2007年4月24日(火)
AT→MT化の改造申請 − まるおさんより
今回はまるおさんより、540ATをMT化した際の改造申請についてのレポートだ。MT化に興味がある人は、必見だ!
メンテネタではないかもしれませんが、この度、改造申請と継続検査を行いましたので報告させてくださいませ。(何分、写真を撮る習慣がないので、画像が少ないことをご勘弁ください。)
さて、今回の改造申請は、壊れやすいと評判の540のAT(9万キロを超えたら少し注意が必要)が、予想通り9万キロ半ばで壊れてしまったので、清水の舞台から飛び降りた気分でMT(6速)に換装してしまったことが発端です。
載せ換えの作業はお仲間のE34マイスター氏の手によるものです(お世話になりました。すばらしい仕事をしていただきありがとうございました!!)が、その当時「改造申請」が必要になることなど全く知らず、自分はただMTという響きに目を潤ませていただけでした。(まさか、ディーラーで点検してもらえなくなるとは・・・常識なさ過ぎ???)
月日が経過し「プロペラシャフトを交換しているので改造申請が必要」ということを知り、車検も近づき、さてどうすれば? とネットで調べると、何か大変そう・・・ (「構造変更」? 「プロペラシャフトの長さは? 太さは? 厚みは?」、「強度計算???」 目の前真っ暗というのが第一印象でした。)
でも、E34に乗り続けたいし、「ここは一つ自分で申請してしまえっ!!」という訳で、仕事もほどほどに資料作りや準備作業に励みました。妻曰く、「その意気込みで仕事をしてくれると出世出来るのにねぇ〜・・・」←えーい、余計なお世話じゃ・・・(心の叫び)
何から始めるかと考えましたが、まず、プロペラシャフトの長さと太さを測らないといけないようです。(えっ、マフラー外すの・・・)
自分の家では作業出来ないので、近所のレンタルガレージの会員になり、そこで作業を行うことに。「ついでにマフラーハンガーも交換しよう」と思い、この作業も一緒に行いました。
「ジャッキアップして、ウマ掛けて、マフラー外して、遮熱版外して、プロペラシャフトのサイズを測って、元に戻す。ついでに、マフラーハンガーも交換。」
作業前は安易に考えていましたが、実際にやってみると・・・
ちなみに、レンタルガレージですから制限時間(この日は6時間借りました)があります。最後は時間との戦いでした(^^;
写真1 元に戻せるのか?とりあえず、長さと太さを測ることは出来ました。
いや〜、それにしてもマフラーは重いです。(特に、リヤの部分はとても持てません!!)
写真2 マフラー(リヤ)交換したマフラーハンガー達です。
写真3 新旧のマフラーハンガー(センター側、新しいものが外側です)
写真4 新旧のマフラーハンガー(リヤ側、新しいものが内側です)また、この時の作業では、「V8のO2センサーは、マフラーを外さなくても簡単に外せるぞ!!」という発見も・・・ (写真がなくてごめんなさい。)
でも、ここで鋭い方はお気づきになるかもしれません。「シャフトの外径は測れても、内径は・・・」
そうです。これはBig Problemでした。
BMWジャパンに電話したものの、あっさり「ご質問いただいた内容は当社ではお答え出来ません。また、本国に問い合わせることも出来ません。」との冷たい回答が。。。 (ある程度予測はしていましたが、悲しかったです。)
そこで、BMWグループのHPから質問のメールを送ってみました。
「おいらは、日本でE34の乗っている。今回、ATからMTにしたけれど、一緒にプロペラシャフトも交換したんだ。日本ではこのような場合、その部品の強度を証明しなければならないので、この部品のサイズや仕様について教えてちょうだい・・・。」 (お恥ずかしい英語のメールなので、メールの原文は割愛させていただきます。)
でも、未だに返事は来ません(爆)・・・(ちゃんと届いたのかなぁ〜) という訳で、仕方がないので色々と参考になりそうな資料などを探して求め出しました。
次に、書類の作成です。
- 運動性能を向上させる為に、ATからMTにするのじゃ。
- プロペラシャフト(「推進軸」というそうです)も交換したのさ。
と申請用紙に記入し、次に、
- 改造した内容の一覧(パーツNo.も)
- ミッションの新旧比較表
- 新しいプロペラシャフトの仕様(長さ・太さ)そして強度は大丈夫という計算も。
- 作業中の写真
- 使用したパーツの一覧
- 上記パーツのETK画面
などなどの補足資料(全部で19ページほどになりました。)を作成しました。(こんなに真面目に書類を作成したのは何年ぶりだろう???)
作成した書類はこちら(PDFファイル、2.8MB)
ようやく出来た書類を眺め、自己満足の世界へ。
さて、会社を休み、書類を持っていよいよ「多摩自動車検査登録事務所」へ!! 以下、検査官とのやり取り。
自分「こんにちは」
検査官「何の申請」
自分「ATからMTに載せ換えました」
検査官「申請書を見せて、海外には同じ仕様の車があるんでしょ。」
自分「はい、あります。」
自分「ここが、こうで、そこがそうなって・・・(ページをめくりながら説明)」
検査官「なるほどね。じゃぁ、申請書類を預かります。ところで、申請の結果を電話しますか?」
自分「お願いします。ちなみに、どのくらいで連絡いただけるのですか?一週間程度ですか?」
検査官「早ければ2〜3日ですよ。」
自分「では、宜しくお願いいたします。」(あくまで丁寧に・・・)
この間、約5分。(これだけ???頑張って資料つくったのに・・・) 後は、結果を待つとしよう・・・
翌日、仕事中に妻からのメールが「申請OKなので検査してくださいだって・・・」
思わず、「えっ、何と早い対応。書類提出したの昨日だったけど・・・」と口ずさむ自分。登録事務所が暇だったのか?自分の資料が完璧だったのか?(そう思いたい。) 何れにしても、1日で審査はOKとなりました。
よし、早速検査の予約じゃ!!
それまでに、「TRANS PROGRAM」という表示と耳障りな音を消してやろう。。。(こちらは、別途、ご報告出来ればと思っております。)
そんなこんなで、検査当日。(遠足に行く子供のように、ついつい早起き。)
洗車してから、いざ登録事務所へ。
途中、Gasを満タンにし、光軸の調整を行って、検査事務所に到着。何故か横には古ぼけたE34が・・・
写真5 検査事務所到着必要な用紙や印紙を購入し、必要事項を記入して、窓口に提出。(事務所の方は、素人の自分に親切に対応してくれました。)
特に問題なく、構造変更の検査ラインに。
写真6 検査ラインに書類を検査官に手渡し、車体番号の確認や、照明、ワイパーなどの動作確認。(あれ、ホーンの確認してないぞ???)
検査官「じゃ、車重を量りますので、フロントを量りに載せて」
前輪を指定したところまで車を進めて、そのまま待っていると、
検査官「はいっ、車から降りて!!」
うっかり、運転席に乗ったままでした(恥) これでは、重さが量れませんね・・・
こんな感じで測定した結果、
フロント(880kg)
リヤ(830Kg)
合計(1,710Kg)もともとは、
フロント(910kg)
リヤ(800Kg)
合計(1,710Kg)あれっ、合計が同じだ・・・ 何故、リヤが30Kgも重くなったの??? まぁ、50:50に近づいたということで良しとするしかないか。。。
などと、考えていると、
検査官「じゃ、一般の車と同じラインで検査してください。」
(この時は、この後の取り扱いが「構造変更」から「記載変更」になるとは気付いていませんでした。)
指示に従い、ぐるりと一周し(途中、スペアタイヤなどを元に戻し)、検査ラインへ。(とても写真も撮る余裕はありませんでしたので、検査内容は文書だけでご勘弁を・・・)
サイドスリップ 「○」 ブレーキ 「○」 サイドブレーキ 「○」 スピードメーター 「○」 排ガス 「○」 光軸 「○」 予想以上の好成績!! 5分もかからず、ここまで完了。
次は下回りです。「下回りを検査する検査官に書類を渡してください。」と言われていたので、「構造変更です。宜しくお願いします。」と言いながら書類を渡しました。(ここまでは良かったのですが・・・)
検査書類には「ペラシャフトサイズ確認」と書いてありましたが、「マフラー外さないと確認出来ないよ」と思いながら、ボーっと車から降りて立っていると、
写真7 検査書類検査官「車乗ってくださいね〜。」
「なぜ?」と思いふと右側にあった掲示板に目を移すと、何やら検査項目が書いてあるではあ〜りませんか!!(古)
慌てて車に乗る自分、思わずドアに体をぶつけ痛い目に・・・
どうにかこうにか、初めての体験が終了しようとしていた、その時、
検査官「あれ、これ『構造変更』じゃなくて『記載変更』だなぁ〜、書類が違うな〜、一度車検証の変更をしてから『継続検査』という扱いにするから、必要な書類を買って記入後持ってきて・・・」
自分「推進軸も交換しているので『構造変更』じゃないんですか?」と食い下がる。
検査官「(もう一人の検査官に)これ、車重も変わってないし『記載変更』だよな。」
別の検査官「そうですね、これ『記載変更』ですね。」
自分「???」(そうなの?)
(事前に自分の中で理解していた「構造変更」と「記載変更」がゴチャゴチャに・・・)検査官「あ〜、印紙もここに貼っちゃったんだ、あっちの窓口に行って剥がしてもらって、こっちの検査書類に貼り直してね。」
自分「は、はい。で、では、車検証を変更してもらってから、必要な書類を準備してまた来ます。」
意味が理解出来ないまま、手続きを進める自分。当たり前のように処理する事務所の方々。
ということで、車検証の記載変更が完了。(「改」がちゃんとついているぞ。でも、やっぱり有効期間がそのままだ。)
写真8 記載事項変更完了
写真9 あれ、期限がそのまま気を取り直してもう一度書類を購入し、検査官からの指示通り印紙を剥がしてもらい必要事項を記入し、まず、一番最初の窓口に書類を見せると、
事務員「記載変更⇒継続検査ということになったんだ。じゃ、全部終わったら隣の窓口に書類を渡してね。」
(「お〜い、初めから教えてくれよ〜」と思いつつ、) 「はい、わかりました。ありがとございます。」と小心者の自分。
書類を持って、検査ラインに向かうと、あれ、検査官が自分とは反対に事務所に戻っていくぞ・・・ あっ、休憩時間なのね・・・(おいおい・・・)
ようやく休憩時間も終わり、検査官の方々の自分の持ち場に戻ったところで、自分「すいません。書類を用意して印紙も貼り直してきました。」
検査官「ご苦労様。じゃ、この書類を窓口に持って行って」
自分「ありがとうございました!!」
その後、継続手続きの窓口に書類一式を渡し、ようやく有効期限が平成21年になった車検証を手にすることが出来ました。
写真10 継続検査終了この後、DDさんのメンテナンス記録の記事を参考に、リヤのステアリングアームの交換を行いました。
写真11 外したアーム
写真12 交換後(左)
写真13 交換後(右)今回は貴重な体験(恐らく、もう2度とないだろう)をすることが出来ました。
ちなみに、今回の事務所の対応ですが、どうも地域によっても違いがあるようです。同じことを計画されている方は、事前に管轄の事務所にお問い合わせいただくことをお勧めします。(いないか・・・)
その夜、保険会社に「改」という文字が付きましたので、と問い合わせたところ、
「申し訳ございませんが、当社では『改造車』の保険をお引き受けすることが出来ませんので解約という扱いなります。お手数ですが違う保険会社をみつけていただき、速やかに解約の手続きをお願いします。」
という悲しい結果になったことは深く語りません。
DDは改造申請のことをよく知らないので、とても参考になった。って言ってもMT化する予定はないのだが・・・(笑)。
末尾ではあるが、非常に面白いレポートをいただいた まるおさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。