紹介しよう。バックフォグランプの玉切れ警告端子も解析できたようである。スゲーッ!


61.35-8 350 376の解析

ちょうど、有志から、不調の61.35−8 350 376番が手に入ったので解析してみました。
写真上が61.35−8 350 375、写真下が61.35−8 350 376です。

予想通り、376は、375に部品を多く実装して多機能版になっており、そのおかげで、前回の解析より、不明の箇所が少なくなりました。

下記に、概略の回路図を添付しておきます。

(376の概略回路図PDFファイル、14KB)

バッグフォグランプ球切れの端子が特定できたので、バックフォグランプが付いていないヘラのブラッグテール等で、バックフォグの球切れが出てしまう方には朗報でしょう。

また、解析結果では、オプションのハイマウントストップランプの球切れ警告も対応できるように、基板上ではなっているのも確認ができました(違う型番のLKMでしょうけど)。


DDもHella(ヘラ)のブラックテールを付けているのだが、警告が出るのを嫌って無理矢理バックフォグランプを移植している。しかし、上記の解析結果からバックフォグランプの玉切れ警告を殺すことができるなら、わざわざバックフォグランプを移植する必要はない。

ここまで来れば、DDは完全にお手上げである。岩野師匠なら、そのうちGMやCCMも解析していまいそうだ(笑)。



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