2012年8月11日(土)      2012年8月17日(金) 追記

エンジン再始動不良 − インジェクタの清掃(M50エンジン)

以前にエンジン再始動の不良で水温センサをチェックしたが、特に異常は見つからなかった。やっぱり、怪しいのはインジェクタであろう。エンジン停止後、インジェクタからガソリンが漏れて再始動時にガソリンが濃くなってカブったようになり、始動しにくくなる。というわけで、今回はインジェクタをチェックするとともに掃除してみることにした。

まずは、燃料の圧力を取るために、エンジンをかけながら写真1のヒューズボックスの23番のヒューズを抜く。


写真1 ヒューズボックス

写真2のように、23番のヒューズを抜くと燃料ポンプが止まってエンストするはずだ。


写真2 23番のヒューズを抜いたところ

インジェクタを取り外すためには、写真3に示すエンジン上部にあるプラスチックカバーを固定しているボルトの蓋を外す。


写真3 プラスチックの蓋

そして、写真4のように10mmのソケットレンチで2本のボルトを外す。


写真4 カバー固定ボルトを外しているところ

次に、運転席側(右側)にあるプレスチックカバーを外すため、写真5に示す2つの蓋を外す。写真5は写真4とは反対方向から見ているのところなので、注意してほしい。


写真5 プラスチックの蓋

同様に、この蓋の下にある2個のナットとエンジンオイル給油口の蓋を外すと、写真6のようにプラスチックカバーを外すことができる。


写真6 プラスチックカバーを外したところ

この写真6の赤矢印で示している2つのナットを外す。ここでも10mmのソケットレンチを使う。すると、インジェクタやプラグへの電気配線を収めたプラスチックの配線ダクトを外すことができるようになる。写真7のように、マイナスドライバーを使って端の方からインジェクタへのコネクタの部分を慎重に外していけばいい。


写真7 配線ダクトを外しているところ

端から順番にコネクタを外すと、写真8のように配線ダクトをフリーにすることができる。


写真8 配線ダクトを外したところ

写真8で水色に見えるのがインジェクタのコネクタだ。

次に、反対側へ回り、写真9に示す燃料供給ライン(インジェクションパイプ)を固定しているボルトを外す。ここでも10mmのソケットレンチを使う。


写真9 燃料供給ラインを固定しているボルト

そして、写真10のように、燃料供給ラインの前方端にあるホースを外す。このホースはホースバンドで締め付けられているので、ホースバンドを緩めれば外すことができる。


写真10 前方側のホースを外したところ

このホースを外すと、ガソリンがドボドボと燃料供給ラインから出てくるので事前にウェス等を用意しておこう。このホースを外したら、写真11のように燃料供給ラインを持って引き抜けば、6本のインジェクタごと抜けてくる。


写真11 燃料供給ラインを抜いているところ

少しゆすりながら引き抜けば、写真12のように抜けてくるだろう。


写真12 燃料供給ラインをインジェクタごと引き抜いたところ

燃料供給ラインとインジェクタは、写真13のように金属製のクリップで接続されている。


写真13 クリップで接続されている燃料供給ラインとインジェクタ

このクリップを180度回してやると、写真14のようにマイナスドライバーで外すことができる。


写真14 クリップを外しているところ

このクリップを外せば、インジェクタを燃料供給ラインから外すことができる。写真15に外した6本のインジェクタを示す。


写真15 外したインジェクタ

写真16のように見た目は少し汚れている程度だ。


写真16 インジェクタ

このインジェクタを掃除するといっても、外側を洗浄するわけではない。燃料が通る内側を洗浄しなくてはならない。そこで、写真17のようなシリンジ(注射器のようなもの)を用意した。


写真17 シリンジの外袋

外袋を空けてみると、中には写真18のようなプラスチックのシリンジが入っている。


写真18 シリンジ(NIPRO 10ml)

写真19のように、このシリンジの先端の穴をドリルで3mmφ程度に広げる。


写真19 先端の穴を広げているところ

そして、その穴にパーツクリーナーの先端のパイプを無理やり突っ込み、写真20のようなものを作る。


写真20 パーツクリーナーと接続したシリンジ

一方、インジェクタの方だが、写真21のようにコイルの抵抗を測ってみると17Ωだった。意外と抵抗が低い。


写真21 インジェクタのコイルの抵抗

このインジェクタの吸入側にビニールテープを巻く。


写真22 ビニールテープを吸入側に巻いたところ

そして、写真23のようにインジェクタの吸入側をシリンジに突っ込む。ビニールテープはシリンジの内径とインジェクタの吸入側の外径を合わせるために巻いた。このビニールテープの場合、9回巻きがちょうどいいようだ。もう少し細いシリンジがあれば、ビニールテープは必要ないはずだ。


写真23 インジェクタの吸入側をシリンジに突っ込んだところ

ここまでできたら、12Vの電源を用意して写真24のようにインジェクタに接続する。


写真24 12V電源を接続したところ

写真24で、赤いワニ口クリップ同士を接続すると、インジェクタに12Vがかかり内部のバルブが開くようにしている。

パーツクリーナーを噴射するとシリンジの中にパーツクリーナーが入るとともにシリンジ内が高圧になる。そのとき、インジェクタに12Vをかけると、写真25のようにインジェクタの中を通って吐出側から霧のようになったパーツクリーナーが噴出される。


写真25 霧のように噴出されるパーツクリーナー

これを何度か繰り返すと、インジェクタの内部がパーツクリーナーで洗浄される。この方法は、Youtubeで紹介されていた方法だ。

このようにして6本のインジェクタを洗浄した後、さらに超音波洗浄してみる。用意したのは、写真26に示す眼鏡用超音波洗浄機とアルコールだ。これもYoutubeで紹介されていた方法だ。


写真26 超音波洗浄機とアルコール

洗浄槽の中にアルコールをドバドバ入れて、写真27のようにインジェクタを入れる。インジェクタには配線を接続しておき、洗浄中に何度か12Vをかけてバルブを開いてやる。


写真27 インジェクタを洗浄槽に入れたところ

それぞれのインジェクタについて、約10分ほど超音波洗浄した。ただ、この超音波洗浄だが、本当に綺麗になっているのかどうかよく分からない。確かにアルコールは汚れているので、その分、綺麗になっているのだろう。まぁ、念のため、写真25に示したパーツクリーナーの方法でもう一度すべてのインジェクタを洗浄しておいた。

さて、洗浄したインジェクタだが、組み立ては基本的に分解時と反対の手順だ。ただ、DDは写真28のように、新しいOリングを用意しておいた。


写真28 新しいOリングとシリコングリス

Oリング 13641730767  6個で$15.14(送料込)

インジェクタ吸入側のOリングを外し、新しいOリングにシリコングリスを塗ってインジェクタに取り付ける。新しいOリングを取り付けたインジェクタを写真29に示す。


写真29 新しいOリングを取り付けたインジェクタ

あとは、これを取り付ければ作業終了だ。最初に外した燃料ポンプのヒューズも忘れずに取り付けておこう。

作業後、2度ほどエンジンの再始動を試してみたのだが、両方とも一発でエンジンがかかった。両方ともエンジン停止後、2時間ほど経った後に再始動している。いい感じだ。ただ、これで解決したかどうかはわからないので、もうしばらく様子を見てみよう。

末尾ではあるが、インジェクタの外し方がわからなかったときに電話でご指導いただいた牛ちゃんに感謝する。

 

2012年8月17日(金)

インジェクタを清掃後、何度かエンジンを再始動することがあったが、いずれもセルモーター一発でエンジンがかかった。再始動不良の症状は完全になくなったようだ。ということは、インジェクタが原因だったことになる。エンジンの再始動に問題のある方は、インジェクタも疑ってみたほうがいいだろう。



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