2007年1月12日(金) 2007年1月16日(火)一部修正・追記
E39 OBCの裏コマンド − ミッチョさんより
今回はミッチョさんよりE39 OBCの裏コマンド(各種設定コマンド)のレポートをいただいたので紹介しよう。E39乗りの方は必見だ!
E34のOBC(オンボードコンピュータ)設定コマンドは既にレポートされているが、E39のものは日本のサイトでは見つけられなかった。海外サイトの情報を元に、自分の車で試してみたのでレポートする。
<テストモードへの入り方>
クラスターメーターのチェックコントロールボタン(以降「右ボタン」と呼ぶ)を押しながら、イグニッションキーをT(ACC)またはU(ON)の位置にする。液晶表示部に「TEST-NR.01」と表示されテストモードに入る。(写真1・2)
写真1 メーターのボタン
写真2 テストモードに入ったところテストモードの時にエンジンをかけた状態にしたいときは、右ボタンを押したままでエンジンをかければいい。また、ACCでテストモードに入っても、キーをONまで回すとテストモードが終了してしまうので注意が必要だ。
「TEST-NR.」の末尾の数字はチェックコントロールボタンを押すたびに「01〜21」まで変化する。通常は01と02のみ、トリップメーターリセットボタン(以降「左ボタン」と呼ぶ)を押すことで内容表示がされる。
「TEST-NR.03」以降はすべて「LOCK:ON」と表示されてしまい、左ボタンを押すたびに「OO」〜「45」まで数字が増加するのみで、そのままでは情報は得られない。
「TEST-NR.03」以降の情報を表示させるためには、ロックを解除するために次のような操作が必要である。
<OBCロックの解除方法>
1 車両シリアルナンバーの末尾5桁の数字を足し算する。
2 「LOCK:ON」表示状態から、左ボタンを何度か押して1で算出した同じ数にする。
3 右ボタンを押す。
ロック状態
1で算出した数字(16)だけ左ボタンを押したところこれでロックが解除され、「TEST-NR.03」以降の表示ができるようになる。一度解除すると、再度ロックをするまではいつでも表示させることができる。以下は私の車両の表示である。
番号 表示例 機能説明 01 【TEST-NR.01】(車両情報) FGSTNR:BV*****(シリアルナンバーの下7桁)
K:4812(不明)
BMWTNR:*******(不明)
CI:05 DI:04 BI:08(不明)
DAT:19/97(97年19週製造)
HW:07 SW:14.00(不明)
ZYL:06(シリンダーの数)
M:3(不明)
S:0398(不明)
02 【TEST-NR.02】(メーター表示のチェック) イグニッションキーがT(ACC)位置のとき、左ボタンを押すとメーターとランプ類、液晶表示のチェックが行われる。
ランプ類、液晶が全点灯し、メーターは最大値まで振れる。これは3回繰り返される。03 【TEST-NR.03】(詳細不明) SIーL:0918
SI-TAGE:0441
04 【TEST-NR.04】(瞬間燃料消費) RW-VBR:*.*L/100KM(瞬間燃料消費 単位はリットル/100km)
VBR:*.*L/H(瞬間燃料消費 単位はリットル/時間)
05 【TEST-NR.05】(平均燃料消費) RW-VBR:10.9L/100KM(平均燃料消費 航続距離を算出するのに使われる)
RW:532KM(残りの燃料で走れる距離)
06 【TEST-NR.06】(燃料残量) TNK:28.6/29.8/58.4L(燃料の残量 左/右/合計?)
TNKANZ:58.4L PHASE1(燃料の残量)
TNKの数値は、車を揺らすことで頻繁に数値が変化する。対してTNKANZの数値は、TNKほど頻繁には変化しない。
07 【TEST-NR.07】(エンジン温度) KTMP:***℃(エンジンコア温度)
後期仕様はM:*****U/MIN(エンジン回転数)、ATMM:**.0℃(外気温度)も表示するようだ。
08 【TEST-NR.08】(車速) V:***KM/H(車速)
09 【TEST-NR.09】(電圧) UB:**.*V(バッテリー電圧)
10 【TEST-NR.10】(国別表示) LAND:05 J(J-日本 US仕様は「02 US」と表示される。変更方法は不明)
11 【TEST-NR.11】(単位?) EINHEITEN: 81 6F 12(ドイツ語の「EINHEITEN」は「単位」を意。表示単位の設定?)
12 【TEST-NR.12】(平均速度・到着予定時間) VANK:047.0KM/H(平均スピード 単位はkm/h 到着予定時間を計算するのに使われる?)
ANK:--:--(到着予定時間 目的地距離の設定が必要)
13 【TEST-NR.13】(GONGのテスト) GONG?(ゴングユニットのテスト。左ボタンを短押しすると「プ・プ・プ」と鳴る。ボタンを長押しすると チェックコントロールの「ポーン」に続いて、バックギアに入れたときの 少し低い音程の「ポーン」と鳴る。)
14 【TEST-NR.14】(詳細不明。ダイアグノーシス?) DAIAG:1 D7 81 024
DAIAG:2 00 00 000
DAIAG:3 00 00 000
DAIAG:4 00 00 000
DAIAG:5 00 00 000
15 【TEST-NR.15】(OBCの入力ポート値?詳細不明) PORT 00: 00000000
PORT 01: 01000010
PORT 02: 01111110
PORT 03: 01001110
PORT 04: 00X10000
PORT 05: X0110000
PORT 06: 00101111
PORT 07: 1111110116 表示例なし 【TEST-NR.16】(未使用) 後期仕様は「OELTEMP: ***°C」などと表示すものもあるようだ。(油温?)
17 表示例なし 【TEST-NR.17】(未使用) 後期仕様は「RCC-EMPF.: ----MIN」などと表示するものもあるようだ。
18 表示例なし 【TEST-NR.18】(未使用) 19 【TEST-NR.19】(OBCのロック・アンロック) LOCK:OFF(再びロックする場合に左ボタンを押す。アンロックする場合は、車台番号の末尾5桁を足し算した値に合わせる。)
20 【TEST-NR.20】(OBCの燃料消費の補正値) KVBR: 1000(左ボタンを押すたびに1ずつ増加し、長押しすると10ずつ増加する。1000を基準とし、750〜1250の間で補正が可能。)
21 【TEST-NR.21】(OBCのリセット) RESET ?(すべての設定値は元に戻る。左ボタンでリセットされる。)
私のE39 525は97年式の初期モデルである。アメリカでは97年以降はOBDU(オン・ボード・ダイアグノーシス)規格のコンピュータ診断コネクタの装備が義務付けられ、ECUのダイアグノーシスシステムも、97年あたりから大きく変化している。
E39もUS仕様にはこのOBDU規格のコネクタが運転席に設けられているようだ。エンジンルーム内のコンピュータ診断ソケットも、ダイアグノーシスシステムの変更に伴い、内部のピン配列に違いがあることも分かってきた。
今回のレポートも、たぶん年式、仕様によって表示内容がいくつかは違ってくることと思う。間違いなどもあると思われるので、ご指摘いただけると幸いである。
これは保存版だなぁ・・・。このレポートの作成には、かなりたくさんの写真を撮影することが必要であり、ミッチョさんは写真の撮影だけでなく、その切り出して大きさも揃えてもらった。本当に頭が下がる思いだ。
末尾ではあるが、いつもながら詳しくわかりやすいレポートをいただくミッチョさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。