2006年11月23日(木)
E39 クラスターメーターの脱着・分解方法と液晶ドット欠け − ミッチョさんより
前回に引き続き、ミッチョさんよりクラスターメーターの脱着・分解方法のレポートをいただいたので紹介しよう。
<はじめに>
E34は3台所有したが、どれも液晶表示に問題は出なかった。E39・38のクラスターメーター液晶表示部分は、必ずといっていいほどドット欠けが起こるという持病がある。私の車もご他聞に漏れず数箇所の表示がおかしく、特に外気温表示はほとんど読めなくなっていた(写真1の矢印部分)。
写真1 ドット欠けした液晶表示メーターの液晶表示不良には、ディーラーで製造から5年までは無償交換するという話も聞いたことがあるが、私の車はすでに9年が経過していて問題外である。また、クレームで交換してもやがて再発するという話も聞く。ちゃんとした対策部品になっていないようだ。
液晶表示は、液晶パネルの端子にフラットケーブルが押さえつけられて接触しているため、経年変化、温度、湿度、プラスチックの変形などで接触不良が起こりやすいと聞いている。だから、表示に問題のないときもあるし、走行しているうちにドット欠けがどんどん変化してくることもある。この接触不良をなくしてやることで復活するはずなので、DIYで修理しようと思ってメーターを外して分解を試みた。
結論からいうと私のスキルでは液晶までたどりつけなかった。無理にメーターの針を抜こうとして、リターンスプリングをだめにしてしまい、余計な修理費用がかかってしまった。ドット欠けの修理は専門業者に任せたほうがよいと思う。しかし、メーターリングの装着などには参考になるだろうから、このレポートを作成することにした。
1 メーターパネルカバーの取り外し
はじめに、メーターを取り出しやすいようにステアリングを一番下にチルトさせ、一番手前に引き出しておく。
メーターパネルカバー下のパネルを手前に引き抜くと、下側は右2個、左1個のビスで固定されているのが見える(写真2、3)。
写真2 右パネルを取り外したところ
写真3 左パネルを外したところ上部は写真4の3箇所のビスで固定されている。
写真4 メーターパネル固定ねじここは写真5のように、トルクスが使われている。これらののビスを取り除くとメーターパネルカバーは手前に引き出すことができる。
写真5 メーターパネル固定ねじ2写真6は左側のフォグライトスイッチと光軸調整ダイアル、写真7は右側のライトスイッチとメーター照明コントロールダイアルの裏側の様子である。
写真6 左側スイッチ裏側
写真7 右側スイッチ裏側ライトスイッチのコネクタを外すとヘッドライトが点灯してしまうので、バッテリーターミナルを外さずに作業する場合は注意する必要がある。私はいつも横着をして、写真8のようにライトスイッチのコネクタを外さずにダッシュボードの上に乗せてしまうが、本当はバッテリーのマイナスターミナルを外してから作業すべきである。
写真8 メーターカバーを外したところ2 メーター本体の取り外し
メーター本体は、上部2箇所のトルクスねじ(写真9)で固定されているだけである。
写真9 メーター固定ねじこれを外して上部を手前に引くと、写真10のようにメーターが出てくる。
写真10 メーターを引き出しているところ写真11のように、メーターには3つのカプラーが接続されている。
写真11 メーターのハーネス左の黒いカプラーは写真では見えないが、サイドをつまんでロックを外すタイプのカプラーだ。青カプラーと白カプラーは、それぞれ白と黒のロックレバーを開放して起こすことで、カプラーが自然に抜けてくる構造だ。このメーターは初期型の車両に装着されているメーターで、青・白カプラーが上からささっているが、現在は後ろから接続するタイプに変更されているはずだ。
写真12は取り外したメーターの裏側である。
写真12 メーターの裏側前述したが、初期型に使用されているメータは、後部にAT IKEというユニットを背負っている。ETKで調べてみると、オンボードコンピュータが装着されている車両用の部品のようだ(本国にはOBCのないモデルも存在すると思われる)。
メーターに接続されているハーネスを外すと、OBCや時計の設定が初期化されるので、このユニットがOBCではないかと思う。間違いであるならご指摘いただけると幸いである。途中から、メーターとこのAT IKEユニットが一体化されたメーターに変更されているようだ。クレームなどでメーター交換されている場合は、一体型のメーターに変更されているはずだ。
3 メーターの分解
(1) AT IKEユニットの分離
上部に接続されているフラットケーブルのロックを外し、ケーブルをAT IKEユニットから抜き取る(写真13)。
写真13 フラットケーブルを抜き取ったところ写真14にあるユニット下部にあるボタンを押しながら、右にスライドさせることでAT IKEユニットがメーターと分離できる(写真15)。
写真14 AT IKEユニットのロックボタン
写真15 AT IKEユニットを外したところ一体型のメーターの場合は、この作業は必要ない。
(2) フロントパネルを分離する
写真15の矢印で示した5箇所の爪と、数箇所のボディサイドの小さな爪でフロントパネルは固定されている。サイド部分は軽く引っかかっているだけなので簡単に外すことができる。矢印のロック部分を拡大したのが写真16である。
写真16 フロントパネルロック部分のアップ言葉での表現はしにくいが、写真17のように+字のロック爪をラジオペンチで回転させ、すぐ横の隙間にドライバーなどを差し込んでこじることで、爪が元に戻らないようにテンションをかける。
写真17 ラジオペンチでロックを外しているところこれを5箇所の爪で行うので、ドライバーを3・4本用意しておくとよい。5箇所の爪を外すと、写真18のようにフロントパネルが分離できる。
写真18 フロントパネルを分離したところメーターリングの取り付けは、この状態で行える。
写真19は警告灯部分のアップである。
写真19 警告灯部分のアップすべてではないが、E34の警告灯はすべて電球だったが、E39では多くはLED化されているのがわかる。
(3) リアパネルを外す
当初、液晶部分の修理をするつもりでリアパネルも外してみた。ロックを外すのに苦労するが、写真20がリアパネルを外したところだ。
写真20 リアパネルを外したところこの状態では、まだ液晶部分にアクセスできない。メーターの針を外して、更にその下のパネルを外す必要がある。針を抜こうとしたところ、針を0に戻すための「リターンスプリング」を伸ばしてしまい、元に戻せなくなってしまった。私のスキルでは、これ以上の分解に進むべきではなかった。
<おわりに>
結局、液晶部分にはアクセスできず、メーターの修理業者にリターンスプリングと液晶表示の修理を依頼することになった。液晶表示の修理が2.5万円、リターンスプリング2個の修理が5千円×2で合計3.5万円と、無理をしたために1万円も余計な出費をしてしまった。
修理後はドット欠けをすることもなく非常に調子がよい。液晶の修理をするなら、初めから専門業者に任せることをお勧めする。もし他に修理の方法をご存知の方がいらっしゃったら、お教え願いたい。
う〜ん、かなり器用なミッチョさんでも液晶表示は修理できなかったようだから、これはなかなか手強そうだ。でも、メーターリングの取り付けなら、上記のレポートが参考になるだろう。最近、ミッチョさんのおかげで、E39のメンテレポートも充実してきた。
末尾ではあるが、いつもながら詳しくわかりやすいレポートをいただくミッチョさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。