2010年4月6日(火)
LKM改造その1 ロービームのコールドモニター回避 − Bamboさんより
今回は、Bambo(バンボ)さんよりLKMの改造レポートをいただいたので紹介しよう。今回は、ロービームのコールドモニターの回避だ。「エッ? コールドモニターって?」という人は、レポートに詳しく説明されているので、是非読んでいただきたい。
DDさま はじめまして。私は『Bambo』と申します。とある地方で小さな整備工場をしているおやじです。
この度、私の20年来の友人が何を思ったか「BMWが欲しいけどどれが良い??」 条件は「ワゴンで黒か紺色の右ハンドル」 予算は「〇〇万円」 もうひとつ「丸っこい車はイヤ!」
その予算でワゴンは・・・、E30・E34かギリギリE39・E46・・・。右ハンドルのみという事で、E30は予選落ち。丸っこいのが駄目ならE39とE46はアウトという事で、E34のツーリングに決定しました。
早速、E34ツーリングを調達してきました。
今時の車と比べるとヘッドライトが暗すぎるので、ロービームにHIDを仕込んであげました。すると,、ご他聞にもれず『DIP BEAM』の警告が出ました。
私が所有しているE34・525iもHID取付後『DIP BEAM』が出たままですが放置プレイです。
何も知らない友人やその奥方に警告灯が出っ放しの車に乗せる訳にもいきません。これでとうとうLKMに手を出す羽目になってしまいました。
【HID付けたら『DIP BEAM』の警告が出ちゃったよ! 何とかしなきゃ! の巻】
友人の車は1994年式のE34 525i ツーリング。ロービームに仕込んだHIDキットは『阿部商会』の『MARVELLOUS』のH1 55Wタイプです。自分が乗るならオークションで安物買っても良いのですが、何も知らない友人の奥方に故障の恐怖を味あわせるわけにはいきませんので、そこそこの物をチョイスしました。
HIDの装着に関しては数々のレポートがありますので省略します。
HID装着後は、ヘッドライトスイッチが『OFF』の状態で『DIP BEAM』の警告が出るようになってしまいました。ヘッドライトスイッチ『ON』でHIDのロービームが点灯している時は警告は出ません。
警告が出ないようにしておかないと友人からクレームが来てしまいます。しかたなく、LKMの改造に着手する事になってしまいました。
DDさんのサイトのレポートを参考にLKMを改造しようと思ったのですが、よくよく読んでみるとあの改造では警告が全く出なくなってしまいます。
主にこの車に乗るのは友人の奥様です。警告が出ないとヘッドライトが灯かなくなっても恐らく気づいて貰えません。それでは危険です。
何とか間違った警告を無くさないといけません。キャンセラーを作って取り付ければ済むのですが、見た目をスッキリしたかったので、やはりLKMかぁ・・・。
仕方が無いのでLKMの解析を始めました。LKMの改造が前提ですので、予備としてLKMを仕入れました。
手に入れたのは<6135 1379 371>。なぜかこれが2個手に入りました。
友人の車に付いていたのは<6135 8350 375>。
両方の基板を確認すると、<6135 1379 371>は2枚基板で基板上のパーツが大きな物が多く、改造し易そうなので、改造のベースは<6135 1379 371>に決定です。
内部の基盤を眺めてみても何がどう働いているのか? さっぱり解かりません。仕方が無いのでBMW-AGに秘密諜報部員007号を送り込みます。
007号が命懸けで送ってきた資料には、配線図のようなものが写っている写真が1枚。
「コンパレーター」って何?? 配線図のようなものの真ん中の家みたいな形してるのが「コンパレーター」?
こんな事では先に進めません。友よ・・もうチョット待っててね。
でも、これではラチがあきません。こうなったら、BMW-JAPANに秘密諜報部員034号を潜入させることにします。
034号が命懸けで送ってきた資料がこちら↓ (赤丸は私が後から付けました)
オォ! これはロービームとフォグライトの配線図ではないですか! それも日本語以外は全く駄目な私の為に?日本語の表記です。
それに簡略化されてはいますが、LKM内部の配線図まで書かれています。横には「コールドモニター用 高抵抗」の文字があります。
E34のロービームはスイッチが『OFF』でもバルブ切れを検知する機能が装備されています。これを「コールドモニター」といいます。一方、スイッチ『ON』の状態で検知する機能は「ホットモニター」といいます。
ココで今まで手に入った情報を整理します。
電球切れの警告を出す為に「コンパレーター」という物が付いている。
電球が切れると「コンパレーター」の出力部から『電球が切れたよ』という信号が出力される。
ライトスイッチがONの時はLKM内部のリレーを介して電気が供給される。
ライトスイッチがOFFの時はLKM内部の「コールドモニター用 高抵抗」を介して電気が供給される。
ライトスイッチがOFFの時に供給される電気は「コールドモニター用 高抵抗」を介しているので、電球が点灯しない程度の微弱電流になっている(電圧は12Vです)。
DDさんのサイトに登場する師匠方のLKM改造方法は、上記の2の出力信号をカットしてしまうのでしょう。
では、4の「コールドモニター用 高抵抗」を介して供給されている電気を止めてしまえば、ライトスイッチOFFの時の警告は出なくなるの?
やってみるしかないですよね。早速、実験開始!
電気の知識がほとんど無い私がLKMの基盤を眺めていてもそう簡単に回路がわかる筈もありません。
しかし、秘密諜報部員007号とE34号を無くした今は自分で何とかしなくてはなりません。3日3晩寝ずに基盤とニラメッコした結果、目の下の大きな月の輪熊と一緒に辿り着いたのは2つの抵抗でした。
基盤の右上に3つ並んでいる抵抗の内の左側2つがターゲットです。この抵抗からの電気を遮断してやれば警告灯が消えるかも知れない。
はやる気持ちを抑えながらニッパーで抵抗を切断・・・!!
いや、ダメです!
あ、失敗だったのではなくて、抵抗を切断してしまったら元に戻せないなぁと思って・・・。
計画変更! 抵抗切断ではなく、抵抗を取り外す事にします。ダメだった時には、抵抗を元に戻せばLKMは復活してくれますからね。
基盤の裏側からハンダを溶かします。
こんな時に、私は「ハンダ吸い取り器」を使用しています。下の写真の注射器の変形版のような物です。
ピストンにスプリングが付いていて、スプリングの力でピストンが勢い良く引き戻されてノズル付近の空気を一気に吸い込みます。このとき、空気と一緒に溶けたハンダも吸い取ってくれます。
私は横着者なので、それぞれの抵抗の足の片側だけを外しました。
この状態になったLKMを車両に戻します。モチロン横着者ですのでケースにも入れず剥き出しのままです。
さ〜あぁ! いぐにっしょ〜ん! お〜ん!!!!
『シ〜〜〜〜〜ン・・・』
しばらく待ってみましたが『ポーン』って鳴りません! 成功? ほんとに成功?
試しにHIDの電源コネクターを抜いてみます。
『シ〜〜〜〜〜ン・・・』
この状態でロービーム!オン!!
『ポーン!』
鳴った〜〜!!
成功!です。
当然ですが、HIDのコネクターを差し込むと、スイッチONだろうがOFFだろうが警告は出ません。HIDもちゃんと光ってます。
おっと、LKMが剥き出しのままです。LKMを取り出して抵抗がショートしないようにしないといけません。こんな風に処理してみました。
熱収縮チューブを短く切って被せ、ドライヤーで温めて抜けないようにします。今のところはコレで問題は出ていません。
基盤をケースに納めて、車に戻して完成です。
今回、解析できたのは<6135 1379 371>のLKMだけです。他の品番のLKMに関しては解析出来ていません。
<6135 1379 371>と同じような場所に同じような抵抗が有るからといって、同じ回路とは限りませんのでご注意下さい。
さぁ! 『ポーン!』も鳴らなくなったし、ドライブ! ドライブ!
『ポ〜〜〜ン!』
エッ?
つ・づ・く ...。
これは面白いレポートだ。確かに、岩野師匠の方法でLKMを改造すると、DIP BEAMの警告は出なくなるのだが、HIDに不具合があったときにも警告は出ない。この方法では、コールドモニターのみを殺しているので、HIDに不具合があるとロービームスイッチをONにしたときに警告が出る。でも、フォグライトを点灯させたときにも警告がでるとは・・・? 次のレポートに期待しよう。
末尾ではあるが、有用なレポートをいただいたBambo(バンボ)さんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。