2013年5月25日(土)
エアコンブロアファンのメンテナンス − 壊れる前に
以前、エアコンのファンを回したときに、鈴虫の鳴き声ような音がするのに気付いたが、しばらくすると治まったので、そのままにしていた。しかし、鈴虫の鳴き声はブロアファンが壊れる前兆を聞いたことがあるので、この機会にメンテナンスしてみることにした。参考にしたのは、NA-73さんから投稿いただいたこのレポート。かなり詳しく書いてあり、本当に助かった。
このレポートにも注意があるのだが、作業箇所がエンジンルーム内なのでネジやナットを落とすとややこしい。ピックツールは必ず使う事になるので用意しておこう。ピックツールなしで作業するのは無謀だと言える。
まずは、写真1のようにボンネットを開け、写真2のようにエンジンのトップカバーを外す。
写真1 エンジンルーム
写真2 エンジントップカバーを外したところ次に、ヒーターバルブを下に移動させるために、写真3の赤矢印で示す3つのナットを外す。
写真3 ヒーターバルブの固定ナットそして、知恵の輪の要領(?)で、写真4のようにヒーターバルブを下にずらしてやる。
写真4 ヒーターバルブを下にずらしたところそして、写真5のようにエンジンルームとフロントガラスの間にあるゴムのシールを外す。これは、上に持ち上げれば簡単に外すことができる。
写真5 ゴムシールを外しているところ続いて、写真6にあるアースポイントのナットを外して、アース線を外しておく。
写真6 アースポイントのナットさて、ブロアファンのメンテで最大の難所は、エンジンルーム後部壁にある、ブロアファンを格納する部分を遮蔽するパネルだろう。このパネルは、上部に左右2つ、下部に左右2つと中央に1つのネジで固定されている。写真7に車両右側の上下2本のネジの位置を、写真8に車両左側の上下2本のネジの位置を、写真9に中央下部のネジの位置を赤矢印で示す。
写真7 車両右側の上下2本のネジの位置
写真8 車両左側の上下2本のネジの位置
写真9 中央下部のネジの位置このネジは、頭部が7mmになっているタッピングビスだ。特に車両左側下部と中央下部の2本のネジを取り外すのが難しい。
さて、これらのネジにアクセスするためにケーブルボックスをなんとかしよう。まずは、写真10のように車両右側のケーブルを留めているタイラップを切断する。
写真10 タイラップを切断しているところそして、写真11、12のようにケーブルを収納しているボックスを固定しているプラスチックのナット2つを外す。このナットは10mmだ。
写真11 プラスチックナットを外しているところ(車両右側)
写真12 プラスチックナットを外しているところ(車両左側)写真13の赤矢印で示すように、ヒーターバルブの横にあるケーブルを留めている2ヶ所のタイラップも切っておこう。
写真13 ヒーターバルブの横にあるタイラップすると、写真14のようにケーブルボックスを大きく車両前方に動かすことができるようになる。これで、例の5本のネジにアクセスできそうだ。
写真14 移動できるようになったケーブルボックスネジを外すために用意したのは、写真15のような工具である。
写真15 用意した工具でも、下のほうにあるネジはアクセスが難しいので、ほとんどは7mmのソケットと手で何とか回すことになった。上部にあるネジは、写真16のように簡単に外すことができる。
写真16 車両左側上部のネジを外しているところ。このようにして、何とか外したパネルを写真17に示す。写真17の赤矢印の位置が固定ネジの位置だ。
写真17 取り外したパネルパネルが外れたら、次は写真18に示す薄いプラスチックカバーを外す。
写真18 パネルを外したところこれは、固定してあるわけではないので簡単に外すことができる。薄いカバーを上にずらして下側を外し、その後、下にずらして上側を外す。薄いセルロイドのような感じのペラペラのカバーなので、取り外すときに割らないように注意しよう。写真19に取り外した薄いカバーを示す。
写真19 取り外した薄いカバー薄いプラスチックのカバーを取り外せば、写真20にブロアファンカバーが見えてくる。
写真20 薄いプラスチックのカバーを取り外したところブロアファンカバーは、中央部に白いナイロンのファスナー、および左右下部の2ヶ所で金属の留め具によって固定されている。まずは、写真21のように、ファスナー上側を下に押し下げてファスナーを外す。
写真21 ナイロンファスナーを外しているところ次に、写真22に示すところにある2ヶ所の金属の留め具を外す。これは、マイナスドライバーで外せるが、外したときに飛んでいってしまわないように注意が必要だ。DDは飛ばして慌てたが・・・(笑)。
写真22 2ヶ所の金属の留め具写真23に外した金属の留め具を示す。
写真23 外した金属の留め具ファスナーと金属の留め具を外せば、ブロアファンカバーを外すことができる。ブロアファンカバーを外すときは、まず上側を外し、その後、上に少し持ち上げて下側を外してやればいい。写真24に外したブロアファンカバーを示す。
写真24 外したブロアファンカバーさて、これでブロアファンが見えるようになったわけだ。このブロアファンは、写真25の青矢印で示す金属の留め具で固定されている。この金属の留め具は、下部にある穴にフックを引っ掛けて引っ張れば外すことができる。
写真25 ブロアファンの固定金具とコネクタまた、写真25の赤矢印で示す配線のコネクタも外しておこう。これで、ブロアファンが完全にフリーになった。
だが、ブロアファンを出そうと思っても、ケーブルボックスが邪魔をして出すことができない。そこで、ケーブルボックスの上部を外してみることにした。はじめに、写真26の赤矢印のところにあるケーブルボックス前部の4つのツメを外す。
写真26 ケーブルボックス前部の4つのツメそして、写真27の赤矢印のところにあるケーブルボックス後部の5つのツメを外す。
写真27 ケーブルボックス後部の4つのツメすると、ケーブルボックスの上部が外れて下部だけが残る。このケーブルボックスを下に沈めてやると、ある程度スペースができる。ブロアファンは、まず、車両左側のファンから外に出し、次いで右側のファンを出すようにすればいい。写真28、29にブロアファンを外したところを示す。
写真28 ブロアファンを外したところ(1)
写真29 ブロアファンを外したところ(2)また、外したブロアファンを写真30に示す。
写真30 外したブロアファンこのブロアファンを綺麗に掃除し、写真31のように回転部分にスプレーグリスを塗っておく。
写真31 回転部分にスプレーグリスを塗っているところ後は、取り外しと逆に取り付ければいい。ブロアファンは、写真32の赤矢印の凹みと、写真33の金属部分が合うように作られているので、この部分がキチンと合うように取り付ければいい。
写真32 ブロアハウジングの凹み
写真33 ブロアモーターの金属部分DDは取り付け時に、写真21に示す白いナイロンのファスナーの取り付けで手こずった。20分ほど格闘したが、思うように取り付けられない。結局、ブロアファンカバーがキチンと取り付けられておらず、少し浮いた状態だったのでファスナーを取り付けられなかったようだ。ブロアファンカバーをキチンと取り付けると、難なくファスナーを取り付けることができた。
また、ブロアファンが固定できたら、アースポイントにアース線を取り付けて、一度、ブロアファンを動かしてみたほうがいい。ファンが動かなかったり、摺れているところがあったりすると、動作音でわかるはずだ。DDの場合は特に問題なくブロアファンが動作した。写真34に作業完了後のDD号を示す。当たり前だが、作業前となんら変わっていない(笑)。
写真34 作業完了後のDD号なお、メンテ後にエアコンの風量が増えたかというと、あまり変わっていないような気がする。しかし、壊れる前にメンテナンスできたので少し安心だ。ブロアファンを一度もメンテしていない人は、そろそろやってもいい頃だろう。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。