2013年9月23日(月)

電動ステアリングコラムの取り付け − ともパパさんより

今回は、当サイトおなじみのともパパさんより、E34 525iへの電動ステアリングコラムの取り付けレポートをいただいたので紹介しよう。


DDさん、皆さん、ご無沙汰しております。長野のともパパです。今回は電動調整式のステアリングコラムを取り付けてみましたのでレポート致します。

最終型の540や530等には標準装備される電動コラムですが、525と520はオプション装備です。以前、「E34 525iへの純正クルーズコントロール装着」の時にダミーで装着していたレバースイッチを生かすべくチャレンジしてみました。

まずは部品の入手です。E34のお仲間のchachaさんに無理を言って540の廃車体から外して頂きました。ステアリングコラムを外してしまうと移動の際に困るとの事なので、こちらの部品取り車から手動のコラムを外して事前に送っておきました。物々交換を快諾して頂き、ありがとうござました。

届いた電動コラムです。アルミ製の四角い箱と駆動モーターが電動式の目印です。チルト調節は無く、テレスコピック調整のみです。また、これは左ハンドル車から外した物ですので、右ハンドルの物とはハーネスカバーが左右逆のようです。

キー シリンダーを移植する必要がありますので、2本のシェアオフボルトをタガネで回して外します。固定プレートを外し、ステアリングシャフトの溝に入っているCリングを抜けばステアリングロック機構と一緒に外れます。キーシリンダーの筐体はステアリング側のベアリング支持も兼ねているので、外すとシャフトがグラグラになります。

続いて車体側の分解です。エアバッグとステアリング、コラムカバーやレバースイッチ類を外します。また、傷つき防止のためウッドパネルも取り外しておきます。手動コラムですが、奥側の二股に分かれた部分は上からブランコのように吊られているだけでブラブラです。ロックレバーを締めると、手前側のアルミのダイキャスト部分で筒状の可動部を締め付 けて固定する 構造です。

固定ナットを緩めて、ラバージョイント部分を切り離します。奥側のシャフトにはスプラインが切ってあって、ここで前後調整のスライドに対応しています。 切り離した後は邪魔にならないようにいちばん奥に引っ込めておきます。

コラム本体は手動も電動も3点固定です。手前2本は普通のボルトで固定されています。奥側のブランコ部分も切り離します。

奥側のシェアオフボルトです。コラム側のブラケットには固定穴が2箇所空いています。左/右ハンドルに対応していて穴を使い分けるようです。

キーシリンダー部と同様にタガネで回そうにもハンマーを振れるスペースがありません。

強引にぶっ壊す事にしました。力いっぱい曲げます。

何回もグネグネさせているうちに、金属疲労で取れました。

少々強引すぎました。車体側のブラケットの塗装がガビガビにな ってし まったので、黒でタッチアップしておきます。

きれいさっぱり、コラムが外れました。

ともパパ号のキーシリンダーを取り外して、電動コラムに移植します。

シェアオフボルトは用意していませんので、普通のボルトで取り付けます。が、固定プレートの窪みにボルトの頭が入りませんし、入ったとしても工具がかかりません。ここはキャップボルトで固定しました。

キーシリンダーの移植が済んだので電動コラムを取り付けます。ボルト穴の位置もそのまま使えました。ラバージョイントを結合してからレバースイッチ類を取り付けます。

コラム横のハーネスカバーが左右逆な上に共通部品ではないので、 右ハンドル用のカバーを移植する必要があります。手前側は左右共通の穴があるので固定できますが、奥側がダメでした。可動部分なので車体側とは固定できません。奥側の固定ホルダーのみ、ハンドル位置によって左右逆の形になるようです。また、左ハンドル車用に飛び出している部分が右ハンドル車では足元に風を送るダクトに干渉するので画像の赤斜線部分を切断します。念のため部品を検索しましたが、ホルダーは製廃でした。 ホルダーはプラスチック製なので、そこにビスで固定する事にしました。長いタッピングビスにナットやカラー等の適当なスペーサーを入れて横からネジ込みます。意外にガッチリ固定できました。

レバースイッチ類のハーネスをカバーに収めてタイラップで固定します。主要部分は組み上がったので、ここで試運転です。電源はプラスとマイナスを繋ぐだけのようですので、適当な所から仮電源を取って動作確認をします。バッチリ動きました! 調整代の限界点はリミットスイッチでの検出ではなく、モーターの負荷をリレーで検知する仕組みのようです。

ここから電源ハーネスの捜索に移ります。クルコン同様に車体側に用意されていると思ったんですが、散々探しても電動コラムから出ている4Pコネクターの相手が見つかりません。ダメ元でディーラーに聞いてみました。

『電動コラムの電源はリアシート下にヒューズがあり、そこからダッシュボード左下に配線が来ています。そこのコネクターは黒の10Pでリレーがはまるようになっていて、電動コラム装着車はその追加リレーとコラムまでの追加ハーネスがあるはずです。』との回答が。そりゃ探しても無い訳ですね。

あれ? でもベントレーのマニュアルの内容とは違います。電源の配線図にもアースの配線図にも、電動コラム用の配線は既存のハーネスとして存在するような書き方がされています。 また、RealOEMでもエアバッグ装着車はエアバッグのハーネスに電動コラム用の配線も一緒に束ねてあるような事も書いてあります。

部品取り車のダッシュボードを見てみましたが、グローブボックス裏には何もありません。左下って言えば、クルコンの時にも散々苦労して見つけたコントロールユニットの場所ですかね?足元横のカバーを外すと、それらしき黒いコネクターが!ピン数を見ると9Pですけど? あと、クルコンのコントロールユニット捜索時に電動コラム付き車両を見せて頂いた時もこのコネクターは遊んでた気がします。 ディーラー情報はガセっぽいですね。

よく分からないので、電動コラム付き530にお乗りのR100RSさんにコラム周りのハーネスの状態を調べて頂きました。

『電動コラムは常時作動します。コラムから出ている2本の配線ですが、ステアリング右下の小物入れを外して右奥に見える白い12Pのコネクターに差さっています。12Pのコネクターですが配線は2本しか使っていません。配線の位置は上段の左端に茶色、その右横が赤です。』との調査結果が。素晴らしい有力情報です。

早速調べてみます。ともパパ号にも使われていない12Pコネクターがありました。

テスターで調べましたが、来ているはずの常時電源が来ていません。ヒューズボックスがあると言 われるリアシート下の電源部を見てみました。電動コラム用の41番ヒューズがありません。指定の30Aヒューズを入れると電源が来ました!

配線に取り掛かります。電源が来ている白い12Pコネクターに合う物を探していると、ウインカーレバーのコネクターがピッタリだと分かりました。使わないレバーからコネクターを拝借します。コネクターから配線を抜き取る時は、メスのギボシ端子をコネクターの接続面側から差し込むとピンのロックが外せますので、後ろからコードを引っ張れば抜くことができます。

ウインカーレバーの配線のままだと30Aの回路にはコードが細すぎるので、部品取り車のイグニッションのハーネスを利用して太いコード に入れ替えます。 電源が来ている左上の2本にそれらしい色の太いコードを移植しました。

電動コラム側の4Pのコネクターは左ハンドル車でないと合わない事が分かったので切断してギボシ端子に換えます。12Pのコネクターも電源に接続して、電動コラムの配線とギボシ端子で結線します。

配線が終わったのでステアリングとコラムカバーを取り付けます。

続いてエアバッグも取り付けます。

動かしてみて問題が無いか確認します。ついにこのレバースイッチもダミー脱却です。

これで完成ですが、コラムを下から覗くと(笑)

手動コラムのレバーがあった穴から奥の機構が丸見えです。かなりヤッツケ感 が強いですが、どうやらこれが純正の姿のようです。裏に黒い板でも貼ろうと思いましたが、カバーの裏側は凹凸が激しく、電動機構に干渉する部分もあるのでやめました。

ステアリングのセンターがズレてしまったので、試乗しながらスプラインをずらして正規の位置に戻しました。交換前と見た目のは変化は何もありませんが、自己満足度は100%です。

メモリー機能付きの場合はコントロールユニットが存在するようですが、詳細は定かではありません。互換性が心配でしたが、シェアオフボルトさえ回ってしまえば電動コラムも取り付け可能です。また、ハンドル位置が同一の廃車体から電動コラムが入手できれば完全にボルトオンだと思います。興味のある方は是非お試しください。

最後になってしまいましたが、電動ステアリングコラムをいただきましたchachaさん、配線を確認していただきましたR100RSさん、ありがとうございましたm(_ _)m。


まさか、電動ステアリングコラムを移植する方が現れるとは!! それもハンドル位置が違うにも関わらず・・・。どんだけ ヲタク、マニアなんだよ!

末尾ではあるが、かなり面白いレポートをいただいた ともパパさんに感謝する。



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