2006年9月13日(水)
DMEのFET交換 − レイバンHROさんより
今回は、自力でDMEを修理したレイバンHROさんのレポートを紹介しよう。DMEを自分で修理するとは・・・!
DME故障修理顛末記 H18 2006/8/25 から
8月25日
雨の夜、ドライブの帰り、いきなり吹けが悪くなり加速も悪くなった。排気音は不整脈のようになっているし、振動も多くなった。第一加速時の音が悪い。これって一体?
楽天的にはプラグがかぶった? アクセルを吹かし気味に帰ってきたが直らない!
症状分析 プラグ(楽天的だ!)→IGN・COIL→アイドルバルブ→インジェクターと、ここまで。雨が降っているので明日にチェックしよう。
8月26日
6時に起きてプラグ交換 直らない!やっぱり!そうだよなー。じゃーインジェクター?それともイグニッションコイル?
その後シリンダー1のイグニッションコイルが触れないくらい異常発熱しているのを発見。さー大変! イグニッションコイルはよく壊れると聞いたので遂に壊れたかー!
あわてて知り合いのBMerにメールを出すも、中古部品屋でコイルが出品されているのを発見、電話して代引きで送ってもらう算段に。皆さんにはお騒がせのお詫びメールを出す。
8月27日
イグニッションコイルを入手して交換 直らない!交換後のコイルも異常発熱している。シリンダー1以外のコイルは触れる温度になっている。
イグニッションコイルの抵抗値はデジタルテスターで測ったら0.8Ωで規定値なので、DMEを疑いはじめる。
デジタルテスターでコネクター端子bPとアース間のOFF抵抗を測ったら750Ω、他は100KΩ以上なのでDME内部の故障と判断。
多分高耐圧トランジスターのショートというか、ONになった瞬間からONになったままになる?と判断。
DME分解かー! 分解したら後には引けない。直るまで乗れないなー! 分解を決意!そんなに構えなくてもいいのにねー!
ここで意外な盲点に気が付く!単なるスイッチングトランジスターのショートだったらともかく、ドライブトランジスタやその前段だったらどうしよう?
しばらく考えた結果、やってみるか!となる。
8月28日
和歌山のfusen-b(nozomitake)さんからDMEと予備のイグニッションコイルが届いた。これで分解の準備は整った。
いただいたDMEユニットは別のHPでは部品品番が同じなら使えると書き込みがあったので期待を持って取り付けたが、そのままではセルは回るものの点火は全く出来ず、セキュリティの関連でROMに書き込んである車体番号が合わないと駄目のようである。このDMEの素性はBM小僧さんのDMEとの事であった。
壊れたDMEのコネクターをデジタルテスターで追ってみたら、ピン50がシリンダー1の端子と判明。
さーてと、曲げてあるカバーの爪を起し、10と20のトルクスでネジ11本を外し、今度はトランジスターの固定スプリングを小さいマイナスドライバーでスプリングの端から持ち上げて徐々に外す。
大分固いなー! この時に絶縁シートを破らないように気を付けて持ち上げる。持ち上げ難くなってきたのでドライバーの下に割り箸を入れて高さを稼ぐ。いきなり、パチン!と外れた!
どれどれ、どのFETかなー? 見るまでもなくスプリングの下に入っているプラスティックのカバーが焦げているFETがそうだ。
放熱板も高熱で変色している。それでも一応50番ピンとの導通をみて確認する。
30014? 変な番号? これが品番なの? まるで製造ロット番号みたい。
他のFETを見てみるとこれだけが共通の番号だ。やっぱり、これが品番かー? 日本やアメリカの品番と違って判り難いなー。
端子間の抵抗は?750Ω。これだ! 外す時にパターン剥がれを起しやすいので、足をニッパーでカット。ハンダゴテを当てて足をピンセットで引っ張りながら抜く。次に爪楊枝をハンダが溶けている間に穴に差込みFETの足が入り易いようにしておく。
今度はいただいたDMEからFETを外すのだが使える様に取り外すので、足には放熱器をはさみ熱で壊れないようにしなければならない。
ハンダゴテを当てながら何回も斜めに持ち上げてそれぞれの足にコテを当てて外す。ハンダ吸い取り器があれば簡単だが無い物はどうにもならない。失敗してもまだ5個残っているから気楽にやる。運良く1個目で無事使える状態で外す事が出来た。
OFF抵抗は50KΩと低いが使用可能と判断してDMEに取付ける。両面基板なのでちゃんとハンダが回るように丁寧にハンダ付け。これで上手くいく筈! 多分!
念のためハンダ付け後OFF抵抗を測るが50KΩで問題なし。さー、あとはケースに入れてから車体に取り付けだ!と思いきや? FETを放熱器に押さ付けるスプリングが固くてはまらない! 何回やっても固くてはまらない。こんなに固いのー? 押さえる位置をあれこれと変えてようやく少しずつはまってきた。ところが途中からもう入らない!基板が割れるかと思うくらい結構な力で押さえ込み。ようやくはまった。大丈夫かなー? 今度は(次は無いかもしれないが)、押さえのSSTを作っておこう。
ケースに入れてからバッテリーを接続し、祈るような気持ちでイグニッションON!
セルを回すと?かからない!? えー!!?? 気を取り直してもう一度セルを回す。ボソボソッ、ドドドッといった感じでエンジンがかかった。
かかった後2、3秒ほど不安定な感じだったが、すぐに安定したアイドリングに変わった。マニュアルには安定しない時は10分ほどかけておくと安定するような事が書いてあった。
仕事が終わってから富士五湖周辺40kmほどのテストドライブ!快適、快適! これぞシルキー・シックス!と一人で悦に入る。直って良かったー!本音です。
使用機器:
導電ゴムシート、導電ベルト、セラミック半田ゴテ(コテペン100)、アルミクリップの放熱板デジタルテスターなど使いながら無事交換できました。
昔のテスターは大きな電流が流れるのでICなど壊す可能性が高く(多分壊れます)、デジタルテスターの使用が必須です(マニュアルにもデジタルテスターの使用とあります)。
番外編:
FETを外す途中でROMのソケットに気付き、ひょっとしたらROM差し替えで行けたかもしれない?と思ったが、まーいいか!と楽天的にFET交換をしてしまった。
今度は(そんなにあったら敵わないが!)ROMを外してコピーしてみよう。それを挿したら良いかもしれない。
以上、お粗末な顛末記ですが皆さんの参考になれば幸いです。DMEやコイルなど親切に送っていただいたドラえもんの4次元ポケットをお持ちの和歌山のfusen-b(nozomitake)さんに感謝いたします。
レイバンHROさんも書いているように、もしかしてROMを交換しただけで修理できたかも?(笑)
末尾ではあるが、面白いレポートをいただたレイバンHROさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。