2001年4月22日(日)
髭付きレンズ&HID装着 − あ、あ、あかる〜い!
BMWを購入したときから、ヘッドライトの暗さには閉口していた。ハイビームを点ければまだましだが、ロービームが異常に暗い。最初は故障しているのかとも思ったぐらいだ。
BMW関係のホームページを見ていると、皆さんも暗さに閉口している模様である。そんな人はヘッドライトのレンズを「髭付きレンズ」なるものに交換しているようだ。髭付きレンズはどうやらイギリス仕様のレンズらしい。そこで、私も髭付きレンズにすべく、レンズとリフレクターを購入して交換することにした。
前回のレッドラインの個人輸入で味をしめた私は、今回も個人輸入することにした。購入先は、ドイツのSPEEDというお店である。ここは、G.C.C Homepageで見積もりや注文が簡単にできるので大変便利だ。SPEEDから購入した物品は表1のとおりである。
表1 SPEEDから購入した物品
Parts No. Item Qtty. Price(Euro)
9GB135928-011 LAMP LENS RIGHT 1 26.40
(純正P/N 63121390276)
9GB135927-011 LAMP LENS LEFT 1 26.40
(純正P/N 63121390275)
9DR135926-015 REFLECTOR 2 48.30×2
(純正P/N 63121390301)
63121378369 RUBBER BUSHING 12 0.48×12
51711916017 SHEET METAL SCREW 2 0.10×2
63121386641 GASKET RING 2 3.35×2
63121379998 FILLISTER HEAD SCREW 6 0.40×6このうち、SHEET METAL SCREW(51711916017)は今回のレンズ交換には必要ない。送料はDHLで88.00(Euro)であった。総額は、252.46(Euro)+1,500円(税等)であった。なお、今回はDHLで送ってもらった。GMS(German Mail Standard)なら、送料は43.00(Euro)である。ただし、DHLの4日で届くのに対し、GMSでは10日前後かかるようである。
SPEEDに注文してから、到着を待っている間に、Yahooオークションに「即決!BMW E34専用 HIDレトロフィットKit」なる怪しげなものが出品されているのを発見してしまった。値段も意外と安い(60,000円也)。さらに、「千葉県市川市まで来られれば、取付まで可能」などと書いてある。(市川市ってどこ?) これはレンズ交換と同時に付けるしかない!
出品者(3420さん)と何度かのメールのやりとりの後、結局落札してしまった。ただ、さすがにHIDやレンズの取り付けに千葉県まで行くわけにはいかない(私は京都在住)。ところで、市川市ってどこ? 調べてみると、東京のすぐ近くである。東京のすぐ近くといえば「東京ディズニーリゾート(TDR)」。ここで私はひらめいた。家族で行ってしまおう。嫁さんと子供がTDRに行っている間に、私はHID&レンズ装着してしまおう。
そんなわけで、3420さんのご自宅にお邪魔し、ご指導のもとに髭付きレンズ&HID装着となった。
髭付きレンズ&HID装着手順
最初に断っておくが、この手順を見てもよくわからないかもしれない。説明がまずいせいもあるが、やはり実際に作業を見なくてはわかりにくい部分もあると思う。私なりに頑張って説明はするつもりである。なお、今回の作業は、3420さんのご指導がなければ、どう考えても不可能であった。この場を借りて感謝の意を表する。
購入物品紹介
はじめに購入した物品のうち、主なものを紹介する。
写真1 レンズ 写真2 リフレクター
写真3 ガスケット 写真4 HID(バラストとバーナー) 他にもネジ類やステー等もあるが、詳細は割愛する。
髭付きレンズ&HIDの取り付け手順は以下のとおりである。
- フロントバンパーを外す
- キドニーグリルを外す
- 左右ライトの周囲のグリルを外す
- ロービームユニットを外す
- 購入した髭付きレンズ+リフレクターを組み立てる
- バラストを取り付ける
- 組み立てたレンズユニットを車両に取り付ける
- バーナーを取り付け配線する
- グリル類やバンパーを元に戻す
以下では、この手順に沿って説明する。
(1)フロントバンパーを外す
フロントバンパーを外すには、まず、バンパーについているモールを外す。
写真5 フロントバンパーのモールを外す位置写真5に示す赤色の矢印のところにマイナスドライバーを差し込み、左右のモールを外す。バンパー前側の部分はクリップで留まっているだけなので、注意しながら引っ張ればはずれる。バンパー横側は、モールを前方にずらすようにして取り外す。モールを取り外したところを写真6、写真7に示す。
写真6 モールを外したところ(正面)
写真7 モールを外したところ(斜め前)はずしたモールを写真8に示す。写真で左側が車両の側面に付く部分で、写真の右側が車両の前側に付く部分である。赤丸は、クリップ等の場所である。
写真8 外したモールバンパー前側についているナット4つを外し、次に両前輪のタイヤハウスの前の部分(バンパーの側面最後部)に付いている小さいネジを外ば、バンパーを外すことができる。バンパーは前方向にずらして外すが、結構重いので2人でゆっくり外したほうがいいであろう。また、バンパーにはフォグランプの配線がついており、これをコネクタ部分で外せばバンパーを完全にフリーにすることができる。車両によっては温度センサーがバンパー左側に付いていることがある。その場合は、温度センサーのコネクタも外す。
(2)キドニーグリルを外す
次にキドニーグリルを外す。キドニーグリルは写真9に示す赤丸のところでとまっている。これは、キドニーグリル側にプラスチックの爪が付いていて、その爪によって車両側に固定されている。
写真9 キドニーグリルを固定している爪の位置まず、キドニーグリルの左右端の下に指を入れて爪を外す。次に、中央側の爪を外すと、キドニーグリルが外れるはずである。爪を下側に押し下げると外れるはずであるが、これがなかなか固い。細心の注意と思い切りでなんとか外す。気をつけないとプラスチックの爪を折ってしまうので注意が必要である。私は、真中左側の爪を折ってしまった(笑)。
(3)左右ライトの周囲のグリルを外す
左右ライトの周囲にあるグリルを外すには、写真10の赤丸の部分についているプラスチックのネジを外す。赤四角の部分は斜めに付いている金属のネジである。これも外すとグリルが外れる。これは簡単に外れるはずである。もちろん右だけではなく左のグリルも外す。
写真10 ライト周囲のグリルを固定しているネジの位置グリルを外すと写真11のようになる。
写真11 ライト周囲のグリルを外したところ(4)ロービームユニットを外す
まず、ロービームに接続されている配線をコネクタの部分で外す。ヘッドライトの裏側にカバーがついている場合は、最初にカバーを外しておく。また、ロービームの上側についているポジションランプも外す。これは、90度回して後ろ側に抜けば外れる。それが終わるといよいよロービームユニットを外す。ロービームユニットは、写真12に示す赤丸の部分の黒いプラスチックのブッシュで固定されている。これらをニッパーやワイヤカッターで丁寧に少しずつ壊す。すると、ロービームユニットが外れる。壊したブッシュは再利用できないので、新しいブッシュを購入しておく(表1中の「RUBBER BUSHING」というやつ)。
写真12 ロービームユニットを固定しているブッシュそして、外したレンズユニットから銀色の輪(レンズの外周にあるクロムメッキのワッカ、レンズトリム?)を取っておく。この輪は後で新しいレンズユニットに取り付ける。外したレンズユニットと銀色の輪を写真13に示す。
写真13 外したレンズユニットと銀色の輪(レンズトリム?)(5)購入した髭付きレンズ+リフレクターを組み立てる
購入したレンズにガスケット(GASKET RING)をはさんでリフレクターを取り付ける。リフレクターは3本のネジ(FILLISTER HEAD SCREW)でとめるが、リフレクターとレンズとの取り付け位置に注意が必要である。レンズ側の側面には、「R/D」と「LG」というのが印字してあり、日本やイギリスのような左側通行のところでは、リフレクター側のマークを「LG」に合わせる。これにより、右側が低く左側が少し高くなる配光になる。なお、ネジは結構固いが頑張って締まるところまで締める。組み立てたレンズは、写真14、15の通りである。
写真14 組み立てたレンズユニット(その1)
写真15 組み立てたレンズユニット(その2)最後に、外しておいたレンズトリムを、新しいレンズユニットに付ける。レンズトリムは結構汚れているので、磨いておくといい。レンズトリムには3箇所の爪が付いており、レンズユニット側の正しい位置にはめ込むこと。レンズトリムをつけたレンズユニットを写真16に示す。
写真16 レンズトリムを取り付けたレンズユニット(6)バラストを取り付ける
車両左側レンズ用のバラストを取り付ける。車両左側のヘッドライトの後ろには、エアクリーナーがありバラストを取り付けることができない。そこで、ヘッドライトの下にバラストを取り付ける。取り付けには、ステンレスのステーを用いて車両にネジ留めする。取り付けたところを写真17に示す。
写真17 取り付けたバラスト(左側)なお、右側のヘッドライトの下にはウィンドウォッシャー液のタンクがあるため、バラストはヘッドライトの後ろに取り付ける。
(7)組み立てたレンズユニットを車両に取り付ける
組み立てたレンズユニットは、購入しておいた黒いプラスチックのブッシュを使って車両に取り付ける。その前に、ブッシュの内側にCRC-556やグリスのような潤滑剤を付けておく。これは、装着をスムーズにするためと、固着させないためである。ここが固着するとレンズの光軸調整がスムーズにできなくなる。
ブッシュをレンズユニットの穴に入れて、それを車両側のネジの頭に合わせる。そして、上外側、上内側、下内側の順に取り付けていく。取り付けは単に押し込むだけでいいのだが、これが結構固い。ソケットレンチの15〜20mmぐらいの適当なコマを当てて、かなづちで叩くと簡単に入る。ただし、下内側は、ネジがついている部分があまり強くなく、強く叩くと壊れてしまうかもしれないので注意が必要である。取り付けたところを写真18に示す。写真中の赤丸の部分がブッシュである。
写真18 新しいレンズユニットを取り付けたところ(左側)もちろん、右側も同様にして取り付ける。
(8)バーナーを取り付け配線する
レンズユニットが装着できたところで、バーナーを取り付ける。バーナーは写真19に示すようなものである。これは、すでにH1バルブと同一の形状、および同一の発光点位置に加工してあるものである。中ほどの丸っこい部分が発光点である。この位置をH1バルブのフィラメントの位置と正確に合わせなければいけない(らしい)。H1バルブの発光点は台座中心軸上にはなく、少しずれているらしいので、自分でバーナーを加工する人は注意が必要である。また、バーナー下側の白い部分は粘土のように見えるがエポキシ樹脂であり、しっかりと台座に固定されている。
写真19 バーナーこれをレンズユニットの後ろからレンズに取り付ける。右側のバーナーを取り付けたら、右側のバラストもレンズ後ろの横ぐらいにステーを使って取り付け、配線する。取り付けたところを写真20に示す。
写真20 右側のバラストの取り付けまた、外しておいたポジションランプも元に戻す。
(9)グリル類やバンパーを元に戻す
最後にグリル類やバンパーを元に戻してできあがりである。元に戻したところを写真21に示す。写真のように「髭付き」レンズに交換されているのがわかる。
写真21 交換後なお、バンパー取り付け時には、フォグランプの配線や温度センサーのコネクタを接続するのを忘れないように注意する。温度センサーのコネクタは一度外すとしばらく正確な温度を示さなくなるが、1〜2日ぐらいたつと元に戻る。いきなり、外気温が「-16.5℃」と表示されても驚かないように。
これで作業はすべて終了である。
点灯してみよう
夜になって新しいレンズユニットを点灯してみると、これがメチャクチャ明るい! さすがに、髭付きレンズ&HIDである。E34乗りの皆さんが交換するのが分かる。点灯したところを写真22に示す。
写真22 ライトを点灯したところ写真では、ハイビーム側も点灯している。ハイビーム側は上を向いているので、写真では明るく写っているが、実際にはロービーム(HID)の方がはるかに明るい。ハイビーム側が黄色いのに対し、ロービーム側が青白いのがわかってもらえると思う。ロービームの配光は写真23の通りである。
写真23 ロービームの配光交換前に比べてかなり明るい。交換のロービームは暗かったため、私は常にフォグランプを点けて運転していた(コメンナサイ)。しかし、交換後はフォグランプを点けたかどうか分からないぐらいロービームが明るい。
それでは、どれぐらい明るくなったのかを定量的に示そう。実は、髭付きレンズ&HID装着前にロービームの明るさを測定しておいた。測定は、ロービームから1m離れた位置での最大照度を照度計を用いて測定した。用いた照度計は写真24のようなものである。
写真24 照度計また、装着後も同様にして照度を測定した。測定結果を表2に示す。
表2 髭付きレンズ&HID装着前後の照度
装着前 13,500 (lux) 装着後 68,800 (lux) 表2からもわかるように、5倍以上も明るくなっている。これは必要以上に明るい(笑)。実用面やコストパフォーマンスを考えると、髭付きレンズへの交換だけでも十分であろう。
謝辞
今回の「髭付きレンズ&HID装着」に関しては、全面的に3420さんに手伝ってもらった。というか、ほとんどやってもらった。私もベントレーのマニュアルを持っていて、そこにレンズ交換の手順も書いてあるのだが、それを読んだだけで交換するのは非常に難しいと思う。実際には、3420さんがいなかったら交換するのは不可能であった。それに、3420さんとの交換作業は非常に楽しかった。末尾ではあるが、ここに感謝の意を表する。本当にありがとうございました。m(_ _)m
補足
HIDを装着すると、通常のバルブと消費電力が違うため、チェックコントロールが「DIP BEAM」のような警告をだす場合がある。そのときには、小さな電球を接続する等して対策しなければならない。今回3420さんに用意してもらったバラストでは、そのような警告は出ないようだ。また、HIDは点灯時に大電流が流れるため、ヘッドライトのヒューズを7Aのものから15Aのものに変更しておいたほうがいい。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。