2002年5月17日(金)

エアコンの風量 − レジスター不良

最初に断っておくが、今回は私の車のメンテナンス記録ではない。

横浜に住むキャノンさんより「エアコンの風が風量最大でしか作動しない。マイクロフィルタも交換してみたが症状が変わらない」とのご相談のメールをいただいた。

キャノンさんの車は'92年式525iの左ハンドルである。いわゆる「刀」のないタイプらしい。運転席側(左側)の足下のパネルを外してみると、写真1のようになっているようだ。


写真1 運転席側(左側)の足下のパネルを外したところ(写真はキャノンさん提供)

どうやら、黄色の丸印が風量を制御しているものらしい。キャノンさんは赤色の丸印のものを抜いてみたようだ。キャノンさん曰く、「なにやら、直径3ミリ程度で、12〜3cmの金属の棒状のものがスルスルっと抜けてきましたが、表面はグリス?ぽいもので意図的にコーティングしているかのようでした」。う〜〜ん、なんだこりゃ?

この辺りのことは、BMW初級者のDDはよくわからない。そこで、メンテ大魔王のファルコンさんにメールで尋ねてみた。

すると、ファルコン大魔王より丁寧な説明のメールをいただいた。以下にそのメールの内容を記載する。

Subject:  Re: エアコンの不良について

ご質問の件ですが、私も黄色の丸のついたレジスターが怪しいと思います。

赤丸のついているものはエバポレーターの温度センサーなので、風量とは無関係だと思います。

同じシステムの車からレジスターユニットを借りてきて、付け替えてみることができればよいのですが。

ディーラーに入庫すれば、電気系のトラブルなのでDISで診断できると思います。

ちなみにHeating VentilationとAir Conditioning Systemは年代&車種別につぎの4種類に分かれています。

1988〜1990年の直6モデル  IHKR I
1991年の直6モデル        IHKR II
1992〜1995年の直6モデル  IHKR III
1993〜1995年のV8モデル   IHKA

*IHKR …INTEGRATED HEATER-AIR CONDITIONING CONTROL
*IHKA …INTEGRATED AUTOMATIC HEATER-AIR CONDITIONING

となっており、

IHKR II、IHKR III……レジスター制御
IHKR I、IHKA ……ファイナル ステージ(通称“カタナ”)制御

です。

さすがは「大魔王」である。どうやら黄色の丸印のついたものは「レジスター」なるものであり、ブロアモータを制御することにより風量を調節しているようだ。また、赤丸のものは、エアコンのエバポレータ(気化器)の温度センサらしい。

このことをキャノンさんに連絡すると、早速、このレジスターを新品に交換なされ、エアコンの風量不良が完治されたようだ。おまけに、その交換作業や新品のレジスターについて写真付きで詳細なレポートをいただいた。以下では、そのレポートを紹介する。ただし、説明文はDDが編集している。ご容赦いただきたい。


「ブロアレジスターの交換」

交換したレジスターは前出の写真1に示す黄色の丸印のものである。つまり、これを外して新品のレジスターと交換する。

このレジスターの正式名称は、「ブロアーレジスター」であり(そのまま)、P/N(Part Number)は「6411 8391 699」だそうだ。価格は、4,750円(税別)であるが、キャノンさんはスピードジャパンさんから3,325円(税別)で入手されたようである。

新旧のレジスターを比較したものを写真2に示す。


写真2 新旧のレジスターの比較(写真はキャノンさん提供)

左側が新しいレジスター、右側が古いレジスターである。よく見ると、古い方のレジスターは、コイルの隙間が心做しか伸び切ったような状態で、ちょうどバネの伸縮性がなくなったような感じであった(キャノンさん談)。

実際の交換作業は比較的簡単である。足下のサイドパネルのネジを外して、サイドパネルを取り除く。すると、写真3のようなレジスターが見えるはずである(注:写真では既に新しいレジスターが付いている)。


写真3 レジスターの交換(写真はキャノンさん提供)

写真3の丸印の部分は柔軟なプラスチック製の板状のようなものできており、これを優しく上へ押し上げると、写真左のようにレジスター全体が見えるようになる。そして、レジスターを固定している爪を優しく煽りながら、少しずつ引き出すとレジスターを外すことができる。そして、レジスターに付いている配線コネクタを外せば、レジスターを完全に取り外すことができる。

新しいレジスターの装着方法は上記と逆の手順である。エアコンの風量調節がうまく働いていない方は、レジスターの部分も疑ってみる必要がありそうだ(ただし、レジスター装着車のみ)。

なお、末尾になったが、今回の話題を提供していただき、さらに詳細な写真付きのレポートまでいただいたキャノンさん、および、原因を一発で見抜き丁寧な説明をいただいたファルコン大魔王に感謝の意を表する。

 

(注)
「ファルコン大魔王」と書くと恐い人のように思いますが、実際にはとてもジェントルで親切な方です。取って食われたりしませんからご安心下さい(笑)。



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