2005年3月29日(火)
オートエアコン温度調節の修理(3) 実際の修理編 − ミッチョさんより
さて、「オートエアコン温度調節の修理(2) トラブル原因追求編 − ミッチョさんより」の続きである。
オートエアコン温度調節の修理(3) 実際の修理編
「オートエアコン温度調節の修理(1) トラブルシューティング編」と「オートエアコン温度調節の修理(2) トラブル原因追求編」で紹介したエアコン温度調節フラップ不動の修理ができたのでレポートする。
1.First Try 失敗の巻破損した台座(写真1)のストッパー部分を、金属ステーで作り(写真2)、これをエポキシ系の接着剤で固定した(写真3)。
写真1 破損した台座
写真2 加工した金属ステー
写真3 エポキシ樹脂で固定速乾性の接着剤だが、念のため一晩おいてアクチュエーターをセットしてみた(写真4)。
写真4 アクチュエーターをセットしたところロッドとの接合部分に見える白いクリップ(P/N 6411 1 372 638)は新品を用意した。価格は80円だ。手で押した感じはしっかりしているような感じがするが、大丈夫だろうか?
さて、イグニッションをONにしてみる。アームが上に動いていく・・・・、バキバキという音と共に、見事に前日の作業を無駄なものにしてくれた(写真5)。_| ̄|○
写真5 破損箇所が更に広がったところこの作業の前に、センターコンソールを外したのだが、慎重に作業しても、プラスチックの爪はことごとく折れていった。特にひどかったのはハザードスイッチのカプラーだ。外そうとしたら、粉々に砕け散った。車の保管状況にもよるのだろうが、プラスチックの劣化は予想以上だ。
2.Second TryFirst Tryの結果、アクチュエーターのトルクが強いのでかなり頑丈に作る必要があることを学んだ。
そこで、台座部分自体を補強するような形に、2mm厚の金属ステーを加工し(写真6・7)、上のダクトと下のヒーターコアカバーにビス止めした(写真8・9)。
写真6 加工した金属ステー
写真7 アクチュエーターのアームを受ける部分
写真8 ステー装着の様子(1)
写真9 ステー装着の様子(2)ビス止めしたダクトとカバーは薄く柔らかい素材なので、太目のタッピングビスを使用し、下は2個止めとした。また、アクチュエーターの強いトルクを受ける場所には、太目のインシュロックで、台座の付け根にも力が分散するように締め付けた。試しに、手で押したり、こじってみたりしたが、なかなかの強度である。これなら耐えられそうだ。
さて、イグニッションをONにしてみると・・・・、アームの動きをしっかり受け止めて微動だにしない。成功だ! この強度なら、何年かは持つだろう。
3.予防補強破損していたのは左側だけだが、構造から考えて、いずれ右側も破壊されることは目に見えている。またコンソールを分解するのは手間なので、破損する前に右側も補強することにした。
同じステーを使い、同じ方法で補強してみた(写真10・11)。
写真10 右側アクチュエーターの補強(1)
写真11 右側アクチュエーターの補強(2)違いは、まだ破損していないストッパー部分に、つっかえ棒のような形でボルトをかませてあるところである。
私のM5は右ハンドルのため、ステアリングポストを支えるパイプがあって(写真中央の太いパイプ)、少々、ステーの加工がやりにくかった。
長い間の懸案だったエアコンの不具合が解消できた。この補強でいつまでもつかは不明だが、当分は大丈夫だろう。修理後の空調の動作は、非常に快適である。今回の修理に要した費用は、白いクリップ80円と金属ステー250円×2の600円弱である。しかし、ここに来るまでに、新品アクチュエーター16,000円と中古ACコントロールユニット5,000円を投資しており、予備部品のストックが増えてしまった。これらの部品が必要な方は、ご連絡いただきたい。
試行錯誤の末に、原因の同定と実際の修理が完了したようだ。補強がどれぐらいもつかについては、今後のミッチョさんのレポートを待とう。
末尾ではあるが、いつもながら有用なレポートを提供いただいたミッチョさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。