2005年1月4日(火)
レザーステアリングの修復 − ミッチョさんより
新年早々、ミッチョさんより「レザーステアリングの修復」のメンテナンスレポートをいただいたので紹介しよう。レザーステアリングって自分で修復できるんだぁ・・・
レザーステアリングの修復
購入したM5のステアリングは、最上部の外周がでこぼこして荒れ、色も剥げた状態であった。購入前は7ヶ月ほど車検を切らした期間があり、おそらく露天で放置され、日光で劣化してしまったのであろう。
ステアリングを操作するたびに、手のひらに荒れた感触が伝わるので何とかしたくなった。オークションでMテクステアリングを探しても、程度のよいものが少なく競争率も高い。専門業者に依頼してもかなり高額となる。
このレポートで紹介する方法の前に、ホームセンターで靴用のスプレーを購入して塗ってみた。付属する革用のパテが液体で、でこぼこした表面を綺麗に平滑にすることができなかった。そのままスプレーで塗装をしてみたが、微妙な凹凸も気になるし、一見すると綺麗に塗られた塗料が何となくベタつく。そのまましばらく使用していると、いつも触っている部分の艶がなくなってきた。こりゃだめだ(いかりや長助風)。
そこで、東急ハンズのレザーコーナーで相談してみたが、応対した店員からは納得できる説明を得られなかった。知識豊富な店員がいなかった。決して「若いオネーサマ」だけを狙った訳ではない(笑)。
次に、近所の小さなレザークラフト店を、インターネットで探し出して相談してみた。さすがに車のステアリングを修復したことはないそうだが、納得できるアドバイスをいただくことができた。
アドバイスしていただいた作業の概要は、次のとおりである。
革用のパテで傷を埋める。
400番くらいのペーパーで平滑にする。
革用の染料で色付けをする。
ラッカーの下地剤(レザーバインダー)で色落ち防止をする。
仕上げ剤で仕上げる。
これらの材料はホームセンターでは見つけることはできなかったが、東急ハンズとレザークラフト店で手に入れることができた。用意した材料を写真1に示す。
写真1 用意した材料
<実際の作業>
1 ステアリングを外す
エアバッグつきの車両の場合は、暴発しないようにバッテリーの−端子を外すなど十分注意して作業する必要がある。私の車はエアバッグが付いていないので、取り外しは簡単である。
(1)ハンドルをまっすぐにし、キーを抜いてステアリングをロックする。
(2)ホーンボタンを外す。手前に引っぱれば外れる。奥のシャフトにマーキングしておくとステアリングを装着する際に、ハンドル位置が分かりやすい。
(3)クロスレンチでセンターナットを緩める。ナットは完全に外さずに2・3回転分シャフトにかませておく。勘合部分がテーパー状できつくて外れにくい場合、力いっぱい引き抜いた拍子にステアリングで顔面を強打する場合があるからである。
(4)キーを差込んでACC位置まで回転させ、ステアリングロックを解除する。これをしないと、いくら引っぱってもステアリングは抜けない。
(5)ステアリングを手前に引いて勘合を外す。
(6)ナットを取り去り、ステアリングを抜く。
2 ステアリングを分解する(写真2〜5)
(1)ウインカーを戻す突起が作業のじゃまになるので、裏のスリップリングを外す。
写真2 パーツの分解
写真3 スリップリング(2)オーナメント類を外す。Mテクステアリングの場合は、ホーンパッドのセンターオーナメントとMバッチを外す。写真4・5のような構造になっている。はめ込んであるだけであった。
写真4 センターオーナメント
写真5 Mバッチ3 革用のパテで傷を埋める(写真6・7)
私は着色していないパテを使用したが、色つきのパテもあったので、小さな傷の補修には色つきを使用してもよいかもしれない。
写真6 革用パテ
写真7 パテ塗り後4 パテ埋めした部分を平滑にする(写真8)
パテが乾いたら、400番くらいのペーパーで平滑にする。着色するので、革の色が剥げても気にしない。(本当はドキドキもの)
写真8 ペーパーがけ後5 刷毛で着色する(写真9)
染料には「水性」と「油性」がある。油性の方が着色した銀面(革の表のこと)にも色が乗りやすいとのことなので、油性の染料を使用した。色が合わないと嫌なので全体を着色した。ついでにセカンドバック(黒)の色が剥げたところにも塗っておいた。
写真9 色つけM5のステアリングはセンターホーンパッドもレザー張りなので、ホーンパッドにも塗装した。
この時点では艶は無いし、塗りムラも感じるが気にせずに2度塗りして乾燥させてた。
6 ラッカーの下地剤を刷毛で塗布する
使用した下地剤は「レザーバインダー(水性アクリル系下塗り剤)」というものである。「ラッカーの下塗り剤として革と密着し、ヒビ割れを防ぎ、ラッカーの仕上げ効果を高めます」とボトルに書いてあった。
塗ってみたところ、最初ははじいてしまうが、何度か塗っていると馴染んでくるようで艶が出てきた。
7 仕上げ剤を塗る
仕上げ剤にはスプレー式と刷毛塗り式の2種類を購入してしまった。スプレー式は「レザーライトスプレー」で、「革の艶出し仕上げ剤」と書いてある。透明なラッカーのようだ。刷毛塗り式は「レザーコート」で、「レザーコートだけで仕上げができ、自然でソフトな仕上げになります。」と書いてあった。
今回はスプレー式を使ってみたところ、艶ありのピカピカ仕様となった。艶を控えめにしたいときは、レザーコートを使用したほうがよいかもしれない。
8 ステアリングを取り付ける
十分乾燥させてからパーツを取り付け、取り外しの逆の手順で車に取り付ける。
エンジンのタペットカバー塗装(後日、レポートする予定)も同時進行していたので、まだ車が動かせない。そのため、まだ使用していないので耐久性はついてはよく分からない。
しかし、年末の大掃除もろくにせず修復に取り組んだ結果、手触りもよく満足のいく仕上がりとなった。
愛犬にも仕上がりを確認してもらったが、「ワンダフル」と言ったとか言わないとか・・・・(写真10)。
写真10 仕上げ後
やや艶がありすぎる感じがするので、次にやるときはレザーコートを使用してみたいと思う。
次の作業は、夫婦関係の「修復」だろうか? 気持ちよく修復作業をさせてくれた妻に感謝する。
レザーステアリングの再塗装というとなんだか難しそうだが、手順がわかってしまえば意外と簡単にできそうである。仕上がりも見事なものだ。
末尾ではあるが、いつも有用な情報をいただくミッチョさんに感謝する。でも、最後の一文の『次の作業は、夫婦関係の「修復」だろうか?』が気にかかるなぁ。ホンの冗談であることを切に願う。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。