2014年7月19日(土)

キーシリンダーの抜き方 − ステアリングロックシャフト折れ対策

先日、ステアリングロックハウジングの中のアルミのシャフトが折れてしまって交換したことを報告したが、皆さんの車両もイグニッションキーを回すのが固くなってきたりしていないだろうか。そろそろ20年超の車両が多くなってきているので、中のグリスも劣化していると思われる。

本来であれば、ステアリングロックハウジングを外して劣化したグリスを拭き取り、新しいグリスを入れなおせばいいのだが、それをするためにはシェアオフボルト(ブレイクオフボルト)等を外さなければならず、かなりやっかいだ。そこで、簡単にグリスを追加するために、イグニッションキーのキーシリンダーを抜き、その奥にスプレーグリスを入れる方法がある。ちなみに、以下の方法は95年式右ハンドル・イモビライザー付のE34のものだ。年式等により違いがあるかもしれない。

写真1にDD号のイグニッションキー部分を示す。


写真1 イグニッションキー部分

まずは、写真2のように、上下のステアリングコラムカバーを外す。


写真2 ステアリングコラムカバーを外したところ

写真2の赤矢印で示しているイモビライザーのコイルアンテナを外す。これは手で引っ張れば外れる。その奥にはゴムのリングがあるので、これも外しておく。写真3にアンテナとリングを外したところを示す。


写真3 アンテナとリングを外したところ

次に、大きなゼムクリップを用意する。今回用意したのは、長さ5cm、幅1cmのものだ。これを写真4のような形に曲げる。


写真4 大きめのゼムクリップを曲げたところ

写真4の赤矢印のところは、先端から5〜7mmの場所を10〜20°ほどペンチで曲げている。これをキーシリンダーの鍵穴の横にある小さな穴に入れればいい。

まず、写真5のように鍵をキーシリンダーの鍵穴に入れる。


写真5 鍵をキーシリンダーの鍵穴に入れたところ

次に、写真6のように鍵をACCの位置まで回す。


写真6 鍵をACCの位置まで回したところ

そして、写真7のように、鍵穴の横にある小さな穴に曲げたゼムクリップを入れる。


写真7 曲げたゼムクリップを入れたところ

鍵を少し回しながらゼムクリップを入れていくと、ゼムクリップが奥まで入る位置があるはずだ。DD号の場合はACCの位置よりほんの少し右回ししたところだった。ゼムクリップが奥まで入ったら、鍵を持って少し引っ張りながらゼムクリップを左回りに回すと、写真8のようにキーシリンダーが抜けてくる。


写真8 キーシリンダーを抜いたところ

ゼムクリップの先を少し曲げておくことがコツだと思う。抜いたキーシリンダーにゼムクリップを入れてみたらわかるのだが、少し入れただけでは写真9のように、キーシリンダーのロックが飛び出したままである。


写真9 飛び出したままのロック

鍵をACCの位置あたりまで回して探りながらゼムクリップを奥まで入れて回すと、写真10のようにロック部分が引っ込む。


写真10 引っ込んだロック部分

この状態にしてから鍵を持って引っ張れば、キーシリンダーごと抜けてくる。キーシリンダーの奥にはシャフト部分があるので、写真11のようにスプレーグリスを追加してやればいい。


写真11 スプレーグリスを追加しているところ

ちなみに、DDのようにシャフトが折れた状態では、キーシリンダーを抜いて奥のシャフトを回そうとしても空回りするだけである。シャフトが折れてしまった場合には、諦めてステアリングロックハウジングを外すしかない。



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