2012年10月4日(木)

E39 タペットカバーパッキンの交換(M62エンジン) − hiroさんより

今回は、本サイト初登場で、E39 540(M62エンジン)にお乗りのhiro(ひろ)さんより、タペットカバーパッキン(ヘッドカバーガスケット)交換のレポートをいただいたので紹介しよう。


初めて投稿させていただきます。E39と車イジりが大好きな“ひろ”と申します。BMW暦もまだ浅く、まだまだビーマーに程遠い私ではありますが宜しくお願いいたします!

 

【はじめに】

今年8月、大切な愛車E39 528iとの別れを決意。しかし、E39への想いは断ち切れずに同じE39 540i(02モデル)を手に入れました。

M62 V8 4.4Lエンジン。これまでのM52と違って、見た目でもメンテナンス性の超悪そうなエンジンルームでして、HIDのバラスト一つ付けるにも悩んじゃいそうです。^^; こういった車を普通に買えるセレブなお方は全てD任せが多いのでしょうか? 540に関わるメンテ記事も、とても少ないですねぇ。。

しかし、年一回の税金分割希望の貧乏サラリーマンの私としましては、自分でなんとか頑張っていくしかございませんし、同じM62をメンテされる同士の参考となればと投稿させていただきました・・。

 

【M62エンジンのタペットカバーパッキン交換】

このエンジンって言うよりBMWのエンジンの定番的な不具合、タペットカバーからのオイル漏れ。過去、M52もここからポタポタとオイル漏れいたしまして交換しました。

この540を購入前にあちこちチェックしたのですので、やはりタペットカバーからのオイル漏れが発生しています。そのときは「パッキン交換ね!Vだから、いつも倍の作業するだけね!!」なんて、簡単に考えていたのですが・・・orz

この写真は左側バンク。右バンクも同様に漏れが発生しています。直6と違い、V8は頭でっかちなエンジンですので上から見えないってところが厄介ですね。漏れの発見も遅れます。

おまけに、このタペットカバーパッキン交換作業って大変でして、直6のように簡単には逝きません。工程にとても面倒な作業がありまして、交換を断念した方もおられるのではないでしょうか?

今回、一番大変な作業工程を簡略化することができましたのでご紹介します。たぶんDでは絶対にできないプライベートチューナーならではのメンテです(笑)。

タペットカバーパッキン交換作業の開始〜!! まず、エンジンの上にで〜んっと乗ってる、巨大なエンジンカバー。これはカバーを手で軽く浮かせながら、丸いピンをぐっと押し込むだけカチっていって外れます。ピンは見える箇所の上部4つだけ。

エンジンカバーが取れると、埃まみれのインマニが顔を出します。Vじゃなかったら、スチームで洗浄したいところですね〜。作業をしながら、徐々にキレイにしていくことにしましょう☆ それと作業性を良くするために、エアコンフイルターボックスとダクトを外しておきます。

両バンクとも、イグニッションコイル部分にはこういうカバーが掛かってます。カバー上の二つの四角いフタを外すと10mmのボルトが見えますので、コレを緩めてやればカバーが外せます。

塗装がかなり剥がれてきてますね。このタペットカバー、マグネシューム合金が使われているそう。でも素材なんて、普通のアルミ合金でいいのにね。こんなところにマグ使うから塗装剥げが発生するのですって思うのですが・・

もしや、簡単に外れてくれないかなぁって甘い期待しながら・・・。イグニッションコイルに刺さっているエンジンハーネスの接続を外し、イグニッションコイルを抜きます。

センターにはアースが一本されてますので、こいつも当然のごとく外して。。 プラグ交換はここまでの作業で可能になりますね!

左バンクには、タペットカバーのフロント部にバッテリーハーネス(+)が延びてきてます。ここはフタを開けて、二本のトルクスビスを外せば絶縁カバーごと外れます。

んで、タペットカバーのキャップボルトを11本(イグニッションコイル上下8本、フロントカバー側3本)外せば・・・

タペットカバーが外れました〜☆ 後はパッキン交換して終了!! ならいいのですが。。。

実は、この状態からタペットカバーが外れてこないのです・・(汗)。問題箇所はタペットカバーとインマニの間にあるケーブルカバー。このケーブルカバーがタペットカバーに干渉して外れてこないわけ。。

このケーブルカバーはインマニに刺さるインジェクター(燃料ノズル)のコネクターと一体になっていて、インジェクターコネクタを外さないとケーブルカバーを外すことができません。。orz  おまけにノズルコネクターを外すためのピンがほとんど見えない!! Dって、これどうして作業しているのでしょう?

他の方法的には、燃料パイプをインジェクターごと浮かしてしまうやり方。その方法のほうが一般的に思えます。でもプライベートでやってて、パーツが足りなくなると、しばらく車に乗れなくなってしまうしなぁ。。

それに今回うまくオイル漏れ対処ができたとしても、次回にはまた同じ困難な作業が待っていることになります。この辺のメンテを行うのに、毎回毎回困難なノズルコネクターの外し作業なんぞやってられません!! いろいろと手段を考えたのだが、ようやく打開策が見つかりました☆!

タペットカバーを外すためには、このエンジンワイヤーハーネスのケーブルカバーの取り外しが必須となります。エンジンワイヤーハーネスのケーブルカバーの蓋(アッパーカバー)を開けてみる。(上記写真)

写真では判り難いかもしれませんが、インジェクターノズルの動作コネクターがケーブルカバーに固定されているため、燃料パイプ側のわずかな隙間から細いピックアップツール等で片バンク4つのコネクターピンを外さなくてはいけない。しかし、まったく見えない箇所もありとても難儀な作業です。特にリヤ側のノズルは最悪!

最初、ケーブルカバーの内側からドリルで穴あけし、ピックアップツールでピンを外そうかと考えた。でもそれでは面白くない。

ひろさんの場合、過去のチューニングエンジン製作の経験では予期せぬトラブルに対応するために、当然メンテナンス性を考慮してパーツのレイアウトします。インジェクターノズルも同様で、このケーブルカバーにノズルコネクターが一体化していることの意味が理解できない。

ちなみに固定させておかないと、コネクターが振動で外れてしまうから!って答えは、ハズレである。実際、レースマシンではノズルテストを行うため、逆にコネクターはすぐに外せるように設計します(僕なら!)。現に経験上、このコネクターが外れたというトラブルは皆無(割れによりピンがとび、外れかけたケースはあるが・・)。

そこでケーブルカバーはカバー本来の役目のみを受け持っていただくことにしました。どういうことかというと・・

ここで登場するのが、このために仕入れた工具ホットナイフです。ハンダコテの進化版のようなもので、コテ先がナイフになっています。熱せられたナイフでプラ系のパーツを溶かしながらカットしていくんですね〜。。手動で(笑)

ノズルコネクターをケーブルカバーに固定させる必要がないと判断するならば、ケーブルカバーをカットしてしまいましょ! どうよ ^^(笑)。

ケーブルカバー内の配線やノズルコネクターをホットナイフで溶かさないように、写真のようにコネクター周りのカバー部分をカットしてしまう。これを片バンク4箇所。

まだ新しいホットナイフの切れ味(溶け味)は最高で、そんな時間もかからずにカットできた。ピン外し作業を行ってるとしたらまだ1本取れてるか?ってところだろう。

カットされたら、ケーブルカバーを外してみる。ケーブルカバーの固定は上面の10mmナット2個のみ。これで、簡単にいつでもケーブルカバーをずらすことができるようになりました♪ プライベートチューナーならではの、この施工方法はさすがにDではできないでしょう〜(爆)

ケーブルカバーをカットして簡単にずらせるようなりましたので、簡単にタペットカバーが外せます♪ 一番の難題を解決できたので、タペットカバーが外れるここまでの作業時間が約15分程度に短縮されました!!^-^

外れたタペットカバー。マグ合金のためか塗装もボロボロで、マグ特有の腐食から塗装面も凸凹しております。。

問題のタペットカバーパッキンは、それほど固くなっていませんでした。ほどほどに軟らかくて、液体パッキンあたりを塗ってやれば漏れ修理終了〜レベル。でも、せっかく外したので、もち新品に交換させていただきます。

だけど、このままパッキン交換して終了ってのもね。Dや整備工場であれば交換しておしまいなのですが、プライベートチューナーとしては愛車を少しでもキレイにしていきたい!!

今日の作業で一番時間がかかったのが、この塗装剥がしでして、スクレバーを使ってバリバリと落とします。残ったものは、塗装剥離剤を使いながら、できるだけキレイにしていきます。でもザッパなひろさんは適当に(笑)

適当にマスキングして(マスキングって、古いシールとティッシュ詰めてあるだけじゃん!爆)、プライマーを厚めに塗っちゃう! 今回、色をハッキリと出すために白のプライマーを使いました。

完全乾燥まで待てないひろさん、次の工程に入ります。←いつものことだ^^;

耐熱塗料を数回にわけて吹く。耐熱塗料って、あまり色の種類がないんですよね(真剣に探せばあるのかもしれないが。。)。 大概、「黒」「銀」「赤」。この前、よく行くホームセンターに「青」と「黄」をみつけた☆ でも、耐熱塗料ってけっこう高い!

そんな話しをいつものチューニングショップでしていたところ(←またサボりかい!)、こんなのどう?って勧められたのが、このVHTの耐熱塗料でした。値段もホームセンターで売ってる耐熱塗料より少々安かったので即決、調達と相成った次第です。

このVHTの耐熱塗料は、普通の塗料と仕上がりが違います。乾くと縮みが入ってこのような仕上がりになるんですよ〜♪ 縮み塗装とか結晶塗装とか呼ばれるものです。

後で思ったのですが、普通の耐熱塗料を選ばなくて良かった。。なぜかと言うと、冒頭に書いたようにこのタペットカバーはマグ合金ですので、表面が粗い。それに後で腐食で塗装が浮いてくるおそれがあります。結晶塗装なら、少々表面が粗くてもキレイにごまかせるってわけ☆ 結果オーライってところでしょうか(笑)。

ここまできたら一気に逝っちゃいましょう!!

ヘッド周りをキレイに洗浄します。一番リヤ側(8番)のプラグ穴に若干オイルが溜まってました。その辺もちゃんとキレイに洗浄しておきましょう。

洗浄が終ったら、パッキンがあたる位置に液体シールを薄く塗ります。TIS(Technical Information System)等ではリヤ側の三日月部分とフロントカバーパッキンの凸凹部分にシールをと書かれています。でも、定番的なBMWのパッキンからのオイル漏れ、少々手厚く対策をしておきましょう☆

次にタペットカバーにパッキンをセットします。ひろさんは、ズレ防止の意味からパッキンにシリコングリースを軽く塗ってセットアップしてますよ。

パッキンがズレが起きないように細心の注意を払って、カバーをヘッドにセットいたしまして、規定の順番でキャップボルトを締めていけばOKですね。当然ではありますが、キャップボルトのシールも全交換です。

あとは、外し逆工程で戻し作業。

戻し作業が完了♪ なんかVGっぽく思えるのは私だけだろうか? オイル漏れはもちろんだけど、ハゲハゲのタペットカバーをお化粧直しして、いい気分に浸る(笑)。 なかなか☆♪

だが、この写真って左バンクしか映っていない。そう、まだ右バンクは手つかずなんだよねぇ〜(爆) いつ逝きましょうか?


作業手順が詳しくレポートされており、実際に作業してみようと思っている人には、有用な情報だろう。でも、ケーブルカバーをカットするとは大胆な!(笑)

末尾ではあるが、有用なレポートをいただいた hiro(ひろ)さんに感謝する。次回は右バンクのレポートだろうか?



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