2002年3月27日(水)
イカリングへの道 − 試作第1号 その2
前回のメンテナンス記録では、「車両の取り付けについて報告する」と書いていたが、その前に考えなければいけないことがある。それは、レンズユニット内にELチューブを入れたときに、どのようにして配線をレンズユニットの外まで引き出すかということである。レンズユニット自体に穴を空けようかとも思ったが、そうすると目標の「後で簡単にノーマル状態に戻すことができること」が実現できなくなる。幸い、ロービーム側には写真1のようにポジションランプソケットの穴が開いている。そこで、ここから配線を引き出すことにする。
写真1 ロービーム側のレンズユニットにあるポジションランプソケット用の穴しかし、ポジションランプソケット用の穴は直径が1センチぐらいあり、配線を引き出すのはいいのだが、レンズユニット内に雨水等が入らないようにどうやって防水処理するかが問題となる。ちょうどいい大きさの円筒形のゴムでも、穴の上下に付いている溝に部分をふさぐことはできない。
そこで、いっそのことポジションランプのソケットの形状に合わせてゴム栓を作ってみることにした。使用するのは、シリコーンの樹脂である。
(5)防水処理 その1
そんなわけで(どんなわけだ?)、シリコーン樹脂でポジションランプソケット用の穴に合わせたゴム栓を作ることにする。
まずは、車体から外してきたポジションランプソケット(以下、ソケットと略す)と油粘土を用意する。ソケットを写真2に、油粘土を写真3に示す。
写真2 ポジションランプソケット(手前側にバルブが付く)
写真3 油粘土この油粘土を使ってソケットの型を取り、そこにシリコーン樹脂を流し込んで同じ形のゴム栓を作成する計画である。
まずは、油粘土をよく練って写真4のようにソケットに巻き付ける。
写真4 油粘土をソケットに巻き付けたところそしてゆっくりとソケットを引き抜き、型を取った油粘土に底を付ける。すると写真5のようなコップ形状の油粘土の型ができあがる。
写真5 油粘土でとった型ここでは、写真5のように左右の2つ分を作った。そして、ここにシリコーン樹脂を流し込む。用意したシリコーン樹脂は、シロプレンRTV-2K 1406というものである。これを写真6に示す。
写真6 用意したシリコーン樹脂写真で左側の缶がシリコーン樹脂の主剤であり、その手前のものは硬化剤である。右に写っているのは電子秤である。このシリコーン樹脂を硬化させるには、主剤:硬化剤=100:1の割合で混合し、常温で8時間ほど放置すればよい。
とりあえず、少しの主剤に数滴の硬化剤を混ぜ合わせてみた。これを写真7に示す。
写真7 主剤に硬化剤を添加したところ写真では、容器もシリコーン樹脂も真っ白なのでよくわからない(すみません)。それはさておき、この樹脂を型に流し込んでみることにする。その前に、型には写真8のように爪楊枝を突き刺しておく。これが配線の通る穴になるわけである。
写真8 型に爪楊枝を突き刺したところなお、シリコーン樹脂が硬化した後、爪楊枝がくっつかないように爪楊枝に離型剤を塗っておく。離型剤は台所用洗剤でもいいらしいのだが、手持ちで写真9のようなスプレー式の離型剤があったのでこれを利用する。
写真9 スプレー式の離型剤そして、いよいよ型にシリコーン樹脂を流し込む。シリコーン樹脂は結構粘度が高く、なんか水飴っぽい。型にシリコーン樹脂を流し込んだところを写真10に示す。
写真10 型にシリコーン樹脂を流し込んだところそのまま置いておくと、シリコーン樹脂の中に空気の小さな泡が入ったままになるので、脱泡処理を行う。これは、型をちょっと持ち上げて作業台に軽く落とすことを繰り返せばよい。これにより、空気の泡はシリコーン樹脂の表面まで出てくる。泡が出てこなくなったら、このまま1晩置いておく。
〜〜 24時間後 〜〜
シリコーン樹脂が硬化したら型から外す。油粘土は柔らかいので、型から外すときは型ごと壊れてしまい、残念ながら型の再利用はできない。型から外したシリコーン樹脂を写真11に示す。
写真11 型から外したシリコーン樹脂これの不要なところをカッターナイフで切り取ると、写真12のようにそれらしいものができている。
写真12 不要な部分をカッターナイフで切り取ったところこれを試しにレンズユニットのソケット穴に取り付けてみると、写真13のようにジャストフィットである。
写真13 レンズユニットのソケット穴に取り付けたところう〜〜ん。我ながら完璧な出来である。これでロービーム側の防水処理の目途は立った。
次回こそは「イカリングへの道 − 試作第1号 その3」として、車両への取り付けを報告する。
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