2007年6月5日(火)
E39 リア・ドアロックのメンテナンス − ミッチョさんより
またまたミッチョさんよりE39のリアドアロックのメンテナンスレポートをいただいたので紹介しよう。E34でもよく聞くトラブルだ。
年数が経過すると、ドアロックのトラブルをよく聞くようになる。私の車も、たまにリア左のドアロックが音はするが動かないことや、他のドアよりも動作が遅れることが起こるようになってきた。
アクチュエータのパワーが足らないのか、リンク機構の動きが渋くなっているのだろう。放置しておくと、負担のかかったアクチュエータが壊れてしまうことが予想される。ロックされたまま動かなくなると、ドアが開けられなくなって修理が大変そうなので、今のうちに状況を確認してメンテナンスすることにした。
【ドア内張りの取り外し】
E39の内張りも、基本的にはE34と同じ仕組みで取り付けられている。
1.室内ドアハンドル部分のネジなどを外すドアハンドル奥のキャップを外し、プラスネジを抜き取る。ディーラーでは、このキャップを取るとき、傷をつけないようにガムテープでくっつけて抜き取っていた。私は少々の傷は気にならないので、細いマイナスドライバーでこじって抜き取った。
写真1 内側ドアハンドル
写真2 ドアハンドル取り付けネジとカバー
パワーウインドスイッチと足元ライトを取り外しコネクターを抜く。トリムパネルを外してから抜き取ることもできるが、先に抜いておくと次の作業がしやすい。2.ドアトリムパネルの周囲のクリップを外す
トリムパネル周囲のクリップをすべてはずす。
写真3 クリップの取り外し下側から内装外しなどを差し込んで、クリップを外していく。下辺と左右の辺は、国産車でも良く使われている押し込むタイプのクリップだ。
写真4 クリップの位置安い部品(1個30円くらい)だし、破損しやすいので予備を用意しておくとよい。
上辺(ウインドのすぐ下)部分は、ドア側の金属クリップが噛んでいるので、手前に引っ張って外す。このとき「バリバリ」と壊れそうな音がするのでためらうかもしれないが、破損しないように注意しながらも大胆に外す。
写真5 ウインド部分のクリップの様子3.トリムパネルを取り外す
トリムパネル外周のクリップがすべてフリーになったら、ドアハンドルをドアに残すように押し込みながら、上に持ち上げればトリムパネルを取り外すことができる。
写真6 トリムパネルの取り外し
写真7 トリムパネルを外したところその後、ドアのスピーカー配線や、パワーウインドスイッチの配線を傷つけないように注意してカプラーを外す。
ドア中央部に写真8のような黒いクリップが残っているはずだ。
写真8 ドア中央のクリップトリムパネルを取り付ける際には、プライヤーなどで掴んで取り外し、写真9のように、トリムパネル中央に下から差し込んでおく必要がある。
写真9 クリップをトリムに取り付けるところこの黒いクリップがドアのグリップ裏側の金具に差し込まれて、トリムパネル中央が固定される構造だ。取り外しの際に、トリムパネルを上に持ち上げるのは、このクリップを外すためだ。
【ドアロックの取り外し】
1.固定ボルトを抜き取る。ドアのインシュレーターを一部めくり、3個のトルクスボルト(T-30)を抜き取る。
写真10 ドアロックの固定ボルト2.写真11の位置にあるボーデンケーブルを取り外す。
写真11 ボーデンケーブルの取り外しこのケーブルはドアのアウターハンドルにつながっているケーブルだ。
3.ドアロックユニットを少し引き出し、写真12の位置にあるケーブルを取り外す。
写真12 ドアインナーハンドルケーブルの取り外しこれは、ドアインナーハンドルにつながっているケーブルだ。
4.アクチュエータのコネクタ(写真13)を外せば、ドアロックユニットがフリーとなる。
写真13 アクチュエーターのコネクタこのコネクタはアウターをスライドさせると取り外しやロックが簡単にできる構造だ。
【ドアロックの構造】
アクチュエータの取り付けには、ネジは使われていないので、ロックを外すだけで取り外すことができる(写真14・15・16)。
写真14 ドアロックユニット
写真15 アクチュエーターの取り外し
写真16 アクチュエーターの取り付け部分
アクチュエータには2本のレバーが接続されていて、中央部がロック・アンロックをコントロールするレバーで、もうひとつがダブルロックをコントロールするレバーだ(写真17・18)。
写真17 アクチュエータ(アンロック時)
写真18 アクチュエータ(ロック時)E34には通常のロックとダブルロックがキー操作で使い分けられるが、E39はキーやリモコンでロックすると常にダブルロックがかかるようになっている。
アクチュエータは正常に動いているようなので分解はしなかったが、内部を覗くとトランクロックのアクチュエータのように、プラスチック製のカムが動いているのが見える。ロック機構やリンク機構の動きが渋くなると、経年劣化によって、プラスチック部分に負荷がかかり、容易に破損することが予想できる。ロック機構にスプレーグリスを吹き込んで動きをよくしておいた。
【組み上げ】
組みつけの前に、アクチュエータのテストをしてみると正常に動作できた。運転席以外はドアが開いていてもリモコンでロックできるが、運転席だけはロックできないので、運転席ドアのテストをするときは、写真19・20のようにドアスイッチをだましてやるとよい。
写真19 ドアスイッチの位置
写真20 ドアスイッチをだましてテストしているところ分解した逆の順序で元に戻していけば、メンテナンス終了だ。最初に述べた、ドアトリム中央部の黒いクリップの取り扱いを間違えなければ、特に難しいところはない。
今回のメンテナンスの結果、他のドアよりワンテンポ遅れだった動作が軽快に動くようになった。これで、しばらくはアクチュエータも延命できるだろう。
基本的には、E39とE34は同じような機構のようだ。
末尾ではあるが、いつもながら詳しくわかりやすいレポートをいただくミッチョさんに感謝する。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。