2006年8月23日(水)

E39 クラーントレベルセンサー故障の原因 − ミッチョさんより

今回は、ミッチョさんよりクーラントレベルセンサーの故障の原因を追及したレポートをいただいたので紹介しよう。


クラーントレベルセンサー故障の原因

クーラントレベルセンサーが不調であったので、分解して原因を追究してみた。レポートは97年式E39のものだが、E34、E36にも同じ部品(P/N:6130 8360 855)が使用されている車両もあるので、参考になれば幸いである。

今の愛車E39が家に来たときから、時々「ポーン」という音とともに「CHECK COOLANT LEVEL」のエラーが表示されていた(写真1)。もちろんクーラントは入っていたので誤報である。


写真1 COOLANT LEVEL 警告

クーラントレベルセンサーはラジエターのリザーバータンクの底に取り付けられている。(図1、写真2・3)


図1 リザーバータンクの図


写真2 リザーバータンク


写真3 クーラントレベルセンサーの位置

センサーには2Pのコネクタがつながっており、この2本のリードが導通している状態だと警告が出ず、導通がなくなると警告を発する。センサー自体かコネクタの接触不良が考えられたので、コネクタを清掃し、センサーを軽く叩いた(しばいた)ところ、しばらくエラー表示は出なくなっていた。

ところが、久しぶりにユーザー車検を行おうと考え、クーラントの交換をDIYで行ったところ、とどめを刺してしまったようで、常に警告が出るようになってしまった。

コネクタを抜いて直結してみると警告は出ないので、センサー自体のトラブルであることが特定できた。普通はセンサーの交換となるのだが、センサーの構造に興味があったので、ダメモトで分解してみることにした。直ればラッキー、直らなかったら交換だ。

センサーはリザーバータンクの底に付いているので、センサーを外すとクーラントが流れ出てしまう。交換したばかりのクーラントを流してしまうのはもったいないので、センサーの下にきれいなバケツを置いて再利用した。

リザーバータンク内のクーラントが抜けるだけだと思ったが、ホースやウォーターポンプ部分から逆流してくるので、2L強と思ったより多くのクーラントが抜けた。

写真4に取り外したレベルセンサーを示す。


写真4 取り外したクーラントレベルセンサー

クリーム色のフロートが下がると警告が出ると思われるが、機械的な接点などは見当たらない。フロートの動きが特に渋いということも無く、不調の原因がよくわからない。

写真5がセンサーを分解したところだ。


写真5 センサーを分解したところ

白いフロートの内部にはドーナッツ状の磁石が取り付けられている(写真6)。


写真6 フロートの内部に取り付けられた磁石

この磁石の位置を、写真5の小さな棒状の素子が非接触でチェックしているようだ。テスターで導通を調べてみても、フロートの磁石が棒状の素子の中央にあると2Pの端子間に導通があり、少しでも遠ざかると導通が無くなる。(写真7・8)


写真7 クーラントが入っているときの位置


写真8 クーラントが減ったときの位置

この素子は「リードスイッチ」という名称であることをDDさんに教えていただいた。最初はこのリードスイッチの不良だと思い、いつも行くパーツ屋で仕入れてきた(1本60円)。

しかし、フロートの動きも渋くないし、何度テストしてもフロート位置を正しく検出しているので原因は他にありそうだ。試しにフロートだけを水の入ったグラスに入れてみると、なんと沈んでしまったのである(写真9)。


写真9 水に沈んだフロート

次に抜き取ったクーラントに入れてみると、かろうじて浮こうとするが非常に頼りない(写真10)。


写真10 かろうじてクーラントに浮かぶフロート

どうやら、経年変化によってフロートの比重が少しずつ重くなってきて、新しく入れたクーラントが、今まで入っていたものより濃度が薄いために沈んだままになっていたようだ。

フロート部分だけの部品は出ないので、新品のセンサーをディーラーに発注した(3,633円)。写真11の下が新品のセンサーで、新しいフロートは真っ白である。


写真11 新旧のレベルセンサー

フロートを取り外してみると、持っただけで新しいものは軽いことが感じられる。写真12に新旧のフロートを水に入れたところを示す。浮かび方が全く違うのが分かる。これなら問題なく警告は出なくなるはずだ。


写真12 水に入れた新旧のフロート

センサーを元に戻し、抜き取ったクーラントを入れてエア抜きをすれば修理完了である。

しかし、9年間の経年変化で、フロートの比重が重くなるとは思ってもみなかった。はじめから新品センサーに換えればすぐに問題解決することは分かっていたが、こうした追求もまた楽しいものである。


フロートの比重変化が原因だったとは! っていうか、ここまで原因を追及しようとするミッチョさんって・・・!?(笑) 

でも、DDにとってはレベルセンサーの構造や検出原理もよくわかって、非常に面白いレポートだった。

末尾ではあるが、いつもながら詳しいレポートを投稿いただくミッチョさんに感謝する。



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