2009年5月18日(月)
ブレーキキャリパーのオーバーホール − medama1goさんより
今回はmedama1goさんより、ブレーキキャリパーのオーバーホールのレポートをいただいたので紹介しよう。
注意!
このレポートは非常に危険な内容です。パッド交換以上に危険な要素が含まれますので、作業に自信の無い方、また一度もご自身でパッド交換をされたことの無い方は、絶対にしないでください。真似をされて重大な事故等につながりましても、当方は一切関知致しません。
以上、あしからずご了承ください。
A long time ago, in a galaxy far, far, away....
(なわけ無いやろヽ( ・∀・)ノ┌┛ガッΣ(ノ`Д´)ノ昨年3月のレギュレーターのレポートに写っているように、「ブレーキキャリパーシールキット」なるものを購入はしていたのですが、その後ずっと放置プレーになっていました。
何せブレーキですしね、キャリパーばらすって事は当然フルードも抜けるわけで。って事はエア抜きやらなにやらメンドクサイなぁ... と思っていたのですが...
今年の2月初頭に、久々にBRAKE FLUID LOWの警告が出たので、パッドの点検をしてみると、これが見事にあと5mmほど。ローターは何とかあとパッド交換1回分位は有りそうなので、今回はパッドのみ交換しようと思ったのですが、そういえば、何か有ったな? と押入れを引っ掻き回すと、ほこりまみれのシールキットが(゚д゚)!
まぁ、ついで(ずいぶんな「ついで」のような気が(^^ゞ)なので、キャリパーのOHをやってみることにしました。
ブレーキキャリパーといえば、水気厳禁。さらに埃も嫌うシビアな部品ですが、エアツールも何もない、普通の住宅環境で、どこまで出来るか挑戦してみました。
今回は、さすがに時間がかかることを見越して、前後1日ずつ、2日間で作業をしています。
どの車輪からはじめてもかまわないと思いますが、リヤから始める方が良いと思います。部品のサイズが小さくてやりやすい、万が一不具合が出ても、フロントほど致命的状況になり難いといった理由から、初日はリヤから着手。
しかもその晩には夜勤の予定が...(^^ゞ なんとしてでも、夜までには終わらさせなければなりません。
ということで、先ずはジャッキアップして馬を掛け、タイヤを外します。キャリパーを外すところまではブレーキパッド交換等を参考にしてください。
そうそう、キャリパーといえばガイドボルトですが(なんでやねん!)、今回一度確認した時に、ガイドボルトに薄くシリコングリスを塗っておきました。そのためか、今回ばらす時に見たらこの通り。
ガイドボルトに砂埃が付着しています。国産のキャリパーは可動部分にはゴムブーツが付いているので、
こういった剥き出し箇所はないんですよね。ちょっと気になった所でした。もとい!
外したキャリパーとブレーキホースのフィッティングを外します。
14mmのスパナで軽く回るところまで緩めたら、ホースを固定しキャリパー側を回して外した方が簡単です。ブレーキフルードは塗装面に付くと酷く厄介なことになりますので、ウエスなどで極力要らないところにフルードを付けない様にして下さい。もし付いた場合はすぐに水洗い。水で簡単に流れます。
キャリパーを外した後はフルードが垂れて来ないように、サランラップを巻いてみました。
巻いた上からビニールテープできつく巻いて、染みて来ないようにしてあります。
が、10分ほどして様子を見たら、見事にラップが溶けてフルードが漏れていました。恐るべしブレーキフルード!
仕方が無いので、バイスグリップでホースを挟んでフルードを止めました。
さて、キャリパーを外したら、第一の難関、「ピストン抜き」がやってきます。Webなどで見るとまず全ての人がと言って良いほどの確率で、コンプレッサーのエアを使用してピストンを抜いています。そんな中で、「自転車の空気入れでも可」ってな話をどこかで聞きまして、ならば! と実践してみることに。
ウチのSSTにご登場願い、キャリパーに薄い木の板を挟んで、ブレーキホースの穴へ空気入れで空気を送り込みます。
このように木片をあてがい、ホースをセットします。ビーチボールか何かに空気を入れるような細長い円錐状のアタッチメントがあると非常に便利です。
見事にピストンが出てきました(嬉)。
片押しのキャリパーはこれで十分出来ます。対向ピストンでも出来ないことは無いでしょうけれど、ちょっと厳しいかもしれません。
ピストンが抜けると、キャリパー内に溜まっていたフルードが一気に飛び出し周囲に飛び散りますので注意してください。
キャリパーからピストンが抜けたら、内部の分解&清掃ですが、ここでも、ほとんどの方がエアによって水分を飛ばし、乾燥させています。慎重な方になると、パーツクリーナーで水分置換した後、エアブローで乾燥など、とにかくエアは必需品のようです。
しかしながら、ウチにはエアは無い。
となると、いかにして乾かすかという事になりますが、ここで私は鉄の塊であるキャリパーは一度暖めれば冷め難いので、しっかり拭いておけば少々の水分は蒸発するであろう事、汚れを固着させている油分も、温水ならば効率よく洗浄できること、さらに、温水といえば「浴室(!)」ここならば、汚れが飛び散っても、後の片づけが非常に楽である事(爆)等のメリットから、お湯という選択肢を選びました。
早速浴室へ持ち込み、分解開始!
先ずはガイドボルトのブッシュを抜きます。
ブッシュとキャリパーの境目に細いマイナスドライバーを差込み、抉るようにこじると、このようにズルッと抜けてきます。
ブッシュを2個とも抜いたら、ピストンブーツを取ります。
こいつは溝にはまっているだけなので、引っ張れば簡単に取れます。
最後に外すのは要のピストンシール。
シールは再使用しないので、千枚通しなどを軽く突き刺し、引っ掛けるようにして溝から外します。
シール類が取れたら、中性洗剤でシリンダー内に残っているグリスや、周囲に付着している堆積したダストなどを落としてやります。ワイヤブラシ必須です。シリンダー内は必要以上にこすらないように。
傷が付いていたり、錆が発生していた場合は、800〜1200番の耐水ペーパーで落としてやります。傷や錆があまりに酷い場合は交換になります。
これは抜いたピストン。
水をはじいているところから、グリスがしっかり付いていることが分かりますね。赤黒い錆びたようなような色をしていますが...
洗ってみるとこの通り。
特に目立つ傷も無く、錆びも無く一安心。
ペーパーであたる場合は、シリンダーもそうですが、写真で言うと、横手方向には絶対にかけないでください。最悪フルード漏れの原因になります。
洗浄が終わったら、よく拭いて乾かします。しっかりとお湯につけて洗ったのであれば、キャリパーがホカホカになっているはずですので、ちゃんと拭いてやれば、後は少々残っていようが、勝手に蒸発していきます。
今回組み込むのはこちら。
右上の丸いのがシールキット(リビルトキット)。中身はピストンシールとピストンブーツ。左がガイドボルトブッシュセット。それぞれキャリパー1台分です。
手前のチューブはAte純正のシリコングリス、プラスティルーブ。キット内の説明書にはなんだか違う名前のグリスが指定されていたのですが、ペリカンでリビルトグリスを探して購入したら、これが来ました。
こちらが洗浄の終わったキャリパーの各部品。
私は掃除しかしなかったのでこのレベルですが、ワイヤーブラシなどで徹底的に磨くとか塗装するなら、この時点ですると楽に出来ます。
こちらはシリンダーの中。
傷も無く、状態は良好です。
ここへ先ほどのグリスを指先へ取り、塗り残しの無いように満遍なくシリンダー内へ塗っていきます。
この淵の所もブーツがはめやすいようにグリスを塗っておきます。
シリンダー内が終わったら、今度はピストンシールへ同じグリスを塗ります。
しっかりと表裏、内側外側の全ての面にグリスを塗ります。
グリスを塗り終えたら、シリンダー内、2本ある溝の奥側の溝へはめ込んでいきます。
手前側の溝はピストンブーツがはまる溝です。
今度はそのブーツの内側にグリスを塗ります。
ここは少々たっぷり目に塗っておきましょう(ピンボケご容赦ください)。
そしたら、この淵にある鍔の部分にもしっかりとグリスを塗ります。
今度はピストンの側面にグリスをこれまた薄く塗り残しの無いように塗っていきます。
溝の外側になる部分にまで塗る必要はありません。
さぁ、ここまできたら、後は組み付けです。先ずはピストンにブーツをかぶせてしまいましょう。
向きに注意して、一度ピストンの溝にブーツの丸いほうのエッジを納めてしまいます。
ブーツの断面図を見てもらうと分かるのですが、ブーツの上下にエッジがあり、それぞれ断面が丸と角になっています。丸いほうは内側へ、角のほうは外側へ組み付くようになっており、それぞれピストン側とシリンダー側に付くようになっています。
そうしたら、ブーツをピストンのお尻の方までずらします。
納めたエッジが出てしまいますがかまいません。ぎりぎりでピストンに止まっている所までずらします。
その状態で、キャリパーの溝にブーツの反対側のエッジをはめ込んでいきます。
シリンダーとピストンの隙間はちょうどブーツ分程度しかありませんから、ブーツがちゃんと入らないとピストンは入りません。きっちり入ると、軽く押してやるだけで、すぅ〜っとピストンが入って行きます。
この時、あまりにピストンが固い場合は、斜めに入っていますので、無理をせずに一度外してからやり直してください。
この辺りは人それぞれあるようですが、私はこの方法でやってみて、簡単にピストンとブーツを納めることが出来ました。
ある程度までピストンが入ると、先ほどはめたエッジが勝手に溝に入っていきます。
ちゃんと入るとこのように、ブーツとピストンの面がほぼそろうようになります。
後は最後の難関、ガイドボルトブッシュです。ブッシュ穴に薄くシリコングリスを塗ります。
ブッシュ側にも薄くグリスを塗っておきます。
双方にグリスを塗ったら、後は力技! ひたすら押し込んでブッシュを挿入します。
ガイドボルト、先日のDDさんのレポートで、「グリスアップ不可!」との事でしたが、そのレポート前の作業ですからねぇ...(^^ゞ 薄くシリコングリスを塗っておきました。
後は車両に組み付けてエア抜きをするだけ。ついでですので、フルードも交換しておきましょう。
今回交換した部品。
上の大きいのがフロンとキャリパーで、下がリヤ。
後日、オフ会でといさんに乗ってもらったところ、「当りが出てないというか、なんとなくスポンジーな感じ」との感想を頂きました。が、まぁブレーキホースも純正のまま、多分20万キロ超の現在まで一度も交換されていないと思われますので、その当りの影響も少なからずあるのでは?と思っています。
DIYながら、キャリパーOHしたぞ!という充実感はやっぱり気持ちの良いものです。特別にエアなどの環境が無くても出来ることもわかりましたし、何より安心して踏めるブレーキは気持ちが良いですね。
今回の購入部品です。
34-11-1-157-038-M4 $11.00 4 $44.00
Guide Bushing Repair Kit Ate calipers only, 4 Per Car, BMW E34 5 Series, All, Each Brand: Ate
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55-5573-012-M4 $5.75 1 $5.75
Caliper Rebuild Grease, Plastilube Assembly Lubricant 35 ml tube Brand: Ate
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34-21-1-159-171-M4 $8.75 2 $17.50
Rear Caliper Rebuild Kit, 2 Req. Per Car, BMW E34 5 Series, All Except 540i and M5, Each Brand: Ate
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34-11-1-157-037-M4 $11.25 2 $22.50
Front Caliper Rebuild Kit Left/Right - 2 per car, sold per each, E34 525i, 525i M50, 535i, M5 Brand: Ate部品代でざっと1諭吉、これに送料という事になりました。
ブレーキ周りは先日ブースターのエアバルブを交換したので、後はホースとマスターシリンダーという事になりました。そのうちにまた交換したいと思います。
こんな作業をエアなしでやってしまうとは!(驚) っていうか、普通、エアがなかったらやらないだろう(笑)。
末尾ではあるが、いつも
無謀な有用なレポートをいただいくmedama1goさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。