2001年10月15日(月)
ガラス撥水剤 − 比較テスト
「梅雨の時季には − ガラス撥水剤を塗布」で紹介したように、ウィンドウ撥水剤としてSoft99の超ガラコを使っている。さすがに、12ヶ月保つといっているだけあって、耐久性は抜群である。数ヶ月たっても一向に撥水効果は落ちない。フッ素系撥水剤、恐るべし!である。
ところで先日、シーシーアイ(株)が「雨ん防GX」というウィンドウ撥水剤を発売した。その発売記念として懸賞があったが、なんとラッキーなことにその懸賞に当たって、「雨ん防GX」が送られてきた。シーシーアイ(株)は、なんていい会社だ(私の論理では、「物をくれる人」は「いい人」だ)。
ただ、物を無償でもらっているだけでは申し訳ないので、テストしてレポートすることにした。テストの前に、まず「雨ん防GX」について少し説明させていただく。「雨ん防GX」のパッケージは写真1、2の通りである。
写真1 雨ん防GX 写真2 雨ん防GXパッケージの裏 「雨ん防GX」の売り文句は、
- 耐久力が8倍
- 時速40kmで水玉が飛ぶ
- 塗りスピードが2倍
ということだそうだ。これでは何のことか具体的によくわからないので、少し翻訳しよう。
1は、通常の使用での撥水効果が16ヶ月続くということである。これは、ALS系撥水剤というものを使っており、ガラス面に強力な皮膜を形成するからである。
2は、文字通り時速40kmで雨の水玉が飛ぶことである。例えば、フッ素系の撥水剤の場合、フッ素皮膜が帯電して水滴が流れにくくなるが、ALS系の場合は皮膜が帯電せずに水滴が流れやすいためである。
3は、容器に付いているフェルトの面積が他の製品や従来品に比べて大きいということである。これだけ宣伝しておけば、もらった恩を少しは返したであろう(笑)。
それはさておき、早速、この「雨ん防GX」をテストすることにする。ここでは、以前まで使っていた「超ガラコ」との一対比較法を用いて評価することとした。すなわち、写真3に示す「雨ん防GX」と「超ガラコ」の2つの撥水剤を同じ条件で比較する。その際、他の条件を整えるために、私の車のフロントガラスを2分割して、左右のそれぞれに撥水剤を塗布することとした。
写真3 比較する2つのウィンドウ撥水剤私のフロントガラスは現在「超ガラコ」が塗ってあるので、水をかけると写真4のように水をはじく(少し見にくいですね)。
写真4 「超ガラコ」を塗ってあるフロントガラスこのまま塗布したのでは、双方の撥水剤をうまく塗布できない可能性があるため、付着している撥水剤を完全に除去することにした。使用した除去剤は、写真5のようなシーシーアイ(株)のものである(少しは恩を返したかな?)。
写真5 撥水剤除去剤(油膜除去剤)これは、コンパウンドが入っているもので、強くこするとどんなにこびりついた油膜や撥水剤でも落とすことができる。これを使って早速ガラスを磨いてみた。付属のスポンジに除去剤をとって、まさに「磨く」ようにガラスをこすると、撥水剤が落ちていくのがわかる。以前にもコンパウンドが入っている油膜除去剤を使っていたが、それよりもはやく落とせるような気がする。ただし、比較したわけではないので本当のところはよくわからない。この除去剤を使ってガラス全面を磨くと、写真6のようになる。
写真6 除去剤で全面を磨いたフロントガラス白くなっているのは乾いた除去剤である。そこで、フロントガラスの水をかけながら付属のスポンジで除去剤を洗い流す。すると、フロントガラスは写真7のように完全に水をはじかなくなった。撥水剤が完全に除去された証拠である。
写真7 完全に撥水剤を除去したフロントガラスこれでガラス面の準備が整ったので、まずは写真8のようにフロントガラスの中央にマスキングテープを貼って、左右に二分した。
写真8 マスキングテープで二分したフロントガラスそして、運転席側に「雨ん防GX」を、助手席側に「超ガラコ」を塗布した。「雨ん防GX」は、確かにフェルトの面積が「超ガラコ」のものに比べると3倍ぐらい大きいのだが、塗布するためにかかる時間はほとんどかわらない。「超ガラコ」のフェルトは小さいのだが、構造的に持ちやすくできていてスムーズに塗ることができる。ただ、「雨ん防GX」も持ちにくいわけではない。正確に計測したわけではないが、実際の塗布時間は双方とも1分以内である。塗ってみると、写真9のように、「雨ん防GX」のほうは真っ白くなり、「超ガラコ」のほうは少し白くなった程度である。
写真9 2種類のウィンドウ撥水剤を塗布したフロントガラス乾燥したら乾いた布で拭き取るのだが、今回はふき取りにペーパータオルを使った。
「超ガラコ」に比べ、「雨ん防GX」のほうは乾燥時間が長くかかるようだ。取扱説明書では「5分以上乾燥させる」と書いてあるが、5分程度では完全に乾燥せずふき取りにくい。完全に乾燥させてからふき取った方がいいようだ。その点、「超ガラコ」はすぐに乾燥し、ふき取りも簡単である。ふき取りの面だけ考えると、「超ガラコ」のほうが使いやすい。
ふき取ると、写真10のように完全に透明になる(あたりまえか・・・)。
写真10 撥水剤をふき取った後撥水効果を調べるため、早速、水道の水をかけてみることにした。写真11のように、両方とも水をよくはじいている。
写真11 撥水剤塗布後に水をかけたところ肉眼では、水滴の大きさははじき具合や水滴の大きさに差が見られなかった。塗布直後で、車が静止している状態での撥水効果は互角であるといえよう。
ちなみに、この後すぐにガソリンスタンドにある洗車機で車を洗ってみた。ご存じのように、洗車機が車を洗うコースの最後には巨大なヘアドライヤーみたいなものから風が出て水を吹き飛ばす。この時によくフロントガラスに付着した水滴を見ていたのだが、「雨ん防GX」を塗布した運転席側のほうが若干はやく水滴が飛び始めた。水滴自体の大きさも運転席側のほうが若干大きかった。このあたりが、「時速40kmで水玉が飛ぶ」というところだろうか。ちなみに、マスキングテープを貼ってあった部分は、全く水をはじかなかった。なんか塗っておけばよかった・・・・(笑)。
今回は、撥水剤を塗布した直後であり、これぐらいしか評価できない。今回の評価結果としては、
- 塗りやすさでは差がない
- 「超ガラコ」のほうがふき取りやすい
- 水滴が飛び始める車速は「雨ん防GX」のほうが遅い(であろう)
- 走行時の水滴は、「雨ん防GX」のほうが大きい(であろう)
とまとめることができる。ただし、これは私個人が簡単にテストしてみた結果からの意見であり、条件やテスト方法がかわると、評価結果もかわってくるかもしれない。
なお、耐久性等については、追々このページに下に追記していく予定である。
2001年10月18日(木) 追記
この2日間ほど雨が降ったので、その中を走行してみた。走行は夜間であったため詳細に観察することはできなかったが、以下のようなことがわかった。なお、ワイパーは間欠状態で作動させており、走行時の雨は約2.2mm/hの小雨であった。
- 水滴が飛び始める速度について
「雨ん防GX」と「超ガラコ」を塗布したガラス面について、水滴が飛び始める速度に大きな違いは見られなかった。おおよそ45km/hから水滴が飛び始め、50km/h程度で実用的な飛び具合(?)となった。
- 水滴の大きさについて
静止状態でガラス面に付く水滴の大きさについても差は見られなかった。ただし、走行中に飛んでいる水滴の大きさでは、「雨ん防GX」のほうが若干大きいような気がした。以上より、現時点では「雨ん防GX」と「超ガラコ」の撥水性能に差がないと考えられる。なお、耐久性についてはまだわからない。
2001年10月21日(日) 追記
今日は昼間の小雨の中を走ったが、その際、2つのガラス撥水剤で水滴の飛び始める速度に差が出たので追記する。
- 超ガラコ − 時速約55kmでガラスについた水滴が飛び始めた。
- 雨ん防GX − 時速約65kmでガラスについた水滴が飛び始めた。
「超ガラコ」の方が水滴が飛び始める速度が低いようだ。ただ、今日の天候条件は、本当にパラパラ降るぐらいの小雨であるので、前方の視界を確保するために撥水する必要はあまりない。もう少し雨の量が多いときに比較しなければ意味がないかもしれない。
2002年2月5日(火) 追記
ガラス撥水剤塗布から約3ヶ月半が経った。私の車は普段屋根付きの駐車場に置いているため、ガラス撥水剤の耐久テストとしては、比較的条件が緩い部類に入ると思う。
超ガラコは最大12ヶ月、雨ん防GXは最大16ヶ月の耐久性をうたっているのだが、3ヶ月半経った現状を報告しよう。
ガラス撥水剤の最大の利点は、雨の夜でも油膜が付かず撥水効果により外界の視野が確保できるというものであろう。そのため、雨の夜に、この両者の撥水剤を塗布したガラスを通して外界を見るとどのように見えるかを報告する。
約3ヶ月半前に超ガラコを塗布したガラスを通して見た外界を写真12に、雨ん防GXを塗布したガラスを通して見た外界を写真13に示す。
写真12 超ガラコを塗布したガラスを通して見た外界 写真13 雨ん防GXを塗布したガラスを通して見た外界 両者の違いは明らかである。実際に雨の中を走行してみても、超ガラコを塗布したガラスは十分雨滴を弾くのだが、雨ん防GXを塗布したガラスは、それほど雨滴を弾かない。
シーシーアイ(株)は雨ん防GXをくれたいい会社だが、ガラス撥水剤の耐久性を考えると、雨ん防GXより超ガラコに軍配を上げざるを得ない。
今回の結論は、私の車のフロントガラスを二分割して、異なるガラス撥水剤を塗布して比較した。それ故、たった一回の、ある限られた条件下だけでのテストである面は否めない。ただ、私は敢えて「違う条件では異なる結果が得られるかもしれない」などという不明確な結論ではなく、「耐久性については超ガラコの方が勝っている」と結論付ける。そして、この結論は、シーシーアイ(株)に、超ガラコを越えるようないい製品を作って欲しいとの願いでもある。
2002年2月12日(火) 追記
車があまりにも汚かったので、夜にガソリンスタンドの洗車機に入れて洗車した。そのときに、超ガラコと雨ん防GXの差が明らかになった。
写真14に水洗いしたところを示す。ガラス面左半分が超ガラコ、右半分が雨ん防GX塗布したガラスである。
写真14 水洗いしたところ(左:超ガラコ、右:雨ん防GX)雨ん防GXは明らかに水を弾いていない。それに対し、超ガラコを塗布した方は、小さな水玉ができている。
さらに、写真15にブロワーにより水滴を吹き飛ばしているところを示す。
写真15 ブロワーにより水滴を吹き飛ばしているところ(左:超ガラコ、右:雨ん防GX)少しわかりづらいが、超ガラコを塗布した方が早く水滴がなくなっている。
さすがに、4ヶ月近くも経つと、雨ん防GXの撥水効果はなくなってきたようだ。比較実験はこれぐらいにして、撥水剤を塗り直すことにしよう。
何を塗るかって? もちろん、「雨ん防GX」である。だって、シーシーアイ(株)は雨ん防GXをくれたいい会社だから・・・。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。