2020年11月14日(土)

E63 ATFの交換 − Sさん号

最近、一緒にメンテするSさんのATF交換をお手伝いしたので報告しておこう。用意したATFは、写真1のようにペール缶のWAKO'S ATF Safety Specだ。


写真1 用意したATF

それと、写真2のように、ATF注入装置のためのバケツ、ニップル、ホース(2m)だ。この注入装置や交換手順の詳細についてはこのレポートを参照のこと。この他に、オイルパン、取り付けボルト、コネクタスリーブ等を用意した。


写真2 ATF注入装置

まずは、写真3のように前後ともジャッキアップして前後のアンダーパネルを外す。


写真3 ジャッキアップしたところ

アンダーパネルを外すと、写真4のようにフィラープラグとドレインプラグが見える。赤矢印がフィラープラグ、緑矢印がドレインプラグだ。


写真4 フィラープラグとドレインプラグ

ドレインプラグを外すと、写真5のように古いATFが出てくる。ドレインプラグの締め付けトルクは8Nmだ。なお、ドレインプラグを外す前に、フィラープラグが緩められるかどうか確かめておこう。これが固着していると、ATFをドレインから抜いたのはいいが、フィラーから入れられないこともあるからだ。


写真5 ATFを抜いているところ

抜いたATFは、写真6のように2リットルのペットボトルに入れておおよその量を測る。


写真6 抜いたATF

写真7のように、おおよそペットボトル2本、4リットル弱ほど抜けた。


写真7 ペットボトルに入れたATF

さて、ATのオイルパンを外すのだが、その前に写真8のようにマフラーのハンガーを外しておく。これでオイルパンを固定しているすべてのボルトにアクセスできるようになる。


写真8 マフラーのハンガーを外しているところ

オイルパンは24本のボルトで固定されているので、これらを外していく。ボルトの数が多いので、写真9のように充電式のインパクトドリルを使う。


写真9 ボルトを外しているところ

すべてのボルトを外したら、写真10のように、そうっとオイルパンを外す。このオイルパンにも2リットルほどのATFが入っているので、こぼさないようにしよう。


写真10 オイルパンを外しているところ

写真11に新旧のオイルパンの比較を示す。


写真11 新旧オイルパンの比較(左:新、右:旧)

オイルパンを外したら、写真12のようにガスケットの当たる面をウェスで綺麗に拭いておく。


写真12 ウェスで拭いているところ

ついでだから、このATの弱点であるコネクタスリーブを交換しておこう。これを外すために、写真13のところにある白いスリーブのロックを下に引いておく。


写真13 スリーブロックを下に引いたところ

スリーブを外す前に、写真14の位置にあるコネクタを外す。このコネクタは、外側のリングを回せば外せる。取り付けるときは逆向きに回せばいい。


写真14 コネクタを外したところ

すると、このコネクタのところに、写真15のスリーブが見える。


写真15 コネクタのスリーブ

これを引き抜いて外す。写真16にスリーブの新旧比較を示す。


写真16 スリーブの新旧比較(左:旧、右:新)

新しいスリーブを入れるのがかなり難しい。ここで昼食を含め2時間ほどロスした。Oリングが2本ありなかなか入らないので、CRC等を吹いておこう。スリーブを入れたら、スリーブのロックを元に戻してコネクタを取り付けておく。

さて、ここまでできたらオイルパンを取り付けよう。ボルトの数が多く締め付ける順序が決まっているので、写真17のようにオイルパンに締めつける順序を書いた紙を貼っておこう。


写真17 締め付ける順序の紙を貼ったところ

これを写真18のようにATの下に取り付けて、10Nmで順に締め付けていく。


写真18 オイルパンを取り付けているところ

オイルパンを取り付けた後は、写真19のようにATF注入装置を車の横に置き、バケツにATFを入れる。


写真19 バケツにATFを入れたところ

ホースの先は、写真20のようにフィラープラグのところに入れておく。


写真20 フィラープラグのところからATFを入れているところ

「ATFをいっぱいまで入れたら、ドレインプラグから抜く」をくり返し、用意したペール缶のATFを使い切るまで計5回ATFを入れ替えた。写真21に抜いたATFを示す。


写真21 抜いたATF

右から1回目、2回目、3回目、4回目、5回目に抜いたATFだ。2リットルのペットボトルに入れているため分かりにくいが、一番左が最も色が薄くなっているのがわかるだろう。計算では約94%のATFを入れ替えたことになる。

交換後はかなりスムーズにシフトアップするようになったようだ。今回はATFの温度が高くなったのでATF量の厳密な調整はできていない。後日、ATFの温度を下げた状態でATF量を調整しておこう。



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