2016年2月14日(日)
DD2号 ATF交換 − オイルパンも
事前にいろいろと調べていたATF交換だが、調べているうちに注文しておいたATFもオイルパンも届いたので、実際に交換してみることにした。まずは、写真1のようにジャッキアップする。変な方向に車を停めているのは、駐車場の傾斜と垂直にしているからだ。写真では見にくいが、ウマの近くに万一の時のためのブロックも積んでおいた。
写真1 DD2号のジャッキアップ前側をジャッキアップしてウマをかけたら、写真2に示す前後のアンダーカバー2つを外す。外すのは前のアンダーカバーが先だ。
写真2 アンダーカバーアンダーカバーを外すと、写真3のようにATのオイルパンが見える。まずは、このオイルパンに溜まっているATFを抜く。そのために、写真4のようにオイル受けを下においてドレインプラグを外す。このプラグは10mmの六角だ。ちなみに、このプラグも8Nmのトルクで締めないといけないので、写真のようなソケット型の六角が欲しいところだ(ヨドバシの通販で安く買える)。
写真4 ドレインプラグを外しているところ写真1で見せたように、車は前側しかジャッキアップしていない。ドレインプラグはオイルパンの後方に付いているので、前側を上げた方が多くのATFを排出できるからだ。ドレインプラグを外すと、写真5のようにATFが出てくる。
写真5 ATFを抜いているところ次はATのオイルパンを外すのだが、その前に写真6に示す4本のボルトを外して、排気管のサポートを外す。これを外さないと、オイルパンを留めている後ろ側のボルトにアクセスできない。ボルトを外す前に、一旦ドレインプラグを取り付けておこう。
写真6 排気管のサポートを固定しているボルトこのボルトは、E型トルクスの8mmだ。普通の8mmのソケットでも外すことはできる。右2つのボルトは同じ長さで同じワッシャがあるが、左2本はそれぞれ異なるので覚えておこう。写真7に排気管のサポートを外したところを示す。
写真7 排気管のサポートを外したところオイルパンは24本のボルトで留まっているので、写真8のようにそれらを外す。このボルトはトルクスT-40だ。このオイルパンの底にはドレインからでは抜け切れないATFが溜まっているので注意して外そう。対角の2本を残して外していき、最後にオイルパンを支えながら2本を外せばいい。
写真8 オイルパンを留めているボルトを外しているところうまくオイルパンが外せれば、ATFを頭からかぶらずに済むはずだ。DDはちょっとだけ顔にかかったが(笑)。写真9にオイルパンを外したところを示す。
写真9 オイルパンを外したところオイルパンを外すと、写真10のようにAT内部が見えるようになる。オイルパンを外したら、ATFがポタポタと落ちてくるので、ATの下に少し分厚い目に新聞紙を敷いておこう。
写真10 AT内部取り外したATのオイルパンと新しく用意したオイルパンの比較を写真11に示す。
写真11 オイルパンの新旧比較(左:古い、右:新しい)このオイルパンの前側(写真の下側)は組み込みのストレーナ(フィルタ)になっている。交換することはできない。オイルパンには左右に2つの丸いモノがあるのだが、これがATFの中の鉄粉を吸着する磁石だ。外したオイルパンには、写真12のように多くの鉄粉が付いている。ちなみに、今回の作業ではATFを扱うため、写真12に写っているような使い捨てのニトリル手袋(100枚入り)を購入して作業した。
写真12 磁石に付いた鉄粉オイルパンが外せたら、写真13のようにオイルパンのガスケットが付いていたところを綺麗に掃除しておこう。
写真13 ガスケットが付いていたところの掃除新しいオイルパンを取り付けるときには、もちろん古いガスケットは廃棄して写真14のように新しいガスケットを付けておく。
写真14 新しいガスケット新しいオイルパンを取り付ける前に、写真15のようにATF供給口にあるOリングにATFを塗っておこう。
写真15 Oリングにオイルを塗っているところ準備が整ったところで新しいオイルパンを取り付ける。まずは、写真16のように24本のボルトを仮留めしていく。ここでは、まだ締め付けない。
写真16 ボルトの仮留めこのボルトの締め付けトルクは10Nmだ。かなりテキトー人間のDDでも、ここに24本ものボルトがあることや締め付け順序が決まっていることから、この締め付けトルクが重要であることが理解できる。そこで今回は得意の手ルクレンチではなく、写真17のトルクレンチを使って締め付ける。
写真17 10Nmが測れるトルクレンチこのトルクレンチを使って締め付けるのだが、締め付け順序は事前確認のレポートの最後にある図の通りだ。写真18にトルクレンチを使って締め付けているところを示す。
写真18 トルクレンチを使って締め付けているところなお、このトルクスボルトも新品に交換しておこう。古いボルトは錆びているので、その錆が締め付ける際の抵抗になり、10Nmという小さいトルクで締め付けるときには正しくトルクが測れないからだ。
新しいオイルパンを取り付けたら、写真19のように排気管のサポートを元に戻しておこう。
写真19 排気管のサポートさて、新しいATFを入れるのだが、その前に抜いたATFの量を計っておく。そのために、写真20のようにオイル受けの古いATFを2リットルのペットボトルに移し替える。
写真20 古いATFをペットボトルに入れているところ今回は、2リットルのペットボトルにキッチリ3本分、すなわち6リットルのATFを抜くことができた。ということは、新しいATFも6リットル必要だ。今回用意したATFを写真21に示す。
写真21 用意したATFこれはRAVENOLというドイツブランドのZF 6速AT用のATFである。写真22にラベルの拡大を示す。もちろん、DD2号に搭載されているGA6HP19Zに対応している。今回はラトビアからではなく、ポーランドから輸入した。到着したときには、ちょっとだけATFが漏れてたけど・・・。
写真22 ラベルの拡大ラベルにあるように「VOLLSYNTHETISCHES GETRIEBEÖL」、すなわち100%化学合成のトランスミッションオイルだ。今回は1ボトル4リットルのものを3本用意したので12リットルだ。なぜ12リットルも用意したかと言うと、2回交換しようと思っているからだ。
新しいATFも計量するために2リットルのペットボトルに入れる。写真23にペットボトルに入れた新しいATFと古いATFの比較を示す。ペットボトルは事前にきちんと水洗いして完全に乾燥させておこう。
写真23 ATFの新旧比較(左:古い、右:新しい)新しいATFを入れるためには、写真24のように、オイルパンのドレインプラグの近くの横にあるフィラープラグを外す。このフィラープラグは8mmの六角だ。
写真24 フィラープラグを外したところATFを入れる前に、車体を水平にしないといけない。写真25のようにリア側をジャッキアップしてウマをかけ、車体が水平になるようにウマの高さを調節する。車体を水平にするって言っても、どこを基準にしたらいいのかわからないので、オイルパンの底面を基準に水準器で測って調整した。
写真25 リア側もウマをかけたところ新しいATFをフィラーホールから入れるのだが、素人のDDはもちろんオイルサクションガンのような文明の利器を持っていない。そこで、化学実験で使うような洗瓶を用意し、写真26のようにそこにATFを入れた。
写真26 洗瓶にATFを入れたところそして、写真27のように洗瓶を使ってフィラー穴からATFを入れる。車の下にもぐって手でATFを入れるのはちょっと苦しい。
写真27 ATFを入れているところ6リットル入れようと思うと、500mlの洗瓶で12回か。ATFをもう1回交換すると・・・・。えっ!? マジで・・・。でも、これ以外に方法はないので、頑張るしかない(苦笑)。後で調べてわかったのだが、手動の灯油ポンプでも入れられるらしい。たぶん、灯油ポンプの方が速くて簡単だろう。
4リットル弱ほど入れたところで、オイルがフィラー穴から垂れてきたので、一旦フィラープラグを取り付ける。そして、エンジンをかけ、写真28のようにエアコンをONにしてATFの温度が30〜35℃に上がるのを待つ。
写真28 エアコンONそして、写真29のようにギアをDに入れ5秒ほど待って、次にRに入れて5秒ほど待つ。これを何度か繰り返す。
写真29 ギアをDに入れたところギアをPに戻し、エンジンをかけたままで、再びATのフィラープラグを外しATFを追加する。エンジンをかけていると、オイルパンに溜まっているATFを吸い上げるので、まだATFが入るはずだ。逆に言うと、エンジンを止めると循環していたATFがオイルパンに落ちてくるので、フィラープラグを外したままエンジンを止めてはいけない。
エンジンをかけたままATFを追加するので、どんどんATFの温度が上がっていく。しかし、予備調査によると40℃になるまでにフィラー穴からATFがしたたり落ちるまで入れなければいけない。頑張ってATFを入れてフィラープラグを締めたが、明らかに40℃より高くなっている。だって、AT本体に触るとかなり熱いし(笑)。とりあえずフィラープラグを締めてからエンジンを止め、INPAでATFの温度をチェックしたが、図1のように67℃になっていた。
図1 ATFの温度(右下のgearbox temperature)ちょっと熱かったか・・・(笑)。まぁ、正確にATF量を調整できていないが、6リットル弱ほど入ったのでおおよそいいだろう。
ここで、もう一度ドレインプラグを外してATFを抜き、新しいATFを入れる。ただし、今回はオイルパンまでは外さない。ドレインプラグから抜けた分だけを入れる。写真30に示すように、ペットボトル2本分弱、すなわち4リットル弱のATFを抜くことができた。
写真30 抜いたATF(2回目)2回目でも十分黒いな(笑)。写真31は、左から1回目に抜いたATF、2回目に抜いたATF、新しいATFの比較だ。
写真31 左から1回目に抜いたATF、2回目に抜いたATF、新しいATF写真で見ると、1回目に抜いたATFと2回目に抜いたATFは同じに見える。実際に見ても、ペットボトルに入れた状態では違いがわからない。DD2号に搭載されているGA6HP19Zは9.5リットルのATFが入るらしいので、1回目に6リットル、2回目に4リットルのATFを交換すると、全体の約79%のATFを新しくしたことになる。まぁ、これぐらい入れ替えればいいだろう。
2回目も同様にしてATFを入れた。今回は少し手早くATFを入れたが、それでもATFの温度は55℃になっていた。そのうち、温度をきちんと管理してATFの量を調整しよう。最後に、オイルパン周りをパーツクリーナーで綺麗にして、アンダーカバーを取り付ければ作業終了だ。
写真32にATFを交換したDD2号を示す。
写真32 ATFを交換したDD2号作業しているうちに、すっかり雨が降ってきた。幸いカーポートがあるので雨には濡れずに作業できた。
今回のATF交換で用意したものは以下の通りである。
価格(送料込み)
備考
ATF (4リットルボトル×3本) 16,632
RAVENOLブランド。ポーランドから輸入 ATオイルパン、ガスケット、ドレインプラグ、ボルト24本 12,408
サードパーティのもの。アメリカから輸入
洗瓶 211
香港から輸入 ニトリル手袋100枚入り 1,285
アマゾンジャパンで購入 合 計
30,536
やはりATFが高いなぁ。まぁ、ディーラーなら0.1リットルで560円ほどらしいので、今回使った10リットルを購入すると56,000円!? それよりは安いけど・・・。
現在の走行距離: 76,147km
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。