2008年7月9日(水)
E39 バイキセノンライト2号機の製作 − ミッチョさんより
以前にミッチョさんより「E39 後期型ヘッドライトのバイキセノン化」のレポートをいただいたのだが、今回はその2号機の製作レポートだ。
前回は国産車のユニットを加工して製作したものをレポートした。使用したユニットは日産ティーダのものだが、同じユニットはBMW Z4、E60、E65にも使われているようだ。
その後、いろいろ調べたところ、E39に加工せずにポン付けできるユニットがあることが分かった。今回はその製作過程を、前回のレポートを補う形でする。前回のレポートと合わせてご覧いただきたい。
加工せずに使用できるユニットというのは、メルセデスベンツW215(CL500/600)用だ。CL500/600というビッグクーペは、もともと台数が少ないうえ、ディーラー車と平行輸入車ではライトの光配が違うので注意が必要である。ディーラー車の光配は、左上がりと水平をレバーで切り替えることができるのに対し、並行輸入車は水平カットの状態からレバーを動かすと、右上がりの右側通行用の光配に切り替わってしまう。この日本使用のライトユニットを入手できれば、無加工でE39に移植することができる。
【ライトユニットの比較】
写真1〜4はE39とW215のロービームを比較したところだ。
写真1
写真2
写真3
写真4遮光板の駆動部分以外は、ほとんど同じ部品が使われている。バルブ押さえのリングと、その固定部分の形状が若干違うのがわかるだろうか。リング自体は同じサイズなので、防水ゴムカバーもそのまま使える。
しかし、固定部分の爪の形状が違うので、互換性はない。W215とE39のリフレクターは、バルブ取り付けの向きが逆になる。E39はセラミックチューブが下側になり、W215は上側になるように取り付ける構造だ。どちらもネジで簡単に分解できるので、リフレクターだけ入れ替えることも簡単にできる。
写真5,6にW215ユニットの配光切り替え機構を示す。黒いレバーを回転させると、左上がりの配光が水平カットに切り替わる構造だ。
写真5
写真6
【ライトアッシーの分解】
1 分解可能・不可能の判定方法
1号機の製作時にも、分解可能なライトアッシーを探すのに苦労した。分解できるかできないかの判断は、ヒートガンで熱してみれば分かるが、次のように調べると加熱しなくても判断できる。
接合部の黒いシール材に、細いドライバーや千枚通しのようなものを差し込み、シール材を引っ掛けて引っ張ってみる。写真7のようにガムのように伸びてくれば、加熱することで柔らかくなるシール材が使われている。伸びずに切れてしまう場合は、残念ながら破壊せずに分解することは不可能だ。
写真72 分解の要領
1号機では全体を加熱して分解したが、今回は直接部分加熱して分解した。固定ネジ2本を外し、ラジエター側から加熱して写真の位置にスクレーパーを差し込む。(写真8,9)
写真8
写真9十分に柔らかくなるまで加熱すれば、レンズカバーを少し浮かすことができるはずだ。加熱が不十分だとプラスチックボディが破損するし、過熱しすぎるとフニャっと変形してしまうので、頃合が難しい。
少し隙間ができたら、マイナスドライバーなどを差し込んで、レンズカバーを浮かしたままにしておく。(写真10)
写真10次に加熱する部分を反対側に向かって広げていき、少しずつ隙間を広げていく。破損させないように気をつけながら、隙間を広げることと加熱を繰り返していけば、15分ほどでレンズカバーを分離することができる。(写真11〜13)
写真11
写真12
写真13レンズカバーが分離できたら、シール材を温めながらできるだけ取り除いておく(写真14)。今回の作業で、一番手間がかかるのがこの作業だ。
写真14
【ライトの移植と組み立て】
写真15は、E39とW215のロービームを入れ替えた後の様子である。同じサイズ、ネジ穴のユニットなので、取り替えるだけだ。
写真15W215の配光切り替えレバーは、組み立ての際に邪魔になるので取り外しておく。引き抜くだけで取り外すことができる(写真16)。
写真16後はボディに配線を出す穴を開け、前回の製作例と同じ要領で組み立てるだけだ(写真17,18)。
写真17
写真18今回、2号機のレンズカバーの接着には、名称がよく分からないが、ネットオークションで入手した加熱による再分解可能なものを使ってみた。シリコンシーラントよりも柔らかく、少し揮発性の匂いがする。シリコンシーラントは翌日にはかなり乾いているのだが、このシール材は一晩おいてもまだ乾かない。揮発性の溶剤が揮発すると、ブチルゴムのような弾力になるようだ。説明によると、完全に乾くまでには1ヶ月近くかかるらしい。
【完成後記】
分解できるライトユニットと、W215の日本仕様バイキセノンユニットが入手できたら、移植はずいぶん楽にできることが分かった。製作の手間を考えると、完全に自己満足の世界である。
メルセデスベンツW215用のユニットがポン付けできるとは! どこでそんな情報を仕入れてきたんだろう???
末尾ではあるが、驚きのレポートをいただいたミッチョさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。