2002年9月20日(金) 2002年10月14日(月)追記
内張り補修 − BJさん&キャノンさんより
E34には、古くなってくるとドアの内張りパネルが浮いてしまうという持病がある。どうやら紫外線や熱により内張りの材料が収縮してしまい、凹にへこんでいるところの内張り材が浮いてきてしまうようだ。
「ドア内張りの外し方 − リアドア編」では、上記のような前置きをしているにもかかわらず、内容は「内張りの外し方」だけであり補修方法までは触れていなかった。なぜなら、DDの車の内張りパネルは幸運なことに全く浮いてきておらず、補修の必要がないからだ。
実際に「ドア内張りの外し方 − リアドア編」で紹介した写真はKAZE34さんの車のものであり、おまけに、KAZE34さんは、DDのいないところで実にあっさりと内張りを補修したようなので、そのノウハウはわからない。そうこうしているうちに、キャノンさんから「ドアの内張りを補修した」との連絡があった。そこで、キャノンさんにお願いして、ドア内張り補修の写真とその方法の説明を送っていただいた。
前置きはこれぐらいにして、早速、BJさん&キャノンさんの内張り補修方法を紹介しよう(注:BJさんはキャノンさんの旦那様)。
用意するもの
まず、内張りの補修に必要なものを紹介する。
写真1 ウレタンパネル写真1は裏面に接着糊の付いたウレタンパネルである。厚みは5mmで大きさは500mm×700mmである。これは、浮いているパネルを再利用せずに、新しく作成する場合の芯材となるものである。
写真2 レザークロス、発泡スチロール用ボンド写真2はレザークロスというポリウレタン製のフェイクレザークロス(レザー調シート)である。これが内張りパネルの表面になる。また、発泡スチロール用ボンドは、浮いている内装のレザーを内張りに貼り付けるために用いたり、芯材にレザークロスを貼り付けるときに用いる。
そのほかに用意するものは、レザー用接着剤、アルミテープ、クッションテープ、両面テープ、および若干の工具である。
補修前の状態
写真3 補修前の内張り補修前の内張りは、写真3のようにパネルが浮いてきている。これを何とかして元に戻すわけである。内張りのパネル浮きは、内張りに貼ってある内装レザーが熱や紫外線等により収縮したために、凹面に貼り付けてあるパネルが浮き上がることによって生じる。
浮いているレザーの補修
まずは、浮いているレザーの補修方法について説明する。
いったん縮んでしまった内装レザーを再び伸ばすのは不可能なので、写真4のようにあっさりと切れ目を入れてしまうことにする。
写真4 内装レザーの切断まずは浮いたパネルを剥がして、次にカッターで内装レザーを適当に切断する。ここで重要なのは、切断した部分が後で取り付けるパネルによって隠れるように切れ目を入れないといけない。
思い切って写真5のように切り取ってしまうのもいいかもしれない。
写真5 内装レザーの切り取りそして、切れ目を入れた内装レザーの裏側にレザー用ボンド、あるいは発泡スチロール用ボンドを塗って内装板に貼り付ける。貼り付けたところを写真6に示す。→追記参照
写真6 内装レザーの貼り付けただし、このままでは内装レザーが浮いてきてしまうので、写真7、8のようにアルミテープで内装レザーを固定する。ボンドが少し乾き始めてきた頃にしっかりと貼り付けるのがコツだ。アルミテープは伸びがないの固定には最適である。また、アルミテープで固定できない場合にはステープルを打ち込んでも良い。
写真7 アルミテープで内装レザーを固定(1)
写真8 アルミテープで内装レザーを固定(2)これでボンドが乾くまでしばらく待つ。ボンドが完全に乾いたら固定していたアルミテープを剥がす。
パネルの補修
パネルの反りがひどくない場合にはそのまま利用できるが、パネルが大きく反っている場合にはパネル表面のレザーを貼り直すか、パネル自体を新たに製作しなければならない。
ここではパネル自体を製作する方法について説明するが、元々車両に付いていたパネルの状態により、そのまま利用するか、レザーのみを貼り直すか、パネル自体を製作するかを決めればよい。
まずは、写真9のような車両側に付いていたパネルを原型として、ウレタンパネルを同じ形に切り取る。ウレタンパネルは、おおまかに形を切り取り、その後、原型に合わせながら少しずつ切っていくとよい。
写真9 車両に付いていたパネルそして、切り取ったウレタンパネルにレザークロスを貼り付ける。うまく貼り付けられれば写真10のようになるはずである。もとのパネルの色は黒だったが、自分で作る場合には何色でもよい。ここでは、グレーにしている。ちなみに、レザークロスには、写真のグレーの他に黒・赤・黄・ベージュ(タン)の色もある。
写真10 ウレタンパネルにレザークロスを貼ったところ写真10でもわかるように、パネルにはクッションテープも貼ってある。
写真11 新しく製作した内装パネルこれを写真11のようにドアの内張りに貼り付ければよい。
補修完成
補修後は以下の写真のようになる。なお、冒頭で断ったように、今回の車両はDD号ではなく「BJ&キャノン号」である。
写真12 右前のドア内張り(補修後)
写真13 左前のドア内張り(補修後)
写真14 左後ろのドア内張り(補修後)
写真15 右後ろのドア内張り(補修後)写真を見てもおわかりのように、見事に補修されている、さらに、個性的なグレー&ブラックの内装となっているのがおわかりいただけるだろう。
おまけ
BJ&キャノン号は、「ブラック&メタリック(シルバー? グレー?)」を基調とした内装&外装の車である。
写真16 BJ&キャノン号の外観外観は写真16のようである。一部の心ない人は、この車を「極悪仕様」だとか「ヤンキーみたい」だとか「こんな車が後ろに着いたら0.3秒で道を譲る」のような様々な陰口を言っているようだが、DDは「シックな雰囲気の落ち着いた車」だと思っている(かもしれない? ことにしておく?)。
写真17 BJ&キャノン号のリアウイング写真17のように、リアウイングの後端もメタリックに塗装されている。
写真18 BJ&キャノン号のドアノブドアノブもおしゃれである。これもBJさん指導のもとに、キャノンさんが塗装されたようだ。
写真19 BJ&キャノン号のステアリングホイールそれに、このステアリングホイール! これについてはノーコメントにさせていただく。
今回の「メンテナンス記録」はDD号の記録ではなく、BJ&キャノン号の記録になってしまったが、E34乗りの方の多くが内装の浮きに苦しんでおられるようなので、敢えて掲載することにした。
末尾ではあるが、今回、内装補修のテクニックを画像付きで教えていただいたBJさんとキャノンさんに深甚なる感謝の意を表す。
BJさん&キャノンさんより追加情報をいただいた。
浮いた内装レザーを内張りに貼り付けるのには、速乾ボンドG103を使うといいらしい。ただ、これはトルエンの含有率が高いので、芯材(ウレタンパネル)とレザークロスの接着には向かない。なお、写真上の工具は内張りはがし用の工具である。この作業を行うには必要不可欠のものだ。
ご質問はddkunnejp【@】gmail.comまで。