2017年4月19日(水)
エアコンコンプレッサーのベアリング − チロリンさんより
今回も続いて、E36にお乗りのチロリンさんより、エアコンコンプレッサーのベアリングのメンテレポートをいただいたので紹介しよう。
「冷凍機械責任者」という変な資格も15年位前に取得いたしまして、エアコンというものはどういうものか分かっているつもりではあります。
ご存知の通り室内のエボパレータには水滴がたまり、運転時は良いですが、家に帰って車を停めるとそれ以降水滴がそのままになってしまいます。新車の頃は良いですが、古くなるとそこにカビが発生し、あのポンコツ特有のカビのすえた臭いの元になったり、腐食して穴が開きあの嫌な漏れの原因になる場合もあるようです。
面倒くさいですが、コンプレッサ動作時(冷房時)、家につく3〜5分くらい前にコンプレッサだけ停止させ、送風のままにして帰るようにすると、エボパが乾き、症状が抑えられます。そのせいと運もあると思いますが、私の車両は20年間ガスのチャージはしたことが無く、いまだ健在であります。極力コンプレッサは使用しないようにしてるのも関係しているかもしれません。10年位前にジェームスにて、怪しいグッズの潤滑剤を注入したことはあります。コンプレッサを潤滑し、利きがよくなるとともに燃費が伸びるキャンペーンで引っかかりました。実際機器など使用して、温度測定もしておりませんので効果は不明です。
さて本題ですが、コンプレッサのカップリングベアリング。これもエアコンを使用していないときでも、エンジンと同じように回っています。20年を超え、機会あるときに手で回すと、ごろつきまではいきませんが、プルプル感がなくなっていました。これが死ぬと音が発生し、がたつきの症状に移行、カップリングの電磁クラッチに干渉し、クラッチのコイルが断線するとコンプレッサ交換の特典がもれなくもらえます。
通常、ベアリングだけとかクラッチコイルだけの部品設定は無く、コンプレッサASSY交換です。バブル絶頂期の60クラスのメルセデスだとパーツだけで50万円位していた気がします。今はどうなのかは分かりません。
やっほーオークションでたまにベアリングが出品されていますので、それを使う方法はありますが、ベアリング自体が圧入されていますので面倒くさそうです。なお、出品者の入手経路は考えてはいけないようです。また、一般的には、エアコンのトラブルも廃車要因ベスト5にランクインしていると思います。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、早速作業工程です。まずは普通にベルトを外します。この写真は下から見たところです。
そしてセンターのボルトを外し、通常ですとプーラーを使用してクラッチ部を引っこ抜きますが、当然スペースがありません。もちろん、ラジエターを外すのは面倒です。逆にエアコンの配管を外して、真空引き、ガスチャージはもっと嫌なので、マイナスドライバーを2つクラッチの間に差し込み、手加減攻撃をしていきます。幅広いものか他のもののほうが、クラッチに傷がつきにくいかもしれません。
すると外れます。
黒いのはテンショナプーリーのキャップです。なお、この作業はリスキーなのでする必要が無ければやらないほうがいいと思います。自分でするときは、下に新聞紙を敷き丸めたダンボールか新聞紙でまくらをつくると楽かもしれません。もちろん作業時には必ずウマが必要です。どんないい馬でもキタサンブラック、マカヒキとかは役に立ちません。3,000円くらいのウマで十分です。そういえば、18のころ、ウマ代わりにトラックの下にペール缶を2つ置いていました。そしてジャッキが外れ落っことしました。ペール缶は何の抵抗もなくつぶれました。
クラッチを外すと、次はベアリングが入ったカップリングです。
私はこのとき、(だったか前だったか?)コンプレッサのボルトを外し、コンプレッサを少し下に傾斜させました。どこかのサイトにも書かれていましたが、スナップリングを外すのに何時間かかったとか書かれていましたが、普通に工具を使うと10秒くらいです。
中国製の工具。500円くらいでした。昔は数千円でした。安いのは良いですが、その分日本人の収入は減ったり失業したことでしょう。この先、日本のモノづくりはどうなのか、企業が政治家に金を献金して海外進出しやすいように政策をしてもらったんだな、とか考えながら外します。マスコミなども企業がスポンサーなので企業の悪口はあまり報道できない事などを考えながら行います。(作業には関係ないので、まったく考えなくても良いです。)
そしてカップリングの外側を太目のマイナスドライバーを当てて、プラハンだったか小さめの木槌だったか忘れましたが、カップリングが歪まないようやさしく、そして甘やかさない程度に叩きます。すると0.1mm単位で動いてきました。左右均等に叩きます。ベアリングには横方向の衝撃が伝わりますが、これしか方法が思いつかなかったので、根気よく叩き続けました。時間にして15分かからないくらいだったでしょうか。
外したやつを前回やったテンショナープーリーのシールと同じようにそーっと外します。太かったので気になっていましたが、玉が2重になっていました。
外すときにマイナスドライバーでついた傷が外側に確認できます。玉を支えているプラスチックも割らないよう慎重に取り外します。
そして、パーツクリーナーで大気と自分の体内を有機溶媒で汚しながら徹底的に清掃。そして、乾燥後にグリスを押し込み、シールを戻し、作業完了です。
手で回すと、日ごろの行いがよかったのか、プルプルの感触に戻りました。癌と同じで早めの対処が生死を分けます。前立腺などを除き、要因を取りきれなければおしまいです。
後は逆の手順です。作業は昨年に実施し、今年もエアコンを使用しましたが、問題ありませんでしたので成功だと思っております。DD様のはまだ新しそうなので、行うにはリスクのほうが大きいと思います。ご参考まででよろしくお願いします。
そういえば、エアコンコンプレッサーにもベアリングがあるなぁ。ここもグリスを定期的に入れ替えると、結構長持ちするようだ。ちょっと難しそうだが、ベアリングのメンテをしてない方は、GWのメンテメニューに入れてみてはどうだろうか。
末尾ではあるが、またまた有用なレポートをいただいたチロリンさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。