2001年11月3日(祝)
クルーズコントロール取り付け − その5
ここでは、取り付けたクルーズコントロールの設定や動作確認について報告する。当たり前だが、いきなり走行して動作チェックをするのは御法度である(勇気と安全な場所があれば、やってもらってもかまわないが・・・)。
以下では、
の順に説明する。
クルーズコントロールの本体には、写真1のようにゴム製の小さな蓋(キャップ)がついている。
写真1 本体のゴムキャップそのゴムキャップを開けると、写真2、3のように、中には「ディップスイッチ」と呼ばれる小さなスイッチが12個ついている。この12個のスイッチにより、取り付け車種による違いを吸収し、クルーズコントロールが適切に動作するように設定することができる。
写真2 ゴムキャップの中のディップスイッチ
写真3 ゴムキャップの中のディップスイッチ(拡大)付属のマニュアルに記載されているディップスイッチの設定テーブルを表1に示す。
表1 ディップスイッチの設定テーブル
(Rostra GlobalCruise Manualより転載)この表を参考にして12個のスイッチをONかOFFにすることで設定するわけである。なお、スイッチを切り替えるときには、小さな時計ドライバーやシャープペンシルの先などでスイッチを動かせばよい。
以下の表2に、私の車の設定とその理由を示す。
表2 ディップスイッチの設定
スイッチ番号 設定 設定の理由 1 OFF GAIN (Sensitivity)は、何のことかよくわからないので、とりあえず、MIDにしてみる。 2 ON 3 ON E34の速度センサの仕様がわからなかったので、とりあえず8000(Pulses/Mile)にしてみる。 4 ON 5 OFF 6 OFF 7 OFF 私の車は6気筒なので、「6 Cylinders」を選択。ただし、SET UP TIMERは意味不明なので、とりあえずHIGHにしてみる。 8 ON 9 ON 10 ON 車側の車速センサーの信号はディジタル波形なので、Square Wave Input (ON)とする。 11 ON 変速機がオートマチックなので、ONとする。 12 OFF クルーズコントロールキットと同時に購入した操作ハンドルがOpen CircuitなのでOFFとする。 ディップスイッチの設定は以上である。わからないことが多いが、適当に設定してもなんとかなるであろう(笑)。
購入したクルーズコントロールには、実際に運転して動作させなくても、電気的な接続が正しいかどうかを判断するためのSelf Diagnostic Test機能(自己診断機能)がある。ディップスイッチの設定が終わると、車を運転して動作確認する前に、少なくともこの機能で接続を確かめておかなくてはならない。以下では、付属のマニュアルを参考に、私の車の場合についての自己診断方法を説明する。
なお、診断の際には、写真3の赤三角で示した操作ハンドルのボタンを操作し、本体のディップスイッチの近くにある赤色の診断用LEDの点灯を目視する。
写真4 操作ハンドルのボタン以下では、操作ハンドルへの接続、ブレーキスイッチへの接続、車速センサーへの接続について説明する。
Step(1) クルーズコントロールのスイッチをOFFにする。 Step(2) イグニッションキーをOFFにする。 Step(3) エンジンを始動させずに、イグニッションキーをONにする。そして、RESUME/ACCELボタンを押したまま、クルーズコントロールスイッチをONにする。 Step(4) このとき、診断用LEDは点灯していない。これで、自己診断モードに入ったことになる。 Step(5) SET/COASTボタンを何度か押してみる。ボタンを押し下げると診断用LEDが点灯し、離すと消灯するはずである。 Step(6) 同様に、RESUME/ACCELボタンを何度か押してみる。ボタンを押し下げると診断用LEDが点灯し、離すと消灯するはずである。 Step(7) 今度は、ブレーキペダルを何度か踏んでみる。ペダルを踏んだときに診断用LEDが点灯し、離すと消灯するはずである。 Step(8) 次に、速度センサーへの接続をテストする。車を2m程度押して動かす。その際、診断用LEDが点滅するはずである。 次に、エンジン回転数センサー(タコセンサー)への接続をテストする。
Step(1) クルーズコントロールのスイッチをOFFにする。 Step(2) イグニッションキーをOFFにする。 Step(3) イグニッションキーでエンジンを始動させる。そして、RESUME/ACCELボタンを押したまま、クルーズコントロールのスイッチをONにする。 Step(4) すると、診断用LEDが点滅しているはずである。エンジンの回転数を上げると、LEDの点滅が速くなる。 以上の手順を実行し、記載通りの結果が得られたなら、電気的な接続はうまくできたことになる。
ここでは、付属のマニュアルを参考にして、クルーズコントロールの操作方法について説明する。
ON クルーズコントロールを動作させるために、電源ボタンを押す。ボタンを押すとハンドルについている緑色のLEDが点灯するはずである。なお、電源ボタンをONにしてから3秒以上たってから、次の速度設定をしなければならない。 速度設定
(SET)50km/h以上で速度を設定することができる。設定したい速度で、SET/COASTボタンを押す。そして足をアクセルペダルから離す。ボタンを押した際の速度をキープして走行することができる。 減速
(COAST)SET/COASTボタンを押し続けると、減速させることができる。ボタンを離すとその時点の速度にセットされる。ただし、セットされる速度は50km/h以上でなければならない。 加速
(ACCEL)RESUME/ACCELを押し続けると、加速させることができる。ボタンを離すとその時点の速度にセットされる。 TAP-UP RESUME/ACCELボタンを短く押すと、少しだけ速度を上げることができる。1回押すことによる加速は、3〜5km/hである。 TAP-DOWN SET/COASTボタンを短く押すと、少しだけ速度を下げることができる。1回押すことによる減速は、3〜5km/hである。 速度制御の解除
(DISENGAGE)ブレーキペダルを軽く踏むと、速度制御が解除される。ただし、このとき設定速度は内部メモリに残ったままである。
一方、電源ボタンを押してOFFにしても、速度制御を解除することができる。この時には、設定速度はメモリに残らない。設定速度の回復
(RESUME)ブレーキペダルを踏んで速度制御を解除した後、RESUME/ACCELボタンを押すと、以前に設定した速度に回復させることができる。ただし、ボタンを押す際には、50km/h以上でなければならない。
ここまでくれば、取り付けも操作方法も完璧である。あとは、意を決して実際に車を走行させ、クルーズコントロールの動作を確認するだけである。
なるべく交通量の少ないところでテストしなければならない。また、走行中に動作がおかしくなったときは、あわてずにトランスミッションをニュートラルにすればよい。そのあと、ブレーキで減速し車を停止させる。間違っても、あわててエンジンを止めてはいけない。エンジンを止めるとブレーキの油圧補助が効かなくなり、減速できなくなる(渾身の力で踏めば止まるかもしれないが・・・)。
なお、上記の操作説明では、クルーズコントロールは50km/h以上でなければならないとなっているが、私の車では、35km/h以上で動作するようだ。おそらく、ディップスイッチの設定を8000(pulses/mile)にしているのが間違いであろう。6000(pulses/mile)ぐらいが正解だと思う。
おわりに
上記で報告したように、ディップスイッチの設定には不明なものがある。これについては、現在、Rostra社にメールで問い合わせているところである。この詳細については、わかり次第追記する。
また、この報告では説明が悪く、いろいろとわかりにくい箇所が多いと思う。もし、不明な個所があれば気軽に質問して欲しい。私のわかる範囲でお答えするつもりである。
末尾ではあるが、今回の取り付けでは、特にエンジンルームから車内への配線の引き込み方について、キーレスの取り付けでお世話になった岩野さん、ブレーキディスクの交換でお世話になったガレージMのIさん、BMW@FUNのメンテナンスQ&Aで質問したときにお答えいただいたかわぐちさんをはじめ、いろいろな人から情報をいただいた。感謝の意を表する。
2001年12月2日(日)追記
先日、高速道路を使って京都から東京までを往復する機会があったので、クルーズコントロールを使ってみた。
結論から言うと、非常に快適である。やはりアクセルペダルを操作してスピードを一定に保つ必要がないのは疲れにくくていい。遅いトラックの後についたようなときも、ブレーキペダルを軽く踏むとクルーズコントロールを解除できるし、RESUMEボタンを押すと、以前の速度まで復帰する。長距離運転には欠かせない装備だ。
また、上記で述べたDIPスイッチの設定も問題ないようだ.。設定できるスピードであるが、高速道路の法定最高速度の100km/hまでは問題なく設定できる。また、公道以外の場所(本当?)で試したが、130km/h程度までは問題なく設定できるようだ。
ただ一つ気になるのは、ボタンの押し方である。短くチョンと押しただけではダメなようで、少し長い目(0.5秒ぐらい)に押さないといけないようである。これは、誤操作防止のためだと思われる。
2005年5月13日(金) 追記
クルーズコントロールを取り付けて3年半が経った。この間、1ヶ月に2〜3回ぐらいのペースでクルーズコントロールを使っているが、現在までのところ何も不具合が起きていない。Rostra社のクルーズコントロールはなかなか信頼性が高いようである。
信頼性と耐久性評価の例として追記しておく。
2005年5月17日(火) 追記
JBL2235HさんがDIPスイッチの設定を解明された。ここを参照いただきたい。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。