2008年1月3日(木)
E39 後期型ヘッドライトのバイキセノン化 − ミッチョさんより
前回はバイクのヘッドライトのバイキセノン化だが、今回はいよいよE39のバイキセノン化だ。
【はじめに】
バイクのヘッドライトにバイキセノンプロジェクターライトを移植したときから、車もE60やE90のようにバイキセノン化できたらいいなあと考えていた。そんな折、光軸調整ロッド折れが発生し、その修理方法を追求して分解にしているとき「この際やってみるか」と決意した。どうせやるならホワイトウインカーで作ってやろうと思ったのだが、自車のライトは分解できないライトだったので、すべての部品集めからスタートする必要があった。今回はその模様をレポートする。
【部品調達】
1 バイキセノンプロジェクターユニット
E39の純正レンズはHELLA社製である。分解してロービームの形状から、流用できそうなバイキセノンユニットを探すことにする。写真1〜4はE39のロービームユニットである。
写真1 E39ロービーム
写真2 配光の切り替えレバー
写真3 配光の切り替え1
写真4 配光の切り替え2プロジェクターレンズ径は70mmで、写真2に写っているレバーを動かすと、写真3,4の赤矢印で示した板が動いて、配光を日本仕様の左上がりから水平に切り替えることができる構造だ。このレバーは、ライトアッシーの上部についている蓋を開けると動かすことができる。
オークションの出品写真やブログ等を調べていると、同じ70mmのHELLA製のバイキセノンライトは形状が良く似ているので、比較的簡単に取り付けることができるのではないかと考えた。
購入したバイキセノンユニットは日産車のユニット(車種は不明)で、E39のものと並べると(写真5)サイズがぴったりだ。国産車用なので配光の切り替え機構はないが、日本で使う限りは不要だ。画像からの想像だが、ベンツやE60なども同じユニットの配光切替機構がついたものを使用しているものと思う。
写真5 バイキセノンを並べたところマウントの取り付け穴もぴったりで、無加工で取り付けが可能だ。(写真6)
写真6 バイキセノンを取り付けたところ大きな違いはHIDバルブの固定方法(写真7)で、E39はプラスチックの丸いキャップで押さえるのに対して、購入したものは、よくある押さえ金具を使用している。
写真7 バルブ周りの違いこのままだと、E39の防水ゴムキャップ(写真8)は使えないので、何か対策を考えないといけない。
写真8 防水キャップの様子2 ライトハウジング
今回苦労したのはライトハウジングの調達だ。ホワイトウインカーライトは分解できない物が多いようで、なかなか希望の物が揃わない。ようやく入手した分解可能なホワイトは、レンズカバーのクリア層が剥がれていて使い物にならなかった。そこで、オレンジハロゲンのレンズカバーにサイドのシルバーパネルを移植して使用することにした。いわゆる「ニコイチ」というやつだ。
サイドのシルバーパネルは比較的簡単に外すことができ、ニコイチは問題なくできるはずだったが、ここで問題が発生した。取り外したパーツを一つ一つクリーニングしているとき、シルバーのサイドパネルをウエスで拭いたところ、簡単にメッキが剥げてしまったのだ(写真9)。
写真9 剥げたメッキの様子このメッキはリフレクターよりももっと簡単に剥がれてしまうので、分解する方は触らないほうがよいと思う。こうなるともう使えないので、もう1個部品取りのライトを調達する羽目となった。
【組み立て】
1 プロジェクターライト
バイクのバイキセノン化のときのように適当な容器を使えば、防水は簡単に対策できるが、ここはスマートに純正の防水ゴムキャップを利用できないかと考えた。リフレクターはどちらもサイズ・形状ともよく似ているので、バイキセノンの遮光板と駆動ユニットのみを取り出し、E39のロービームに移植できれば防水キャップがそのまま利用できる。早速分解してみる。
E39のプロジェクターは6個のトルクスネジで組み立てられているので、簡単に分解できた。(写真10)
写真10 E39ロービームの分解対してバイキセノンはリベットと金属をかしめて組み立ててあるので、ドリルを使って分解した(写真11)。こうなると後戻りはできない。
写真11 分解したバイキセノンユニットバイキセノンのロー・ハイ切り替えの仕組みを、写真12、13に示す。下に見える黒いソレノイドに12Vを入力すると遮光板の一部が引き下げられて、カットされていた部分に光が照射される構造だ。
写真12 遮光板(ロービーム時)
写真13 遮光板(ハイビーム時)ポン付けとはいかなかったが、何箇所かの加工を施して遮光板と駆動ユニットを移植した様子を写真14、15に示す。
写真14 遮光板を移植した様子
写真15 移植完了後のライト2 ハウジングへの取り付け
(1)配線処理
ハウジングに穴を開け、ハイビームからソレノイド駆動信号を分岐する配線を通す。E39のハイビームはHB3・4のコネクタが使われているので、割り込みのコネクタを作成する。こうすれば、切り離しが簡単にできる。(写真16、17)
写真16 割り込みコネクタ
写真17 配線の様子(2)組み立て
後はリフレクターユニットを収め、レンズカバーを接着すれば、世界にひとつ?のE39用バイキセノンライトの完成だ。接着にはセメダインの「POSシール ブラック」を使用した。ただし、これを使うと二度と分解できなくなる。シール材が乾くまで圧をかけておくため、ストレッチシートを巻きつけた。荷物をまとめるときなどに使われている、伸縮性のあるラップのようなものだ。はみ出したシール材で周囲を汚す心配のなく、レンズカバーの保護もできるので非常に都合が良い。(写真18)
写真18 完成したライト3 点灯試験
一晩乾燥させてから車両に取り付け、暗くなるのを待って光軸調整をした。写真19〜22がいろいろなパターンでライトを点灯させた様子だ。
写真19 ロービーム 写真20 ノーマルのハイビーム 写真21 バイキセノンのみのハイビーム 写真22 バイキセノン+ハイビーム ノーマルのハイビームは、スポットライト的な配光を示すが、バイキセノンのハイビームはそれより広い範囲を照らしている。両方点灯させると、さすがに広い範囲でかなり明るくなる。
実際に走行した感じでも、今までのハイビームよりも広い範囲が明るいことが良く分かる。市街地ではほとんど使わないだろうが、夜間のワインディグロードなどでは、その威力を発揮すると思う。最新式の車は、最初からこのようなライトが組み込まれているのかと感心してしまった。
構想から完成まで、随分長い期間を要した。外見は全く違いがないので、言わないと人に分かってもらえない改造だが、自分はとっても満足できるものになった。
う〜ん、もうなんかスゴすぎて自分でやろうとは思わないようなDIYだ(笑)。
末尾ではあるが、面白いレポートをいただいたミッチョさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。